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10.クリスタルと私

礼拝堂に入ると、窓から月の光が差し込み、クリスタルが妖艶に輝いている


「美しいな…」

その輝きを見てカイリ殿下は呟いた


「殿下…」

ユミさんが声をかける

「少しお時間をよろしいでしょうか?」


「構わないが?」


「殿下はクリスタルとマリア様について、どの程度ご存知でしょうか?」


「マリアについては邸内では秘匿とされている。関わるべきでは無いとも伝え聞いているが、私はそうは思わない。私は長い間国を離れていたこともあって、噂話にも疎い。何かあるようなら教えてくれると助かる。」


「でしたら…」

ユミさんは私をちらりと見、


「クリスタルは主要6都市の教会に1つずつ配置され、全てはマリア様と繋がっております。クリスタルでの浄化は、実際のところクリスタルによって吸い上げられた穢れがマリア様の元に集まってくるようなイメージです。」


「先代のマリア様は、水を通じてこの国を浄化なさっておりました。運河や湖、神殿や教会など、全て水を通じてマリア様の魔力で浄化なさっていましたので問題なかったのですが…」


「当代のマリア様である、みさき様はご自身で浄化を行うことができません。このように星の光の力も借りてはおりますが、この国のものとは異なる特殊な魔力をお持ちなので、ご自身でお使いになることが難しいようで…」


(…すいません。ポンコツマリアで…)


「では、どうやって自身の浄化を?穢れたままの魔力は心身を蝕む。数年前の争いのようなことになれば…」

カイリ殿下は、そう言って苦い顔をした。


「ですので、みさき様は満月の夜に先代のマリアである、あおい様の魔力で作られた特殊な泉を使って浄化をされているのですが、昨晩、その水が消えたようで…」


「あの森はそのような場所だったのか……」


「ここからは私の憶測ではございますが、おそらく、もうあの泉を使わなくても良いというあおい様のお示しかと存じます。」


「それはどういうことだ?」


「陛下がみさき様の運命の方だと存じます。」


「…………。」


(!!!!!!?)


一同絶句


いやいや。話急展開すぎませんか?一国の王となるお方ですよ!?

話についていけない私とは違って、カイリ殿下は口元に指を添えて少し考え、


「なるほど」


納得したようだった



納得する要素あります?

こんなちんちくりんで右も左も分からないような女が運命の人ですとか言われて納得できます!?


「みさき様の体調が優れないのも、浄化不足が原因かと…」


それは、その通りなんですが…


「わかった」


何がわかったんですか!?カイリ殿下!!?


すると、私の目の前まで歩いてくる

私は怖気ずいて1歩後ろに足を引いた


「……はぁ…。何もしないから少し目を閉じていろ」

ため息混じりに告げられた言葉に大人しく従った


目を閉じると、暖かい何かに包まれたように感じた。

(…癒される…)

体の中のこもった熱はすっと引き、スッキリして目を開けた


「どうだ?」


「体が楽になりました。」

私は素直に感想を述べた


「応急処置に過ぎないからな…明日また様子を見に来ても良いか?」


これは、明日も会わなくてはならない流れなんですかね?王太子殿下ともあろうお方にそんな連日……緊張で私のメンタルの方が持たない

でも、断る勇気なんてない


「はい…」

小さく答え、礼拝堂から帰る殿下の後ろ姿を見送った

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