151.1★番外編★私、熱を出す
慣れないことしたらその反動は来る
故に私は絶賛寝込んでいる………
宮廷の地下室を浄化して、カイリ殿下とトキ殿下に送られながら教会に帰ってくると、エリちゃんがバラの植木を手に持って出迎えた
「みさき様っ!!バラが!バラが咲きましたっ!!」
エリちゃんが手にしているライラさんに貰ったバラの植木は、沢山の花を咲かせていた
わざわざ持ってきてくれなくてもって思ったけど、咲いたバラを見たら、私も驚かざるを得なかった
バラは、光を反射して、クリスタルを光にかざした時のような七色の輝きを見せた
「え?!なんかこのバラすごくない!?」
流石ライラさん!
なんだかすごい色?のキラキラしたバラを発明するなんて!!
「これは……」
トキ殿下が隣からバラの花に手を伸ばす
花弁を指でなぞり、何かを確認すると
「魔力の影響が強く働くように研究されたバラなんだ。みさきの魔力に応えてこんなに沢山の花を咲かせてくれたね」
ここに来て毎日話しかけていた効果が出たというのか?!
「直接じゃなくてもこんなに影響が出るなんて、すごいことだよ。元々クリスタルと繋がってることもあって、各地に影響が出ることは想定していたけど……ライラに報告だな」
私はクリスタルを使って地下室を浄化した
魔力の使い方とか知らないけど(現に使えないわけなんだけど……)
私の強い想いにクリスタルの結晶石が答えてくれたみたいだった
「みさきは光の魔力属性が強いからな」
カイリ殿下が私の手を取った
「あおいが水を使って負の魔力を浄化していたように、みさきの魔力は光を媒介して影響を与えることが出来るはずだ」
そうなんですか!?
「ただそれを使いこなせないだけだな」
カイリ殿下は私の手を両手で包んでそう言った
「それより……」
??
カイリ殿下は少し不安そうな顔で私を覗き込む
赤い瞳と近い距離で目が合った
(えっ!?近いんですが!!)
私はギュッと目を閉じて、緊張感から逃げ出した
すると、カイリ殿下の手が私の頬に、額に触れる
ヒンヤリして気持ちいい
少し前までは、ずっと体が冷たい感覚だった
クリスタルの中にいたあの冷たさを体が再現していた
でも、今はそんなことも無く……暖か…いや?熱い……かも…?
私はそのままカイリ殿下に寄りかかるように身を預けた
「みさき?!」
トキ殿下が慌てている声を発した
何か……あったのかな?!
ぼーっとして力が入らないけど、ま。いっか?
なんか2人が慌ててるけど、どんどん声が遠のいていった
そして私は意識を手放した
_____________
……
私は泉に体を浮かべて月を見上げている
夜空に輝く月は
無数の星に囲まれている
私はスッと目を閉じた
……
「目が覚めたか?」
あれ?
目を開けると、泉ではなくベッドの上だった
ここまで来る記憶が曖昧だ
両サイドから私をのぞき込むのは、月と星ではなくて、カイリ殿下とトキ殿下だった
カイリ殿下が片手を握ってくれている
「このまま目が覚めなかったらどうしようかと思ったよ?」
トキ殿下は、そう言いながら私の前髪をサラッとよけ、額に手を当てた
優しく額に添えられた手が冷たくて気持ちいい
私はボーッとなされるがまま動けない
「大分おちついたみたいだから、後は熱が引くまで大人しく寝てることかな」
トキ殿下は額から手を離し、私の髪をサラサラと撫でた
「なんだか懐かしいな。ルゥ達も良くこうして熱を出していたね」
あ。そういえば、前にそんな話してたっけ
魔力が制御出来ないんだったっけ?
「ルゥ達は魔力特性的にもコントロールが難しいものだからな。」
カイリ殿下は、私の頬に手を添え
「今まで使ったことがなかったんだ。その反動が来たんだろう。落ち着くまでここに居る。安心して眠るといい」
と言って、微笑んだ
この心地よい空間にのまれるように目を閉じると、トキ殿下が胸元でトントンとリズムをとりはじめる
いや……だから……わたし、子供じゃ…ありま……
言葉になる前に眠りに落ちると、私はぐっすり丸1日眠り続けた