ガースキの夢6
時は流れ、数百年後・・・
ここは、帝都から離れた霊峰フーシ山
そこへ入り込む2人の姿と、それを追う数十人の姿があった。
15歳くらいの若者の視点
若者は
はぁはぁ、爺、キズは大丈夫かぁ
奴らとて、ここフーシザンの恐ろしさは知っているはず
大丈夫さ、きっと大丈夫
さあ、この谷間の先で少し休もう
と、連れの爺さんの右膝辺りを止血しながら、声をかけた。
爺と呼ばれた男は、右膝から先をうしなっており、
リュート様、すみませんこの爺が不甲斐ないばかりに
油断してはなりません。
奴らは、リュート様の首印をあげるまでは、
地の果まで追いかけてくるでしょう。
この脚では、もうわしは逃げるのは無理です。
爺を捨ておき、リュート様だけでもお逃げくだされ
うっ!!
と話したが、その話は、飛来した矢が、右肩に刺さったこと
から、中断されることとなった。
二人の後ろから数十人の男たちが現れ、二人を囲みながら
逃げられちゃ困るんだよな
お前は、この国の第7王子
この国の王家の最後の生き残り
そして、俺たちゲーンの国にとって最後の邪魔者!!
この国の奴らの希望を打ち砕く最後のピースって訳だ
と言うわけで大人しく死ね
と言うと、問答無用で切りかかってきた。
爺は、リュートの背中を押し、谷間へ逃がすと、
リュート様のここは、おまかせを!!
早くお逃げくだされ!!
ウォー!!
我が名はジーン・セバス
トーク家、第7王子筆頭家臣なり
死にたいやつから前に出ろ
と言うと、谷間を塞ぐ様に立ち、右太ももに、
持っていた槍を突き刺し、身体を固定した。
追手の男は、
手負いのジジイに何ができる
やってしまえ
と、ジーンに切りかかった。
ジーンは、それを一刀のもとに切り捨て、
更に、次から次へと追手を切り捨てた。
追手の隊長は、
くそ、ならば弓だ!!
弓で奴を射抜け!!
と、命じ次々と弓を放った。
弓はジーンを次々と貫いたが、
ジーンは、
まだ、まだ死ねん!!
リュート様が逃げ切れる時間が必要じゃ!!
・・・
な・何だ・・・
まさかアレは
と呟きながら、震えだした。
追手の隊長は、
化け物め!!
第7王子を逃がすな!!
何をしているもっと弓を撃て!!
早くこいつをしとめろ!!
おい、どうした
みんな何をして・・・
と、言いながら周りを見渡すと、
そこには、先程まで元気だった
同僚達の姿は、物言わぬ肉片になっていた。
そして、代わりに、同僚達がいた場所に
血を滴らせた金の爪を舐めている
大型の猿のような生き物
が、残った獲物を物色するような目で、
生き残りの二人を眺めているのであった。
この間、初めて評価と言うものを頂きました。
この作品を読んでいただき、更に評価までしていただけたのは、
初めてでしたので、非常にうれしかったです。
この場をお借りしてお礼申し上げます。