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101.満月の月とともに2

「君を浄化したいだけだから。」


私を浄化?する?


「今日は満月だ。いつもなら浄化に泉に行っているはずだろう?」

カイリ殿下は私から少し離れて話しかける


「体、重いでしょ?これ以上そのままにすると、心が侵食されてしまうからね。」


「第4都市のクリスタルをみさきは直接浄化してる。自分の意思で魔力を使ったわけでないのであれば、蓄積していくしかない」


確かに。いつもなら満月の泉で浄化してるはずだ。泉の水は無くなってしまったし、鏡も割れてしまった今、行くすべがない


「これはあの第4都市のクリスタルだ」


そう言って先程のクリスタルを私の目の前に再度差し出した


片手にようやく収まるくらいの、大きめのクリスタルは月の光で美しく輝く

あの薄黒く濁ったクリスタルは綺麗に浄化され、本来の輝きを取り戻していた


「私が…?」


トキ殿下は、私が落ち着いたのを感じて抑えていた腕を緩めて、先程のバックハグの体制に戻った

近い………です………一瞬去っていったドキドキが再び私を襲う


「今、ここに1つの陣を敷いた。魔力の循環と、置換の魔法陣だ。」


カイリ殿下は距離をとったまま説明を始めた


「みさきは自分で魔力を使うことが出来ない。つまり、魔力の出力ができないということだ。だから、こちらから魔力を取り出して、浄化し、また戻してやらなくてはならない」


「は……はい。」


でも、それって多分……

私は想像した。きっと、カイリ殿下とトキ殿下二人と魔力の交換をしなければならない。

魔力に触れるのは……。過去の経験からするに……断片的な記憶しかないけど……////


私は恥ずかしさのあまり、顔を伏せる


「特殊な魔法なんだ。違う手段もあるんだけど……」

そう言って、トキ殿下は私の耳元のイヤリングに手を伸ばす。そして、そのイヤリングを外すと、耳元で

「それはみさきがもっと僕達に心を開いてくれたら……かな?」

と言って、耳にチュッとキスをした


んーーんーーっ!!

私はやり場のない恥ずかしさに身をよじる


「私の魔力を受け入れてもらわねばならない。心が拒絶すれば、魔力も反発するからな」


そう言って、カイリ殿下は私の様子を伺うようにクリスタルを持ってない方の手を私に差し出した


私はスっとその手をとった

カイリ殿下は、私の指にはめられた指輪を愛おしそうになぞり、

「この宝石は、私たちの魔力を結晶にしたものだ。これと同じように、みさきの魔力を、このクリスタルを使って結晶化しようと思っている」


そんなことできるの?


「みさきは自分で魔力のコントロールが出来ないから、器があった方がいいかな~と思って」

トキ殿下が私の耳元に向かって囁く


だから、近い。近いんです。トキ殿下っ!!

心臓のドキドキが止まらない

トキ殿下のせいだっ!


「……みさき?」

目の前の綺麗な赤い瞳は私を真っ直ぐに見つめている


「君は、私を受け入れてくれるだろうか?」


カイリ殿下のその真剣な眼差しに、私は顔を耳まで真っ赤に染めながら、コクリと頷いた


カイリ殿下は少し安心したように表情を変え、手元をたどって、私の目の前に座った


「カイリが暴走したら僕が止めるから。安心してね?」

トキ殿下は私のブレスレットを外してサイドボードに置いた


「外してもいいか?」

そう言ってカイリ殿下は私のペンダントに手をかける


「は……はいっ……」

カイリ殿下は私の首元に手を回し、ネックレスの金具を外す


私の首元を離れたネックレスは、同じくサイドテーブルに並べられた


トキ殿下も自分のアクセサリーを外して、サイドテーブルに並べた


「なんで外すんですか?」

私はふと疑問に思って聞いた


「魔力が影響しそうなものは外した方がいい」

そう言って、カイリ殿下は羽織っていたジャケットを脱いだ


私は、なされるがままの状態で、身を任せながら、緊張しまくってドキドキだけが高まっていった


「ね?僕が脱がせていいかい?」

トキ殿下が耳元で囁く


「えっ!!?いや!!」


「カイリの方が良かった?」


「いえ……あの!!あ……」


リアクションしきれずに、逃げ場のない状況で逃げ場を探す


すると、背中のリボンをトキ殿下が解いた


アッっ!!


スルスルと紐が解け、布がファサっとはだける


肌が透けるキャミソール1枚を残して上半身を形作っていた布は、はだけてしまった

恥ずかしさに、胸元を両手で押えて、うつむいた


すると、カイリ殿下は、私の手に、自分の手を優しく重ね、私を安心させるように、首筋に、額に、頬に、優しくキスを落としていく

甘い空気が辺りを漂う

フワフワとした気持ちいい空気に、私の体の力は次第に抜け、気づいたら、片手はカイリ殿下の指先としっかり絡んで握られていた

触れている肌から、甘い魔力を感じる


「僕の魔力はちょっと刺激的だから、また今度ね?」そう言ってトキ殿下は私のもう片方の手を奪って空いている手で私の髪を撫でた



カイリ殿下は私の首筋を撫でながら、胸元に触れて手を止めると、肌にサラサラっと魔法陣を描き、手のひらを当てる

そのままおでこをコツンとくっつけて私を見つめた

その眼差しに答えるように、私は自然と目を閉じ、うっすらと口を開く

カイリ殿下がゆっくり唇を重ねると

その舌先から送られてくる甘い魔力に脳が……溶ける……

快楽中枢を刺激しながら、全身に魔力が回る

ふわふわとして意識が保てない

私はトキ殿下に身を預けながら、本能のままカイリ殿下の魔力を欲した


カイリ殿下の魔力は甘い。甘さにトロトロに溶かされる。混ざり合う魔力の気持ちよさに意識が保てない


ベッドの下に施された魔法陣はうっすらと輝き、その光にゆらゆらと照らされながら、身体中を巡る甘美な魔力の快楽に身を預けて、私は意識を手放した


満月は窓の外から私を見つめていた…

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