最強な奴
「こらこら、お父さんを敬えって小学校の時習っただろ?
そ・れ・に・っ航の機嫌を良くする話もあるんだよっ」
理事長は航の方にウィングして
1枚の紙をファイルから取った。
「俺の機嫌を良く話?何だよ?」
航のまだ不機嫌は治っておらず
拗ねた子供のようにそっけない態度をとる
理事長のちょうど後ろにいた優希は、不思議そうに紙を見る
そして優希はその紙を見て、大きい目を更に大きくする
「確か、この子って・・・・。」
優希の驚きぶりから相当凄い物が書かれているのだろう、航も少し気になり
「何だよ、俺にも見せろ」
と不機嫌そうに言って、理事長の手からスッと紙を取る
そこには随分と可愛いらしい少年の写真が貼ってあり、長々とプロフィールが書き込まれている
「何だよ、ただの履歴書じゃねぇか。
こいつがどうにかしたのか?」
優希が口をパクパクさせ、霊でも見たような顔をしている
「・・・航、もしかして日向歩を知らないの・・・?」
日向歩・・・・?
名前まで女みてぇなんだなと航が言おうとした瞬間
「しょうがないよ航テレビとか興味ないから見ないし
見たとしても、男子の試合しか見ない子だから」
理事長は苦笑いを浮かべながら優希に言う
そして優希は少し呆れたような顔をして航から履歴書を奪う
「この子はね、日本中学生ソフトテニス大会の優勝記録を塗りかえた子だよ。
中3の時の準優勝以来公式試合は出て来なかったんだけどね
航も中学の時全国優勝候補者だったのに名前すら知らないなんて無頓着にも程があるよ」
優希の大げさな呆れた声が室内に響く。