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タイトルを変更しました。新タイトル共々何卒よろしく。
「ねえ修也、あれ見て」
メイドさんを隣に引き連れ、僕は文化祭にて活気づく学校を散策していた。いつもなら立ち寄らない三年の教室がある南棟は、一年の教室のある北棟より繁盛しているように見えた。
一体、何が皆を南棟に引き込むのか。それを解明できれば、二日間行われる文化祭、明日もっとウチのクラスの商売繫盛に繋がるかも、と僕はのんびり考えていた。
紗枝に腕を引かれたのは、そんな折のことだった。
「ん?」
紗枝の指さす方を見れば、そこにあるのは占いの館。
なるほど。スピリチュアル路線か。こういうのはピーキーな客しか寄せ付けなさそうだが、人入りは好調のようだ。長蛇の列に、僕は唸った。
「あれ、やりたい」
「どうしてまた」
「いいじゃん」
「良いけど、学生のする占いなんて、アテになるのかな」
「ならないの?」
「例えば、神社のおみくじを引いて、内容が当たった試しはある?」
「あー、そう言えばこの前御朱印集めに行った時におみくじ引いたけど、恋愛は成就するって書かれてた」
「へー。成就すると良いね」
「そうだね」
紗枝が微笑み、僕達は占いの館への列に並んだ。
……あれ?
今、なんだか紗枝に本題を逸らされたような気がする。
気付けば列に並んでいるし。
「占いなんて、あたし人生初だよ」
紗枝は隣で楽しんでいるし。
まあ、紗枝が楽しんでいるのならそれでもいいか。彼女の辛そうな顔は、出来ればもう見たくない。
「僕も初めてだ。スピリチュアルに頼るのはなんだか気が引けるんだよね」
「修也は丸めこまれて、怪しい壺とか買わされそう」
「アハハ。わかる」
わかっていいのか、甚だ疑問だった。
「まあ、学生の占いで怪しい壺の販促はされないから安心しなよ」
「でも、原価百円の壺を三万で売りつけたら、途端に僕達のクラスが優勝出来る」
「飛び道具すぎて反則扱いされるでしょ」
確かに、僕は笑った。
しばらくそんな調子で紗枝と会話を楽しみながら、僕は気付いた。
占いの館。恐らく教室の中では複数テーブルにて各々が占いをされていることだろうが、随分と占いの回転率が遅い。
この長蛇の列は恐らく、そんな回転率の遅さが祟った故の結果だろう。
法律相談番組が一回の放送につき、ゼロから二件の法律相談しか扱わないから、行列が出来るあれと一緒だろう。
占いの回転率が遅いでは、大幅な収益は望めないことだろう。
ただその代わり、長時間親身になって占い(お悩み相談)に付き合ってくれるから、顧客満足度は高そう。
そうか。
今日一日は回転率を遅くし、一人一人のお客に対して親身に対応。顧客満足度を向上させ、明日リピーターなり口コミで広がった客を大量に入れ込む見込みなのか。
顧客満足度。
リピーター。
回転度を上げることばかりに注視した僕達のメイド喫茶で、それは少し足りない分野だっただろう。
顧客満足度を上げて、リピーターを増やす作戦を練るべきだ。
……例えば、メイドに売った商品にしゅきしゅきビームを打たせたり、萌え萌えビームを打たせたり。
「修也、今変なこと考えているでしょ?」
気付けば、紗枝に僕の考えは見透かされていた。目を細めた紗枝が、少し怖かった。
何故バレたのか。これも十数年の付き合いに及ぶ、幼馴染関係の賜物だろうか。
そんな幼馴染関係を前回の時間軸で跡形もなく破壊したことに一瞬凹みつつ、
「紗枝、これ着なよ」
長蛇の行列で待つ間、メイド服だけでは寒そうだった紗枝に、僕は制服のブレザーを手渡した。
「え?」
「明日も文化祭あるし、君のご両親は明後日まで帰ってこないし、風邪は引けないだろ」
「……あ、ありがとう」
「うん」
紗枝はのろのろと僕のブレザーを羽織った。ブカブカのブレザーを見ながら、紗枝はまたしばらく静かになった。
早く僕達の番、やってこないかな。
顧客一人一人に親身な対応をするのも良いが、外の客を待たせすぎるのも困りものだな、と僕は考えていた。
主人公にイケメンムーブさせまくってるけど、主人公補正がかかってるだけだから気にするな。
いつになったら岡田は告白するのか、とか、気にするな。
気にせずどしどし評価、ブクマ、感想よろしくお願いします。




