127.新月の夜は眠れない
日が落ち、夜がやってくると、真っ暗な闇が夜空を埋め尽くす
月のない夜はやっぱり不安だ
私がソワソワしていると、ラディアさんは
「殿下方をお呼びしましょうか?」
と声をかけてくれた
「……………いえ……。」
ほら、2人も忙しいと思うし、これからダリア様とご結婚される身ですし
はぁ……
落ち着かない……
「お休みになられますか?」
「………そうします……」
ラディアさんは私の支度を手伝ってくれた
完璧な寝る前の装いに身を包み、全く眠れないだろう闇夜を見つめながら、ベッドの端に腰掛ける
「はぁ……。」
気が重い
いつもの事とはいえ、やっぱりダメなものはダメなわけで
きっと、夢見も悪い
この夜空がそんな気持ちを煽ってくる
大人しく寝転び
モゾモゾとベッドの中で小さくなる
……眠れないかも
夜が怖い。目を閉じると、何かに飲み込まれそうな感じがして、恐怖心に包まれる
カタン……
ラディアさんは、ベッドの脇に椅子を1脚持ってきてそこに座った
「私でよろしければ、おそばにおりますので」
うぅっ。ラディアさんっ。優しいっ!!
私は起き上がって、ラディアさんを見つめた
誰かに甘えてしまいたい衝動を抑えきれない
だって不安なんだもん……
すると、ラディアさんは立ち上がり、ベッドの端に腰を下ろすと、
「失礼します」
といって、私をフワッと抱きしめた
思いもよらない出来事にちょっとびっくりしていると、
「落ち着くまで、おそばにおりますので、ご安心ください」
と言って、頭をポンポンと撫でてくれる
私はラディアさんの優しさに甘えた
しばらくして、私がちょっと落ち着いたのを確認すると、ベッドに私を横たえ、毛布をかけて、お休みの姿勢を整えてくれた
ラディアさんは椅子に座って、私の片手を握ってくれている
私はなかなか眠れなくてモゾモゾしてたけど、そのうち、ウトウトと眠気がやってくると、ラディアさんの手を握ったまま、闇夜の中の寝苦しい夢路へ旅立った……