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高校時代にタイムリープした僕は、絶縁した幼馴染にただ幸せになって欲しいだけだった。  作者: ミソネタ・ドザえもん
告白をやり直す。

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強敵

 決勝戦という肩書こそあるものの、一応学校行事という場も相まってか、少しだけ和気あいあいとした雰囲気で試合は開始された。

 初回の僕達の攻撃。一番は、板野君。


「いけえ、板野っ!」


 バットが振れている彼に寄せられる声援は大きい。そんな声援に笑顔で返しつつ、板野君は右打席に入った。


「よろしくな」


「こっちこそ」


 マウンドにいる岡田君とバッターボックスの板野君が微笑みあった。

 相変わらず和気あいあいとした雰囲気。


「おらああっ」


 が、それはまもなく終わりを告げた。

 岡田君の全力投球。唸りを上げるストレートに、キャッチャーはボールを取れなかった。


「ストライク」


 しかし、判定はストライク。

 

「うへえ」


 バッターボックスから目を丸くしているのは板野君。


「言っておくが手は抜かないぞ。俺はそういうのが一番嫌いだ」


 そして、そういう岡田君の眼差しは気づけば真剣なものになっていた。生真面目な性格が災いし、どうやらこれから僕達は彼の全力投球になぶられることになるようだ。

 初回の僕達は攻撃は、岡田君の三者三振であっさりと終わってしまった。その裏、岡田君達の攻撃。


 先発板野君は、ピッチングの方も好調で一、二をあっさりと討ち取った。

 そして三番は、岡田君。


 カキィン


 乾いた音が響いた後、打球は校庭の奥まで飛んでいった。

 ホームラン。先制は岡田君達のチームとなった。


 二回の表。


「ちゃんと決勝まで上がってきたか。修也!」


 打席に入った僕に、岡田君がマウンドから声を張った。その声は、実に楽しそうだ。


「そっちこそ、随分とすごい活躍みたいじゃないか」


「まあな。優勝を目標にやってるんだ、こっちは」


「それはこっちも一緒だよ」


 だから、いくら岡田君が難敵であろうと、負けるわけにはいかない。

 絶対に打つ。

 その意気込みで、僕はこれまでの必勝パターンだったインコース封じの内角きわきわでバットを構えた。


 ヒュー。

 口笛が、マウンドから聞こえた。


 これだけインコースきわきわに立ってわかったことだが、当初の僕の見込みよりこの戦略は効果があったらしい。相手にぶつけるわけにはいかない。無意識にそんな意識が働くのか、これまでの対戦ではどうしても相手ピッチャーのコントロールは甘くなった。


 岡田君はワインドアップから初球を投じた。

 アウトコースのストレート。僕のバットは空を切った。


 は、速い……!


 今日一番の速さだ。これは数球は見ないと打てそうもない。ただ、岡田君はいくつかの変化球も操れる。それも念頭に置いて打席に入らないといけない。

 一体、二球目は何を投げてくるのか。初球ストレートでビビらせてからの、変化球だろうか。


 岡田君の二球目は、ストレート。


 僕は、バットを出せなかった。判定はストライク。

 あ、あっさりと追い込まれてしまった……。


 三球目、何で来る。

 ここまで来たらストレートで押し切るだろうか。そんな気がする。彼、結構勝ち気だし。


 であれば……狙いはアウトコースのストレート!


 岡田君の三球目は……。


「ストラーイク!」


 インコースのストレート。

 思わず腰を引かせてしまったが、まったく危うくないコース。ストライクだった。


「言っとくが、俺にそんな小細工は通用しないぜ」


 マウンドから声が聞こえた。その声の主は、まさしく岡田君。僕の意図など察していると言いたげな声だった。

 ただ、それはどうやらハッタリなどではないらしい。

 思えば以前から僕は、彼のコントロールの良さを知っていたではないか。そんなコントロールの良い彼相手にインコース封じは、効果は薄いに決まっている。


 苦虫を噛み潰した顔で、僕はベンチに戻った。

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[一言] 忙しくて読めない期間があったとはいえ終わってしまっている…続きが…続きが読みたい…
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