103.結晶石
私の魔力の結晶石……
ソファーに座りながらテーブルの上に置いてあるクリスタルをぼーっと見つめて、1日を過ごした
今までは何も気にしてなかったけど
目に見えたものになると、気になってしまう
う~~ん………
ソファーにゴロンと横たわりながら、指輪のはめられた左手を天井に掲げる
指輪を見ると、カイリ殿下とトキ殿下が頭をよぎる
2人の瞳と同じ色の宝石は、光を反射してキラリと輝く
この宝石も2人の魔力でできてるって言ってたっけ……
私は鉱石の使われたアクセサリーを全く持っていない
人の思念や魔力が宿りやすい鉱石は、私とは相性が良くない
宝石を生成する過程で魔法が使われることもあるし、色んな人の思念が移りやすいから
ペンダントと、この指輪は身につけていると、不思議と安心する
にしても………左手の薬指……
しかも、あのシチュエーション
意味が無いわけが無い
あぁもぅダメだ!!
意識しすぎて口元が緩む
私はソファーに突っ伏して顔を埋めた
自意識過剰は罪だ
相手の気持ちを自分の良いように解釈するなんて、勝手が過ぎる……
でも……そうとしか受け取れない……
はうぅ~~!!!
1人でグルグル考えて悶絶していると、エリちゃんが封筒を持ってやってきた
「みさき様。こちら、ライラ様からでございます」
封筒を開けると、お手紙と、水色の台紙に切り抜かれたバラのイラストがあしらわれているカードが入っている
私は手紙に目を通す
流石、趣味で小説を書いているというライラさん
情熱的な文章と、美しい響の言葉が並ぶ
文字にしても、絵にしても、表現力って大切
見た人の心が動く
手紙の内容は、『遊びに来てね!お話しましょ!』みたいなことだった
薔薇の蕾に変化があったのもお話したい
すると、ユミさんが
白い封筒を持って現れた
「アルバ様とメリナ様からでございます」
んん??!
封筒を開けると、フワリと薔薇の香りが広がった
中には白薔薇のイラストが添えられた赤いカードが入っている
先程の薔薇の香りは、このカードから漂っているらしい
中のお手紙は、とても立派な文章で書き綴られていて、私には半分くらいしか理解できなかった
こちらも、要するに、『どうぞ、おしゃべりにいらして』
との事だった
どうお返事したものか……
なぜこのタイミングで、御三方から同時にお誘いのお手紙が届くのか
私が唸っていると、チリーンと、来客を告げるベルが鳴る
エリちゃんが対応に部屋を出る
もぅ、これ以上のお誘いの言葉が届くのは……
そんな想像をしていると、えりちゃんは伝言を携えて戻ってきた
「ラディア様が」
4人目………!!?
「明日、みさき様をお迎えに来られるそうです」
「どどどどどこに!!?」
私、この二通のお手紙にお返事をしきれないと言うのに……
「アルバ様とメリナ様、ライラ様が個々にお手紙を出されたことを知り、『それならみんなでお茶会にしましょう。』というお話にまとまったそうです。」
「ですので、ラディア様が明日お迎えにいらっしゃるそうです。お返事はいかが致しますか?」
びっくりしたーーー
にしても、なんで揃いも揃っていきなりお誘いをくださったんだろうか
そんなことを考えながら、明くる日を待った