128.新月の夜は眠れない2
カチャッ……
そっとドアが開く音がして、眠っていた意識がフワフワと目を覚ます
『今、やっとお休みになられたのですが……苦しそうで……』
ラディアさんのヒソヒソ声が聞こえる
繋がれていた手が離れると、不安な気持ちが湧いてくる
ベッドの端にギシッと誰かが座る感覚に、うっすらと目を開ける
「あ。ごめん。起こしちゃったかい?」
私は体を起こして
頭を左右に降り、毛布を手繰り寄せてギュッと握った
ラディアさんはスタスタと扉の前へ歩いていき、「失礼します」と言って部屋を出て行った
トキ殿下は、ベッドにあがり、私を胸元に抱き込むと、髪をサラサラと撫でる
撫でてくれる手が気持ちいい
トキ殿下の安心感が私を包む
「呼んでくれればすぐ来たのに。まぁ、呼ばれなくても来ちゃったんだけど」
いえいえ。こんなことでお呼びつけなんて出来ません
しばらくすると、
「キスは嫌い?」
唐突にそう言って、体を離すと、私の唇をなぞる
オロオロと目が泳ぐ
「嫌じゃない?」
トキ殿下の目は真っ直ぐに私を見つめる
「……………じゃ…………ない…です」
「じゃぁ、いっぱいしよ?」
そう言って、チュッと首筋に、耳元に、頬に。沢山キスを送られる
手はトキ殿下の指と規則的に折り重なり、ギュッと握ると、それに答えるように握り返してくれる
いつの間にかベッドに押し倒された私は、トキ殿下の思いのままにありとあらゆる場所にキスされた
そして、片手が私の顎に添えられると、紫色の瞳は私をロックオンした
そんなに見ないでくださいっ!
口元がぎこちない形を描く
「ごめん……ちょっと止まらなくて…やりすぎたかな?」
と言うと、私の唇に親指をかけた
「でも……僕のことだけ考えてたら、不安な気持ちも忘れちゃうでしょ?新月は魔力が不安定なんだから」
そう言って、目を少し細めると、そのまま私の唇に口ずけをする
チュッチュッっと角度を変えながら、次第に口ずけは深くなる
舌でペロッと唇を舐められ、大人しく口をうっすらと開くと、その隙間から舌が潜り込む
送られてくる甘美な魔力に、じわじわと脳が痺れる
「ハァっ……ア…………ン………ンンッ……」
段々と力が抜け、私はトキ殿下のゾクゾクするような、甘くて刺激的な魔力に抗えない
気持ちよさに意識が保てない
すると、トキ殿下は、唇を少し離して、
「もっと欲しい?ん?」
とつぶやいた
私は甘美な魔力を本能のまま求めた
「ほ……し…」
言い切る前に再び口付けが再開し、
私はその魔力の気持ちよさに抗えずに、理性が働かない
羞恥心どこいった?
トキ殿下に与えられるままに、私はその腕の中で眠りについた