106トキ殿下お疲れモード
突然のお茶会から数日後
何気ない日常が過ぎていった
平穏に、穏やかに
でも、どこか物足りない
今までが賑やかすぎたのかもしれない
だからかなぁ…なんかちょっと寂しい……
皆、何してるのかなぁ~
窓際の咲きかけの蕾に触れると、そのキラキラとした花びらが月夜に揺れる
そして、視界に入る指輪に視線を移す
カイリ殿下も、トキ殿下も、あの日以来音沙汰がなかった
はぁ……
自分がこんなに寂しがり屋だとは思わなかった
窓際のソファーにゴロンと転がりながら指輪を眺めていた
すると、ユミさんがドアをノックして入って来る
「みさき様。おくつろぎになられるのは結構ですが、お客様がいらっしゃっています」
「お客様?!」
私はソファーから慌てて起き上がり、スカートの裾を整えた
ユミさんの影から見慣れた2人が現れる
「会いたかった…」
トキ殿下はそう言って私に向かって手を広げて向かってくる
私は反射的に両手を広げてトキ殿下のバグを受け入れた
「はぁ……連日口うるさい人達の相手をさせられて、癒しが足りない……」そうグチりながら私をギュッと抱きしめる手に力を込める
なんか久しぶりだ
トキ殿下の腕の中は暖かかった
私が大人しく腕の中に収まっているのに満足したのか、トキ殿下はそのま私を抱き上げて、ソファーに座った
「え。あの……下ろして……」
私は控えめに訴えてみるも、そんな気は全くないトキ殿下は、膝の上に横抱きに乗せたまま私の頭を自身の肩に乗せるように抱きしめ、ギュッとホールドしたまま、背もたれに寄りかかった
聞くまでもなく、お疲れモードのトキ殿下
「はぁ……ごめんね。寂しかったでしょ?」
そう言いながら、私の髪を撫でる
「い…いえ……」
本当のことを言えばちょっと寂しかった
でも、なんか素直に言えなくて否定してしまう
「そぅ?でも、僕は会えなくて寂しかったから、もうちょっと充電させて?」
そう言いながら、私の首筋にキスをした
思いがけない刺激にピクっと体が反応する
充電とは!?!
私は身構えてトキ殿下のシャツをキュッと握った
「あ。ごめんごめん。つい……。びっくりさせちゃったかい?」
そう言って、ポンポンと私の頭を撫でながらも、私を離してくれる気配は無い
私は体をトキ殿下に預けたまま、しばらくの間まどろんだ