87 終戦調停委員会(九人委員会)
ー 現在から遡ること十年 異能大戦終盤 ー
異能者の出現から突如始まった『世界異能大戦』は十年続いていた。
混乱の中で放たれた数千の核弾頭が世界中の地図を書き換え、世界の総人口が半分まで減り、陸地が十分の一消滅しても、戦争は止む気配さえみせなかった。
−−だがある日を境に、戦争は急速に終息に向かう。
終結せざるを得なかったのだ。
ある脅威の出現により、人同士が争っている場合ではなくなった。
桁外れの新たな脅威。
それが生まれたその日、世界の人口が五分の1まで減り、陸地は3分の2まで減った。人類が結束して対応しなければ世界が破滅することが必至の、絶望的な脅威。
その脅威の名前は「玄野ユキ」と言った。
◇◇◇
南極での『脅威』出現から3ヶ月経ったその日。
一つの重要な会議が行われようとしていた。
古めかしい装飾のなされた宮殿のような建物の一室で、大きな円卓を9人の人物が囲んでいる。
彼らは背丈、衣装、髪の色も肌の色も様々。その事実はそれぞれの出自が全く異なることを示していた。
「わざわざ皆に集まってもらったのは他でもない。戦争終結に関する協議の為だ。この終戦協議をすることに関して、異存のあるものはいないか?」
最初に、白いスーツの男がそう切り出した。
彼の名はフリードリヒ・リヒテル。オーストリアに拠点を置く【ヴィエナサイト】管理人。知略と桁外れに強力な異能【光を放つ者】の力でヨーロッパ全体を纏め上げ、地域の代表となった男である。
「戯れ言を抜かすなよ、リヒテル。『彼女』の脅威によって我々はすでに結束したのだ。今更、何を争おうというのだ」
黒いスーツに身を包んだ褐色の肌の男がそれに答える。彼はアフリカ大陸の西半分を統治する【アクラサイト】管理人、アマドゥ・クルマ。触れただけでどんなものも殺す異能【死をもたらす者】を所持し、「死神」と呼ばれ誰よりも恐れられたが故に崇敬されてトップとなった男。
「ククク、然り。ここからまた遡ってあの不毛な戦争を再開しようなどとは誰も、夢にも思わぬよ」
死神アマドゥの言葉に、くぐもった嗤い声を上げながら同意する黒髪の男。
中華服に身を包んだこの男も戦乱の時代にアジアの広域を力で支配した怪物。【虫を操る者】の異能を保持する【ウーカンサイト】管理人、禹瑛汪。
「そうだ。我らが全員ここに集まるということは、そういうことだろう。リヒテル、主もよくわかっているだろうに」
髪とアゴ髭が白とグレーのメッシュになっている巨人のような男もそれに続く。地響きのような声を震わせるこの男の名はアレクサンドル・ルキーチ・プーシキン。異能【万物を揺らす者】の絶大な暴力でユーラシア大陸の半分を掌握した北の王者であり、【モスクワサイト】管理人となった人物である。
「ふふ、皆の言う通りだよ。だが何事も手続きは大事だろう? 我らはここまで血を血で洗うような争いをしてきたのだ。禍根なく、会議を始められた方が良いと思ってな。それぐらいの手間はかけてもよかろう」
リヒテルは彼らの言葉に微笑みながら答えた。
「そうね……それで今、彼女は?」
白いワンピースを纏ったピンク色の髪の小柄な女性、ミア・コウトが呟くようにリヒテルに問いかけた。
彼女の容姿はその場に似つかわしくないほどに華奢で可憐ではあるが、異能【夢をみせる者】を持ち、実質的に死神アマドゥとアフリカ大陸の支配域を二分する【モガディシュサイト】管理人である。
「彼女はクロノが抑えているよ、ミア。今、この瞬間もな」
「……そう……」
各々言語に違いあるはずの出席者が互いに意見を交わせるのは、彼女の異能「夢見」で「他言語を自国語のように理解できる夢」を見ているからである。
「ククク、『時を操る異能』か。まったく出鱈目な力だよ。こんな遠くからでもあのバケモノを抑え込めるとはね」
「……禹さん、それは聞き捨てならないわ……!」
禹の言葉に顔をしかめるのは【ブラジリアンサイト】管理人、シノ・モリシタ。
エメラルド色の長い髪を揺らしながら胸元の大きく開いたスーツを着込む彼女は【植物を育てる者】の異能所持者。南米世界をほぼ一人で纏め上げたカリスマである。
「彼はその困難な役目を自ら買って出てくれているというのに。彼がいなかったら今頃私たちは誰一人……いえ、世界全体がどうなっていたのかわからないのよ?」
「クク、私は褒めたつもりなのだがね。無礼と聞こえたら詫びよう、クロノ」
そうして、禹瑛汪は向かいの席の黒髪の巨躯のアジア人……【トウホクサイト】管理人、玄野カゲノブの方を向く。
