始まり
ランたちギルドメンバーだけではなく、レーベの町ぐるみで冒険者ギルドの準備をしてやって来た春に、ギルドはその扉を開くこととなった。
町人に限り事前登録も受け付けていたため当日はそれほど混乱なく収める事が出来たが、近隣の村や町からも人が来て登録していたのには驚いた。それほど噂が広まっていたらしい。
過疎になりかけていた町は空き家がすぐに埋まり住民も増え、新町長となったラッドマンもほくほく顔だ。
税金も増えるし、壁の補修や拡大、農地の整備が出来ると言う。
冒険者の登録作業に、依頼の受付と掲示、揉め事の仲裁…町一つだと言うのに多岐にわたる依頼を捌き、急ぎ足で3ヶ月ほどが過ぎた頃、王城から呼び出しがあった。
いつものようにランがギルドへと出勤すると、既にいたヤギ獣人のトーマスが目に見えて狼狽えていた。
「おはよう!…どうしたの?」
黒い体毛だし頭もヤギなので顔色は分からないが、三日月の目がウロウロしている。
「トーマス?」
声を掛けるとやっと来た!とばかりに駆け寄ってきた。
「ギルマス!!これ!!」
略称以外はいつも丁寧な言葉遣いなのに、それを突き出してきた。
「…手紙?」
「は、はい。先程メルルに入りました。お、王家の紋章です!」
上質な紙に金色のリボンが巻かれて、大鷲が冠を抱いた封蝋が押されている。
「わかった。…預かるから、慌てないで。通常業務をしておいて」
「は、ハイッ!」
なぜか敬礼をしてトーマスは自分の席に戻る。
苦笑しつつ2階へ上がると、ギルドマスターの部屋の扉を開いた。
(いつ見ても立派な部屋だなぁ…)
むしろこの部屋には自分が似合わないと思う。
それもそのはず、セイに”お願い”をされた宰相が送りつけてきた執務机や椅子などが、所狭しと黒光りしているからだ。
床も落ち着いた赤紫のふかふかした絨毯が敷いてある。
以前の建物なら床が抜けそうな重量だが、シャンメリーがレンガで補強してくれたお陰で家具を置いてもミシリとも言わなかった。
(シャンに感謝だな)
執務机の方には行かず、横にあるこれまた豪勢な応接セットのソファに飛び乗るように座ると、封蝋を解く。
小さな光が飛び散ったので、きっとランしか開けない用に魔法が掛けられていたのだろう。
「なんだろ?」
紙は3枚重ねで内側に内容が書かれている。1枚目を読んでランは素っ頓狂な声を上げた。
「…はい!?」
長々とした丁寧な文章で書かれているが、要約すると「冒険者ギルドという有用な仕組みを考えて創ってくれたから勲章と報酬をあげるよ」との事だった。
(2枚目は誰だ)
2枚めは目録。大金貨の恐ろしい枚数に魔物の皮、鉱物などなど品物の名前が書かれていた。
(じゃ、じゃあ3枚目は!)
