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131.再度噴水へ

たどり着いたのはもちろん後宮の中庭にある噴水の前だった


噴水は、前と変わらずに、水を循環させている

辺りには青い小花が咲き、澄んだ空気が漂っていた


私が噴水に近づくと、サッと腕を捕まれ、

「落ちるなよ」

と、カイリ殿下に釘を刺された

落ちる気がなくても、ドボンと行ってしまいかねないので、否定は出来ない……



私は、石畳に座り、噴水の水溜まりに慎重に手を伸ばした

浄化の力が強いのか、水は心地よく、一切の魔力の穢れを取り除いてくれる


(これは。お姉様の魔力だ……)



「あの……こちらの噴水のお水って、どこから来てるんですか?」



「近くの川……かな?」

トキ殿下が肘に手を当てて小首を傾げると、カイリ殿下に問いかける


カイリ殿下は、私の隣に座ると、噴水の水に手を触れる

そして、私に目線を移して

「何か感じるのか?」

と言った



「………あおいお姉様の浄化の力を感じます」

私は感じたことを声にした


「それは前に来た時と違うってこと?」

トキ殿下は、腕を組んでこちらを眺めながらそういった


前に来た時はそんな真剣に対面する前に噴水の水に阻まれてしまった


でも、お姉様の声は、あの時もしていた……


「違うとかじゃないんですけど……私が、今はそう感じるんです……」


なんだか上手く説明出来ない

魔力に関しては私はよくわかってないから……


「そうだな……」

カイリ殿下は噴水の水から手を引き上げた

「浄化の力が強いというのは気になる」

そう言って、濡れた手をハンカチで拭った


すると、トキ殿下が軽く片手を上げて語り始めた

「元は宮廷で浄化された魔力を国内に行き渡らせるために水脈が整備され、その水脈により、水が循環し、国内に浄化の魔力を運んでいたらしいじゃん?」

「でも、かつての神殿はどこにもない。今の国内はクリスタルで浄化されているが、クリスタルは水脈に関係していない。なら、この浄化の力が強い水は、どこで清められ、どこでその浄化の魔力を得ているのか?」


カイリ殿下は顎に手を当てながら

「宮廷で浄化されてるとは考えにくいが……」

と、顔をしかめた


でも、水脈が宮廷を起点として循環してるなら、やっぱりこの魔力の元は宮廷な気がする……


私は立ち上がって、カイリ殿下とトキ殿下を見て言った


「私を宮廷に連れていってください」


2人は少し目を見開いて、口々にこういった

「あそこは空気が悪すぎる」

「みさきが足を踏み入れるにはおすすめできないな」


「でも、行ってみたら何かわかるかもしれません!!」


私が珍しく積極的なものだから、2人はちょっとびっくりしているようだ


「………わかった」

「カイリ!!?」

少し悩んだ末、カイリ殿下から許可が出た

トキ殿下は納得いってなさそうだけど、私はもぅ行く気満々だ


カイリ殿下は私を見つめ、片手を差し出した

私は、その手を取ると、支えられながら立ち上がって、カイリ殿下を見上げた


「私に送らせてもらえるだろうか?」


カイリ殿下が送ってくれるらしい

「……はい。お願いします」



こうして、ついに私の宮廷訪問が決まった

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