147.歴史3
『カラム陛下は私の体を器として、ローラ様の魂との入れ替えを行おうとされました。魂を入れ替えた後は、体の臓器の全てを入れ替える予定だったようです。』
そんな……
「何でお姉様がその器にならなきゃいけなかったの!?」
入れ替えるなら誰でもいいんじゃないの?
『魔力が関係してるんだと思うわ。他の人でも試したんでしょう。魔力が合わない、または、その魔術の魔力量に耐えられない体は、器の方がもたないのよ……。』
石版の上の骨がそれを物語っていた
色々なものを器として試したんだ……
「そこであおいさんに矛先が向いたんだね……」
『ええ。ですが、私の膨大な聖属性の魔力を黒魔術の負の魔力で置き換えるにはそれ相応のものが必要です』
「それで父上は己を差し出したのか。負の魔力で己を満たし、それを触媒とした……」
『ですが、結果魔術は失敗し、行使された魔術により、形にならずに溢れ出た負の魔力は、この地から広がり、国中に影響を及ぼしました。私は行使された黒魔術により魂と体が分離され、体が滅びるのも時間の問題。そしてカラム陛下の肉体はこの石版の上で朽ち果てた。ということです』
「カラム父上は死してなお、この世の全てを恨み、その怨念が国を滅ぼす程の影響を及ぼしかねない状況になった。という事だな」
愛故なのか、カイリ殿下の言う執着なのか、誰も幸せになれない……
誰の魂も救われない……
そんなの寂しすぎる
お姉様はこのカラム陛下の心を救いたかったのかもしれない
でも、お姉様のお力を持ってしても浄化しきれない、救えない心もあるんだ……
私がモンモンと考えていると
「何が起こったのかは知ることが出来た。だが、その状態で、この地の封印を施し、記憶を操作したということなのか」
確かに。どうやって私の記憶も封印したんだろう
『そうですね……。』
少し後ろめたそうな声色であおいお姉様は説明を続けた