「丸尾さんだぁぁ〜」
意識せず止めていた息を盛大に吐くと、内容を読む。
「…ふんふん、宰相と丸尾さんがそうしてくれたのか…うん?」
内容には叙勲の推薦のことと、冒険者ギルドの国内展開について書かれていた。
「いつの間に…?」
国内の主要都市に既に同じ規律で冒険者ギルドを立ち上げたという。
商会はもちろんエドワード商会をメインで使っており、ギルドマスターも騎士団や魔法師団、文官から選抜した者だから安心して欲しい、そちらの面倒は見なくてい良い、とまで書かれていた。
「道理でエディが帰ってこない訳だ…」
内容は言わず大口取引のため王都に行くと行って出ていったのだが、既に2ヶ月戻っていない。
彼からの手紙は母親のグレースと、なぜかモニクに届いているので「生きてるな」とは思ったのだが。
「げっ」
手紙を読み進めると、エドワードと彼の商会を取り押さえようとした父親を罰したとある。
「あ、危なかった…」
エドワードだから冒険者ギルドの様々な販路を任せたのだ。
彼の父はお呼びでないし、エドワードを見た目で追い出した人だ。絶対に奪い取られたくない。
「そうかぁ。そういう危なさもあったのか…」
グレースが王都に行くエドワードを悲壮な顔で見送る筈だ。
父親は離縁したと言っていたので、もう頭の中から消えていた。
こちらは消しても、あちらは金貨を背負ったエドワードを見逃さなかったらしい。
「全く酷い親もいるもんだ…」
すまんエディと、心の中で詫びる。
「で、だ」
手紙の中には明日に迎えに行きます、と書かれている。
こちらで式典の服は用意するので、普段着でいいともあった。
「助かるぅ」
例え出立までに時間があっても、レーベの町では王宮に着て行ける服など仕立てられないだろう。
「えーと…側付きは2名まで…」
一瞬、ジゼルとモニクの姿が思い浮かんだが、頭を振る。
彼女たちは黒鹿亭と冒険者ギルドも手伝っているから手が離せない。
「アレックスたちだな…どう考えても…」
元、王宮の騎士だ。マナーや立ち居振る舞いなどは誰よりも完璧だろう。
「よし、そうしよう」
階下へ行くと、王様から冒険者ギルドの仕組みについて勲章を貰うことになった、と職員に告げると皆一様にあんぐりと口を開けた後、飛び上がった。
「そ、そんなにすごい事…?」
「当たり前です!!普通は武功を上げた者しかもらえませんよ!」
「へぇぇ」
「すごい、すごいよ!!」
何やら皆、誇らしげな顔だ。
そういうものかな?と思うことにして、ランも喜んだ。
「で、明日、迎えが来るらしい」
「えっ、急ですね!」
「ギルマス、服ありますか?」
「それは向こうで用意してくれるって」
一瞬緊張した面々が、ホッとしたように息を吐いた。
「一週間くらいかな?ちょっと空けるけど、ヨロシク。何かあったら…ここに連絡ね」
メルルの宛先をトーマスに渡すと、少し固まった。
「…宰相閣下のお屋敷ですか…」
「そこしか知らないんだもん。側付きは、アレックスたちを連れてくよ」
「あー…まぁ、そうですね」
「他は誰も礼儀なんて知らんからなぁ」
皆は彼らの出身を知っているから頷いていた。
自分とアレックスたち3人が抜けても、そろそろ大丈夫だろう、と思っていたら誰かが裏口から入ってきた。
「失礼します。…ギルドマスターのラン様はどちらに?」
「はーい!あ、あなたは丸尾さんの護衛で来た…?」
「そうです。ギルドマスターが不在となりますので、代理として派遣されて来ました。一応、規約は叩き込まれましたが判断はお伺いしますよ。ま、皆さんの護衛だと思って下さい」
ニコリと初老の騎士は笑った。
名前はオーウェンといい、気さくな態度からあっという間にギルド職員に馴染んだ。
「すみませんねぇ、よろしくお願いします」
「いいえ。セイ様からラン様のギルドを必ず守って下さい、と言われておりますので」
「ありゃ。向こうに言ったらお礼を言わなくちゃ」
セイは何かと甲斐甲斐しく贈り物をしてくれている。物品はあちらのほうが良いものを持っていそうなだけに、お礼が難しかった。
