108.噂話
目が覚めたら誰もいなかった
昨日はお疲れモードの2人にサンドイッチされて寝た気がする
なのに、朝起きたら誰も居ない
「……。」
起き上がってぼーっとしていると、エリちゃんが支度の手伝いにやってきた
私は今日もいつもの服を着て、いつも通りのご挨拶をする
少しでも、人々の心が穏やかになればいいなぁと思いながら
いつもと変わらず、クリスタルはキラキラと輝いている
でも、今日は教会に来る人の空気が違った
街で何かあったのかな?
私はこっそり陰に隠れて人の噂話に耳を傾けた
『これからは、ダリア様がこの国の魔力を浄化されるのだろうか?』
(ん?ダリア様とは??)
『何でも、神の遣いと言われているらしいぞ。強い聖属性魔法を使えると言う噂だ。』
『トキ殿下の幽閉が解かれたのも、もしかしてダリア様のお力があっての事なのかしら?』
『カイリ殿下とトキ殿下が成人になられれば、戴冠の即位式が行われて新しい国家が始まる』
『となると、やはりこのタイミングでいらっしゃってるということは、ダリア様を王妃にお迎えになるということか……』
なんとっ……!?
ダリア様………?
王妃って言うことは、そのダリア様と、カイリ殿下とトキ殿下がご結婚……するということなの?
私は、昨日のトキ殿下が言いずらそうにしていた言葉を思い出した
『隣国のお客様』きっとそれがダリア様だ
そうなんだ……
思いがけず知ってしまったことが、
思いの他ショックだった
トボトボとお部屋に帰り、ソファーにポフンと
身を投げる
それからどうやって過ごしたかあまり覚えていないけれど、エリちゃんに『カイリ殿下とトキ殿下が夕方おいでになられるようです』と言われて、「会えません…」と言ったことは覚えている
気持ちの整理が追いつかないまま、時間だけが過ぎていった