タローの夢2
俺は、その店の扉を開けて、中に入ると否や真っ暗な店内の奥から
蝋燭の灯がすーーっと
こちらに近づいてきて、俺の目の前で止まった。
俺が、蝋燭の灯を見ていると、灯の後ろに、突然老婆の顔が現れ
ケケケ!!
いらっしゃい、今日は何の用だい
疲れて顔してるよ
あんた大丈夫かい
と、嗄れた声で声を掛けてきた。
俺は、老婆に
ああ、大丈夫だ、ちょっと歩き疲れただけさ
ところで、婆さん、ここは何の店だい?
長年、この街に住んでいるが、こんな店知らないぜ
と尋ねた。
老婆は、
おやおや?
あんた、ここが、どこか知らずに来たのかい!!
ここは、お前の心が、呼んだお店さ
皆は、ここを
マードック魔道具店
と勝手に呼んでいるよ。
ああ、あんたの欲しいものは
どこ行ったかね
お、あったあった
と言い、店の棚から、おんぼろの石のハンドルと地図を
差し出し、俺に手渡した。
老婆は、
これをお前にあげるよ
お代だって?
お代はいらないさ
お代は、お前の歓ぶ気持ちだけで、十分さ
さてさて、よくお聞き
この地図の✕印にいきな
そこにこの石のハンドルが入る窪みがある
このハンドルをセットして欲しい物を願いながら、
右に2回、回すと欲しい物がでる。
止める時は、止まれと願いながら左に2回、回しな
このことは、誰にも言うんじゃないよ
他人が知ると、ろくでもないことが起こるよ
気をつけなよ
信じるか信じないかは、タロー、あんた次第さ
じゃあね
と言ったかと思うと、俺の意識は霧に包まれた様に、そこで途絶え
気が付くと、俺の店から一本裏手に入った道の真ん中に立っていた。
俺は、夢でも見たのかと思ったが、俺の右手には、
あの老婆がくれた石のハンドルと地図が握られていた。