「では、明日は…というより今日からよろしくお願いします」
「はい、お任せ下さいませ」
オーウェンとギルド職員たちにあとを任せて、アレックスを探しに出る。
ギルド裏にある元アレックスたちの家は、冒険者ギルドで買い上げて職員たちの休憩所や仮眠室、治療室として使っているので、今の彼らの寝床は黒鹿亭近くのアパートだ。
このアパートもエドワードに説明して、廃業した宿屋を買い上げてもらい作ったもの。
外も中もリフォームもして管理人も置いたのでアパートと言うよりは下宿に近いが、自炊をしない者が住むには安全で安い。
「おー、いたいた。アレックス!!」
アパートを目指して歩いていると、ちょうど集合玄関から出てきた2人を見つけた。
「どうした?」
「これっ…」
走ってきたので息が荒い。手紙を渡すとシャールが検分した。
「…おやまぁ、すごいですね」
「勲章だと?俺も貰ってないのに…」
「貰ったじゃないですか。アレ」
「アレは押し付けられたと言うんだ。数の内に入れてくれるな」
どうやら現王の父を守った時のことらしい。
「明日、王宮から迎えが来る。で、アレックスとシャールに来てもらいたいんだけど…」
そう説明すると、2人はすぐに了承してくれた。
「いいの?」
てっきり戻りたくないと思っていたのだが。
「別に構わん」
「他の人はマナーなんて、わからないでしょう?」
どうやらもう吹っ切っているようだ。ランは安堵する。
「服はあっちで用意してもらえるって」
「!」
アレックスがなぜか目を見開く。首を傾げていると、シャールがクスリと笑いながら言う。
「という事は、ランはドレスを着るのかな?」
「えっ!?ドレス!?」
考えていなかった。冒険者ギルドだし、てっきり騎士のような服を思い浮かべていたのだが。
「ズボンじゃないの?」
「そんな訳ないだろう。女性だからドレスだ」
「ええ…」
「いいじゃないか。可愛いよ?きっと」
「いやいや!おばさんだって!」
未だにクリアな鏡で姿を見たことがないランだ。王宮の美男美女に囲まれるのが怖い。
「これは、姫と護衛だな」
「うんうん、それはいい。護りがいがあるね」
アレックスとシャールは妙に乗り気だ。
逆にランはドレスと聞いて逃げ出したくなった。
「何か持っていくものはあるの?…服以外で」
「ない」
「王が呼び出すという事は、何もいらない、ということだよ」
身一つで大丈夫、とシャールが言うが、下着とかいらないの?と思ってしまった。
自分には収納があるので良いのだが。
(あ、そうか。2人には実家があるんだ…)
領地は別だが、王都にはタウンハウスというものがあると聞いた。
領主たちは社交シーズンだけに使うが、2人は王宮に勤める騎士だったため、そこへ住んでいたという。
「うーん…わかった。あ、ギルドの方は前にセイと一緒にギルド認可の手紙を持ってきた護衛騎士の人が来てくれたよ」
「なら大丈夫だな」
王宮の騎士ならば傭兵が束になっても敵わないという。
凄い自信だと思ったが、それくらいの実力がないと務まらないのかもしれない。
(自分の心配だけしよう…)
その日は特定の人だけに不在を伝え、黒鹿亭に戻って心を落ち着けることにする。
「ハリソン、ジゼルは?」
「厨房ですよ。新作を作るって」
「あー…じゃあ後でいいか」
集中している時にとんでもない話を持ちかけないほうがいいだろう。
ハリーと一緒に厨房にいるそうなので、先にハリソンへ王都行きを伝えると目を見開き、喜んでくれた。
「やりましたね!!…そのうち呼ばれるとは思っていましたが…早かったですね!」
今日の夕食はご馳走にしますね〜!と言ってくれる。
「呼ばれると思ってた?」
以前は王宮に轟くほど名を上げて清子を助けに王宮へ乗り込むつもりでいたのだが、今はもうその必要はないし、逆に呼ばれるとは露にも思っていなかった。
「ええ。民衆に支持される人というのは、権力者にとっては魅力的ですからね」
「あー、なるほど…」
ランが納得していると、ハリソンはお客さんの受け売りですけども!と照れていた。
