117.調査報告2
フェンさんは改まって報告を述べた
「父に問いましたが、やはり記憶は曖昧なようでした。そして、『雨が全ての心を救ってくれた』と……」
「雨が?」
「はい。そして、この小瓶を渡されました」
そう言ってフェンさんは青い小瓶を取り出した
「あっ!!」
私は見覚えのあるその瓶の細工に思わず声を上げた
「どうした?」
みんなの視線が一瞬にして私に集まる
「その瓶は、お姉様の物だと思います。お姉様が魔法薬を作ってくれると、その瓶に入れられていました」
「何故そうだと分かる?」
一般的に流通している魔法薬も青い小瓶に入れられている
瓶の作りに大して違いは無い
でも……
「瓶の蓋の細工が……」
フェンさんは瓶を手のひらで転がし、蓋部分を色んな角度から眺めた
宝石のようなカッティングと、細やかな細工でできた瓶
「あと、多分、底にあおいお姉様の印が…」
私の声に反応して、フェンさんが底を眺めた
そして、
「この文様ですか?」
と、私に瓶の底を見えるようにして差し出した
瓶の底には、見慣れた文様が刻まれている
「そうです」
…………。
各々が考えをめぐらせる
お姉様の小瓶が何かあるのだろうか
謎だ
カイリ殿下が沈黙を破った
「あおいの魔法が何か影響していることは間違いないな」
お姉様はどこにいるんだろう
生きているのか分からない
でも、どこかにいる気がする
探したい
お姉様を
「あのぉ……お姉様どこかにいる気がします!どこにとかは分からないんですが、なんか、どこかにいる気がして」
「どうしてそう思う?」
カイリ殿下が私を見つめて聞いてくる
根拠は無い
何となくそんな気がする
それだけ
「何となく……そんな気がするんです」
自信なく答えると、カイリ殿下は「わかった」と言った
そして、フェンさんの方を向き、
「この件はユミにも少し話を聞こう。カシェにも直接会えるか?」
と、聞いた
フェンさんは、
「かしこまりました」
と、要件を承った
「さて。」
カイリ殿下が話の話題を変えた