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借り人 〜カリビト〜 序章
「お前…は……に…選ば……」
「…また同じ夢か……」
ベットから目が覚めた俺は坂田士郎。子供の頃から同じ夢を見ている。そして俺も無意識なのかその夢を見た時は泣いているらしい。
(ほんと……なんで泣くんだろうな。)
「ちょっと、起きな…って、また同じ夢?」
今来たのは中山晴香、俺の幼なじみで俺のこの夢のことを知っている人のひとりだ。見た目は美少年みたいな顔立ちをしてはいるが俺と同い年の女性だ。明るい性格でもあり男女ともわずモテている……らしい。
(そういえばこの前どこのクラスかは分からないけど女の人から告られたって言ってたっけな…)
「う、うん……なんか…前より鮮明に…なってきてる…」
「そうなの?……ってそれはいいから!早くしないと遅刻するよ!」
そう言って出ていった晴香を後に、はね起きた俺はバタバタと着替えを始め、スクールバックを持ち階段を下りていく。
「パン焼けてるから、ほら、食べながらでもいいから行くよ!」
「は〜い……」
そう言って晴香から渡されたパンを持ち、家を出た…。
((序章:end……))