134.門
ラディアさんの転移魔法で宮廷の門に到着すると、ロイさんと、フェンさんが待ち構えていた
なんか、厳格な雰囲気が緊張する……
辺りを見渡してもあまり人の気配は感じられなかった
「人払いをしてございます」
私がキョロキョロしているのを見て、ロイさんが説明してくれた
すると、魔法陣が現れ、その光の中からカイリ殿下とトキ殿下が現れた
「おまたせ」
トキ殿下はヒラヒラと手を振ってみんなに到着を告げた
きっと、この大きな門を通ると、空気が変わる……
私はこれから進む門を見上げた
確かその先に石畳の道を通り抜けると、扉が……あって……
「ハァ……ハァ……」
思い出される記憶に体が反応してしまう
苦しい……
すると、カイリ殿下が、飴玉の包みを取り出した
魔法が与えられた飴玉を私の口元にあてがう
「飲み込めるか?」
そう言って私の体を支えると、飴玉を口に押し込んだ
飴玉は口の中でトロっと溶けて、間接的に与えられる魔力の甘い刺激が全身を覆った
カイリ殿下は、私の呼吸が整うのを背中を撫でながら待ってくれる
「すまない。やはりあまり良い場所では無いな。人が居なくても、思念が強すぎる」
カイリ殿下は苦々しい顔をして私を見る
「大丈夫です……ありがとう……ございます」
私が行きたいと言い出したんだ
進まなければ何も始まらない
「みさき。体調が悪くなったらすぐに言って欲しい」
トキ殿下は心配そうにこちらを見つめた
私が頷くと、トキ殿下が手を差し出してくる
「手を取ってくれるかい?」
その手を握って、門の方を見据えると、
宮廷の正門は、無機質にこちらを待ち構えていた