111.呼び出し
あれから私の日常は、ある意味いつも通りだ
今までが異常だったんだと思う
カイリ殿下もトキ殿下も、これから国の王になる人達
そんな2人が、ここに頻繁に足を運んでいたということ自体が普通じゃなかった!
うんうん。
冷静さを取り戻せば、あれは何かの夢だったのかもしれない
私の利用価値なんて、クリスタルを通してこの国の魔力を浄化していることくらい
それもダリア様が担ってくれるなら、私は何もすることが無い……
今もほとんど何もしてないけど……
「……さき……ま」
「みさ……」
「みさき様!!」
はっ!!!
近くでエリちゃんが呼び掛けてるのにまつたく気づかなかった
「なっ!なに!?」
慌てて返事をすると、エリちゃんは
「ダリア王女殿下からご招待が届いております。」
と言った
「……………。」
何でダリア王女?!
私が失礼な振る舞いをしたから、その罪が問われるのだろうか……
「会って是非お話をしたいので明日、来賓館でお待ちしております。との事ですが、いかが致しますか?」
これは……行かないといけないのか……
「行かなきゃダメかな……?」
エリちゃんは難しい顔をして
「ダリア様は隣国の姫君であらせられます。友好国との国交は、あまり無下には出来ない。というのがカイリ殿下とトキ殿下のお考えかと存じますが……」
コソコソ生きてきたツケが回ってきたというのか
私も魔力が使えたら、お姉様みたいにマリアとして、堂々と生きて行けたのかもしれない
お姉様……どこにいるんだろう
そういえば、お姉様の気配を感じることがたまにある
この教会もお姉様が施したものだから、それでなのかな……?
「ハァ………」
明日のことを考えると、ため息しか出ない
私はため息に埋もれながら翌朝を迎えた