サンーマ・イフーダーの夢
ここは、チョーエイド。
とある世界に存在する、とある街である。
この街には、古くからこんな噂話があるそうな。
♪夢や希望はどこにある♪
♪貴方の願いが通じれば、♪
♪きっと見つかる不思議なお店♪
♪望みを叶えるマードックのお店♪
♪マードックに会えたなら♪
♪きっと望みが叶います♪
♪……は、……ぶ♪
最後の部分は、忘却の彼方に消えているそうな!!
この噂、信じるか信じないかは貴方次第!!
私の名前は、サンーマ・イフーダー。
齢は80で、辺境都市ヤーマンの元領主である。
近頃は、歳のせいか身体が、弱りすっかりベットでの
生活に慣れてしまった。
昨日は、懐かしい夢を見た。
儂は、若い頃、帝都チョーエイドの騎士であり、軍功をあげて、
ここ辺境の地を賜ったのじゃ。
その時に儂が体験した不思議な話の夢をみた。
今朝、何時ものように目覚め、ベットの上で、寛いで
いたところ、息子のターリキが、血相を変え駆け込んできた。
ターリキは、
父上
大変です。
魔物の群れが街に向かっています。
と、叫びオロオロとしだしたのじゃ。
儂は、
落ち着くのじゃターリキよ
トップたるもの弱音を見せるでない。
どれ、わしがちと状況を見てこよう。
と、ターリキを一喝し、落ち着かせた。
なんと、情けない息子じゃ
このままでは、儂の大事な領民達に犠牲が出てしまう。
それだけはなんとしても避けなくてはならん。
儂は、状況を把握するため、
執事のチューヤンに命じ、車椅子に乗り城壁へ移動した。
そして、
地平線の向こうから、大量の魔物が押し寄せてくる
悪夢のような光景を見たのじゃ。
儂はすぐさま屋敷に戻ると、ヤーマンとの主な家臣達
を呼び寄せ皆に
ヤーマンは、家族を連れて、帝都へこの事を伝え、
援軍を要請せよ。
あとの者は、すまんが、儂と共に領民の為、
覚悟を決めて戦ってくれ!!
命令した。
ヤーマンは、
父上、私が必ずや援軍を連れて帰ってきます。
どうかご無事で!!
と言うやいなや直ぐ様、屋敷をあとにした。
儂は、
皆すまんな、儂の育て方が不味かったわ
あんな馬鹿な子でも、親からすればかわいいものなのじゃ
その代わり、わしが必ずや
ヤーマンと皆の家族は守ってみせる
では皆のもの
籠城の準備を致せ
と言い、会議を打ち切った。
次の日の朝には、魔物の群れは、街に到着し、
攻撃は熾烈を極めた。
儂らは3日3晩不眠不休で戦い続け、儂の意識は
疲労と寝不足から朦朧となった。
儂は、チューヤンに1時間だけ寝ると伝え、皆を
下がらせた。
そして目を瞑ると、何処からともなく、嗄れた
声が聞こえたので、目をあけると、前には、
若かりし頃帝都で、出会った老婆が立っていた。
老婆は、
ケケケ、サンーマ久しぶりだね
その様子じゃ、元気とはいえないね
私が昔、あんたにあげたブレスレットだけどね
まだ持ってんじゃないかい?
私との約束は、3回まで!!
あんたはあと一回は使えるよ
でもね
それ以上は使うんじゃないよ
どうなっても知らないよ
と言うと、老婆はまた闇に消えて行き、
私も再び睡魔に襲われた。
私は、ハッと目が覚めると、チューヤンを
呼び寄せ、宝物庫から、ブレスレットを持ってこさせた。
そうじゃ、これがあった。
これさえあればなんとかなるかもしれん。
儂はブレスレットを嵌めながら、
あの老婆の事や昔のことを思い出した。