ガースキの夢8
サールは、リュートより手渡されたナイフを見つめ、
それを抱きしめ、涙を流した。
リュートは、そのままサールの様子を見て、サールの意識が
再びこちらに向いたときに、
そのナイフは、あなたにとって特別なものなのか
と話しかけた。
サールは、
ああ、そうだ!!
このナイフは、俺の主が作ったもの
あれから数百年たったが、
その時思いすべてが詰まっている
と言い、涙をぬぐい、
ありがとう、久しぶりに楽しい気持ちにさせてもらえた。
お前たちを許す。
さあ、この山を下りろ
麓まで送ろう
と言い、リュートにナイフを返そうとした。
リュートは、少し考えた後、サールの手を押し返し
このナイフは、あなたに返します。
サール、このナイフはあなたがもつべきものです。
私たちは、もう逃げ場ない、落ちぶれた王家の者です。
いつ死ぬかわからないものが持つより、あなたに持っていただいた
ほうが、ナイフも喜ぶでしょう
と言い、サールの手を押し返した。
サールは、喜び
そうか、では遠慮なくいただくぞ!!
お礼に、お前の連れを俺のできる範囲で治してやろう!!
と言い、ジーンに対し、何やら呟くとサールの手のひらから炎がでて、
ジーンはそれに包まれた。
ジーンは、
なんじゃー!!
ウォー炎が儂を焼き尽くす!!
リュート様、やはりこいつは、化け物じゃ!!
あれ、熱くない、それよりも心地よい暖かさじゃ
意識がなくなる・・わぃ・・・
と叫んでいたが、炎に包まれながら寝てしまった。
サールは
ふん、それは、再生の炎!!
身体の欠損と体力が回復すれば、目が覚めるだろう。
それと、武器がないと不便だろう!!
ナイフの代わりにこれを貸してやる!!
用が済んだら返しに来い!!
と言うと、背負っていたバスターソードをリュートに手渡した。
リュートは、
サールありがとう!!
きっと返しに来る!!
と言い笑った。
サールはそれを見て
ふん、帰り道はこっちだ!!
分かりやすいように道を作っておいてやる
では、さらばだ
と言うと、金の爪を振り回し、木をなぎ倒し道を作りながら
去っていた。