ツエーノの夢4
俺は、鞄から再びビッグボアに目を戻すと、
奴は、まさに俺にとどめを刺すべく、
まるでスローモーションの様に、
ゆっくり
と突進してくるのが、見えた。
俺は、目の前の現状に驚きながらも、
身体を動かし、持っていた予備の剣を
素早く構えて、奴の眉間に突き刺した後、
奴の突進の勢いを利用し、
横っ腹に刺さり放しの剣に手をやり、
身体に、湧き上がる力の限り、
横一文字に切り裂いた。
ビッグボアは、
グギャー!!
と言う、叫び声と共に、再び
ドーン!!
と大木にぶつかり、倒れ込み
ピクピク
と痙攣し続け、暫くすると動かなくなった。
俺は、肋の痛みを治すべく鞄から
ポーションを取り出し、一気に飲み込み、
その場で、横になりながら考えた。
何だ、この力は?
まるで、俺の身体じゃないみたいだ!!
スピード・力・技のキレ
全てが、俺が憧れていた
上級冒険者の動きのようだ。
と思い、鞄の中から、
黒い薬が入っている瓶
を取り出した。
そして、
この薬が、 あれば俺も上級冒険者だ
まさかあんな子供向けの昔話が、
真実だったなんて!!
誰も信じないだろうな
ククク……
……面白い……
この力使わせてもらうぜ!!
と呟くと、一気に立ち上がり、
仕留めたビッグボアを解体し
街へ持ち帰った。
そして、ビッグボアを持ち込むべく、
ギルドの扉を、開けたところ、
そこにいた奴らが、俺を見て、
鳩が豆鉄砲を喰らった様な顔を
しているのを尻目に、俺はギルドの担当者に
これで試験は合格だな?
と聞くと、ギルド中から
マジかよ!!
あのビッグボアの大きさ、 スゲーぞ!!
嘘だろう? あのツエーノだぜ?
等の声が聞こえ、辺りは騒然となった。
ギルドの担当者は、
は、はい
ツエーノ様、 Dランク昇級おめでとうございます
と言うと、更に騒ぎは大きくなった。
そこから、俺は、短期間で、様々な依頼をこなし、
帝都チョウエードの冒険者ギルドの中でも、
数少ない
Bランク冒険者
の一人になった。