モニクが薬草摘みからちょうど戻ってきたので、同じように伝えると、気をつけて行ってきて下さい、とあっさりと言われた。
「冷静〜…」
「功績もありますが、聖女ですからね」
「聖女じゃな…」
「貴女はそうでしょうけど、彼らはそうではありません」
「うう…」
うなだれるランにモニクは笑う。
「褒美を受け取り、ギルド運営費用に当てましょう」
ヤケクソになったランは叫んだ。
「…そうだね!!!」
食堂を閉めた後の遅い夕食にはハリソンの宣言通り、新しいメニューが並びご馳走となった。
ハリーもジゼルもランの王都行きを驚きつつ祝ってくれ、とっておきだというお酒まで出してくれた。
食卓にはアレックスとシャール、それにギルドのお仕事を終えて帰ってきたシャンメリーも加わって大騒ぎとなってしまった。
「王様かぁ…昔は滅ぼそうと思ってたものの、一つでしたねぇ…」
「ちょっ…そんな事考えてたの!?」
「昔ですよ、昔。今の王様じゃないです」
どうやら魔導王国時代の事らしい。
「まぁ、ギルドを潰そうとするやつがいたら、滅ぼしますけどね」
ワインを飲みながらニヤリと笑うシャンメリーに、シャールが言う。
「物理は駄目ですよ。こういうのは、裏から手を回して相手がわからない内に…が定石です」
「どこの定石だ」
アレックスがギョッとしながら言う。
しかしシャンメリーは興味を引かれたようだ。
「どのようにやるか、教えてもらっても?」
「ええ、いいでしょう」
そう言うと二人は席を移動して、ワインとチーズをツマミに怖い話をし始めたのでランは意識的に耳を塞いだ。
「で、ドレス着るの?どんなやつ?」
「わからないよ。用意はしてもらってるみたいだけど、ドレスじゃないかもしれないし」
「いーや、ドレスだね!…見たかったなぁ」
ジゼルはまだたくさんある食事を取り分けてランの前に置いてくれる。
なお、ジゼルとモニクに王都へ行きたい?と訊いた所「頼み込まれても絶対に嫌だ」と不安になる返事を貰ったランだ。
「きっと高級な魔物素材なんだろうなぁ。魔蚕かな?」
「魔蚕?」
「20センチくらいある、でっかくて白いイモムシの繭だよ。虹色に光るの」
昔よく山奥に取りに行ったなぁ、大変だったなぁ、とジゼルは言う。
ランが気になったのはそこではない。
「にじゅっせんち…?」
「紫クラゲの糸かもしれませんよ。ちなみに全長5メートルほどあります」
これも依頼で、船に乗り沖合に採取しにいったらしい。
普段は透明だが叩いて怒らせると紫色になるとか。そこで捕まえてしめると色が固定するそうだ。
「…なんか、着て大丈夫なの、それ」
魔物素材は冒険者ギルドで大変お世話になっているが、かぶれそうだ。
「まぁ、叙勲の…聖女の衣装ですからね、最高級品だということですよ」
ハリソンが双子のからかいに苦笑しながら付け加える。
「行きたくないけど、見たかった!」
「うーん、こっちって写真ないからなぁ」
「写真?」
「えっと…」
スマホだのデータだの、そういう話はシャンメリーにしか理解できない。
「カメラって道具で撮影すると…紙に色付きで残せるんだよ」
ランがざっくりと言うとハリーが言う。
「そういうスキルがあったはずだが…」
「あー。母さんか!」
ハリソンも思い出したらしい。ポンと手を打つ。
「なに?どんなの?」
「ええと…念写スキル、だったかな?母さんは魔力があまりなかったから鮮明には写せなかったけど、薬草をラベルに念写して瓶に貼ってた。懐かしい…」
「それはとても珍しいスキルですよ」
「うん!いいなぁ。ユニークスキル」
モニクとジゼルが言うと、ハリーも懐かしそうに微笑む。
「あいつの父親だったか?たしか、侯爵家の司書とかなんとか…」
侯爵家の司書となると、確実に貴族だ。
「…ひょっとしてお嬢様ってやつ??」
「おう。胃袋を掴んでやったんだ!」
いつの間にかドレスの話から、ハリーと奥様の馴れ初めの話に移行する。
ランはその様子を不思議に思いながら眺めていた。
(どこ行っても、こういう話は盛り上がるんだなぁ)
生活様式は違うが、会話の内容はあちらとそれほど変わらない。
(それとも、私が馴染んできた?)
