タローの夢1
ここは、チョーエイド。
とある世界に存在する、とある街である。
この街には、古くからこんな噂話があるそうな。
♪夢や希望はどこにある♪
♪貴方の願いが通じれば、♪
♪きっと見つかる不思議なお店♪
♪望みを叶えるマードックのお店♪
♪マードックに会えたなら♪
♪きっと望みが叶います♪
♪……は、……ぶ♪
最後の部分は、忘却の彼方に消えているそうな!!
この噂、信じるか信じないかは貴方次第!!
俺は、タロー、弟のジローと一緒に、ここチョーエイドで
小さな商会のタロージロー商会を営んでいるしがない中年男性さ。
さてさて、最近帝都では、塩の値段が日に日に上がっていてね。
俺たち兄弟も仕入れに難儀している次第さ。
いいものを安く、それでみんなが喜んでくれるそんな商会を目指して
俺たち兄弟は、それぞれ毎日、東へ西へ駆けずり回っている。
実際、他の商会のように塩の値段をあげて売るのは簡単さ。
だけどなここ帝都のチョーエイドの下町には、その日の暮らしにも困る人たちが
何人もいるのさ、だから俺たち兄弟は、ギリギリまで値上げはしないと誓っている。
しかし、困った、困った、うちが値を上げないことを良しとしない帝都の商会ギルド
が、裏で手をまわしてきて、仕入れにも困った状態だ。
このままでは、商会ギルドの思惑に屈して、塩の値段を吊り上げるか、もしくは
俺たちが廃業するかしかない。
俺は、
ちくしょう!!どうすればいいんだ!!
と悩みながら歩いていると、辺りが、白い霧のようなものに包まれ
来たこともないような裏路地に迷い込み、一軒の店
マードック魔道具店
という看板の掲げられたお店の前に、立っていた。