ミーノの夢8
私は、自室へ戻り荷物をまとめ始めました。
と言っても私の荷物なんて、ほとんどありません
から2時間程で荷物整理が終わり、
あとは、ベッドの下に隠してある
小さな箱
を積めるだけとなりました。
私が、ベッドの下を覗き込むと
箱の蓋が空いており、
確かに入れたはずの
白い布
の代わりに、
銀貨が一枚
入っていました。
私は、まさかと思い、部屋を飛び出して
マーリンさんのところへ行きました。
マーリンさんは、私を見るとニヤニヤしながら
ミーノ!!
さっき、丁度グラスを磨く布の在庫が
なくなったらしくて、代わりのものを
探していたら、あんたの部屋の小箱に
同じ様な布が入っていたから、貰ったわよ
と、声をかけてきました。
私は、悔しくて、
酷すぎます!!
あれは私の宝物なのに!!
と言い、マーリンさんを睨むと
な、なによ、その眼は!!
お黙りなさい!!
侯爵の物は、侯爵の物!!
使用人の物は、侯爵の物!!
代わりにお金も払ったでしょう!!
明日でこの家を出るからと言って、
この私にそんな態度を取るなんて、
許しませんよ!!
と大声で怒鳴り返してきました。
私は、泣きながら、
すみません
と言い、部屋に帰りました。
そして、次の日の朝、侯爵家が手配してくれた
馬車に乗り込みました。
馬車が、出発する際、ふと屋敷を見ると、
キレーナ様が、こちらを見て居られるのが、
見えました。
私は、元気になられて良かったと思いながら、
お城へと向かったのです。
そして、それが、私が見た
キレーナ様の最期
の姿でした。