ギルドが安定するまで、本当にバタバタの毎日だった。
やっと自分が落ち着いてきたことを感じて、嬉しくなる。
「どうした?酔ったか?…いや、まだ酔うほど飲んでないな」
「うん。…アレックスたちはさ、どう?」
「?…どう、とは?」
「幸せかなって」
「む?」
ランの頬は少しだけピンクに染まっているが、目は真剣だ。
思わず苦笑してしまう。
「…幸せがどういう状態をさすのか俺には分からん」
毎日同じことを繰り返す騎士団では考えたこともなく、むしろ考えないほうがよかった。
世話は侍従たちがしてくれる。金も溜まる一方で…戦争もない時代だ。このまま老いるまで騎士団にいて若者をしごき、引退して悠々自適な生活をしていくのだろうとは思っていた。
(結婚だけはいまいち想像できなかったが)
貴族女性が苦手だったから仕方ない。どちらかと言うと、下町の食堂で給仕をやっている女性や、娼館の女性の方が気安かった。
「王女様に言って、騎士に戻る?」
「!」
ちょうど過去のことを考えていたので慌てる。
「いや、あそこには…」
そこまで言いかけて、心配そうな桜色の目と目が合う。
自分以外の人を心配するのはランの得意技だ。
(……なるほど)
騎士団時代、結婚はしないのかと同僚に訊かれて「自分の好みがわからない」と答えたらば、女は父親に似た男を、男は母親に似た女を選んでおけばまぁ失敗はしないと言われたことがある。
自分を心配するのは、いつも母親だけだった。
「どした?」
そう言いつつアレックスのカップにワインをドバドバと注ぐので、笑ってしまう。
料理もできる、給仕もできる、酒も飲める、話は合わせているのではなく合う、隠し事も皆無。
(それに…)
魔眼を綺麗だと言ったのは、彼女だけ。取り憑いていた魔物も彼女が退治した。
まさかランが聖女だとは思わなかったが、もしそうでなくても彼女はここまでやりきった気がする。
自分が知る狭い範囲の中の女性とは全く違い、楽観的に見えて冷静で行動力もある、楽しい女性だ。
(つまるところ…?)
酔った頭で考えるが、今一つ結論に至らない。
取り敢えず、王宮に戻るつもりはなかった。
「王女に護れと言われたから、俺はお前の騎士みたいなもんだ。…恩人だしな」
「ふーん?…別に守ってもらわなくてもいーよ?暇じゃないでしょ」
「まぁな。どうやって仕事を探そうか悩んでいたのは、全くなくなったな」
ニヤッと笑うとランもニッと笑った。
「じゃあいっか!仕事して、食べて飲んで、楽しいもんねー」
「そうだな」
ランの頭に手を乗せて柔らかい髪をぐしゃっと混ぜれば「やめろー!」と笑いながら小さな手が腕を叩く。
少し離れた席から舌打ちと「進展なしか」という言葉が聞こえてきた気がするが、気にしない。
自分にとっては、今の状態が”幸せ”に感じられたから、この一瞬を壊したくなかった。
今日も賑やかな食卓を終えて風呂を借りアパートに戻りシャールと別れると、あっという間に睡魔が襲ってくる。
(ドレス、楽しみだ…)
生まれて初めて女性のドレス姿を楽しみにしている自分が居ることに、まだ彼は気づいていなかった。