「ああ、そんなのは構わねえ。だがアイツをバケモノなんて呼ぶのはやめてくれ」
「ククク、そうだったな。アレはクロノ、貴様の……」
だがそこに葉巻を咥え、合衆国の海軍の帽子を被った男が会話を遮る。
「おいおい、お前ら。その辺で止めにしとかねえか? 俺たちはそんな雑談するために集まっているわけじゃねえんだぞ」
口を挟んだ男は【波を起こす者】の異能を保有する【カリフォルニアサイト】管理人、ダグラス・ウェーバー。彼は一国の軍に属しながら、実質的に北アメリカの全てと太平洋のほとんどを支配下に置いている男である。
「ウェーバー殿の言う通りである。我々はそれぞれの【サイト】の代表としてここに居るのだ。速やかに議題に移ろうぞ」
アラビア人の伝統衣装カンドゥーラに身を包み、威厳ある態度でリヒテルに会議の進行を促すその男はアクバル・ビン・ラシード。アラビア世界を武力・経済ともに牛耳る【ダマスカスサイト】の管理人。【大きさを操る者】の能力を所持する異能者である。
そしてリヒテルは話題を前に進める。
「そうだな、話を先に進めよう。今日の議題は戦後世界の分割方法と、今後『彼女』にどう対応するかという事だが、まず第一の議題、領地の分割についてだ。これについては、隣接するサイト同士では話がついていると聞いたが」
リヒテルの言葉に、アレクサンドルは再びその巨躯を前のめりにさせながら口を開く。
「原則は陸、海、空を九つに均等に分け、平等に配分する。国は地形が残っているものに関しては、大戦以前の地域境界線を維持。これで大筋の合意はしていると思ったが?」
「ククク、協定通り、我らは互いの利益を最大限に尊重する形でサイトの分割線を引いているよ」
「資源の不平等は言いっこなしである。そんなことを理由に、また争ったのでは元も子もないからな」
「ああ、その辺りは交易や地域間の交渉で調整すればいいだろう」
アレクサンドルの問いに、禹とアクバル、ダグラスが順に発言する。
他の人物たちも彼らの意見に概ね異存は無いようで、静かに頷いている者もいる。
リヒテルは周囲の様子を確認し、憮然と無言で座っている人物に声をかける。
「クロノ、君はそれで異存ないかい?」
「ああ、そういうのはお前らに任せる。言われてもわかんねえしな」
アレクサンドルは呆れたものを見るような表情を浮かべ、隣席の禹も顔に張り付いた三日月型の口を鋭くしながら嘲嗤うように肩をすくめている。
「おい、クロノ。我らがおぬしに都合よく慮るとは限らんぞ? かつての敵をもう少し警戒したらどうだ」
「ククク、まったくお人好しが過ぎるのではないのか?」
「そういう奴だから、俺たちも迂闊なことは出来ねえんだよ。互いの目もあることだしな」
「ダグラスの言う通りである。それに、この期に及んで出し抜こうなどという不届き者はこの場にはおらぬのである」
「クク、何より、また殴られてはかなわぬからなあ」
そう言って手のひらを肩のあたりに上げ、やれやれ、という格好で大げさなジェスチャーをして見る禹。その様子を鋭い目つきで睨みつけているシノ・モリシタ。
そんなやりとりを横目で眺めつつ、リヒテルは再度、議題へと舵を切る。
「しかし、やはり一つ問題が残っているな。当の「彼女」の眠る地、南極大陸をどうするか。それを決めないことには前に進めぬ」
「あれはすでに『異形』が湧く地。我らならともかく、並みの異能者は危なくて近寄れん。管理できない土地を欲しがるものなどいないと思っていたが?」
「ああ、それに彼女は今はクロノの能力で眠っている状態だが、それがいつまで保つかは誰にもわからない状況だ」
「ククク、現にすでにクロノの異能の効果が薄いタイプの『異形』も出現していると聞くぞ」
禹の発言に隣にいたアレクサンドルが反応する。
「もしや、適応した種が生まれておるのか?」
「クク、分からぬが、その可能性も捨てきれぬな」
「ふむ……」
しばらく全員が何かを考えているようだったが、最初に口を開いたのは玄野カゲノブだった。
「じゃあ、おれが貰う」
リヒテルは顎に手をやり、玄野と会議場内のメンバーを見回す。
「ふむ。だが……それでは君の負担が大き過ぎるのではないかい? あそこは管理が大変すぎる」
「俺は構わねえよ」
「そうは言うが……どうだろう、各サイトそれぞれが南極に監視施設を置き、9サイトの共同管理地とするというのは」
リヒテルは玄野の意見はひとまず脇に置き、一つの提案をする。
「私は、その方がいいと思う」
「それが無難だろう。全てをクロノに押し付ける訳にもいくまい」
「ああ、共同管理地とする方が異変も察知しやすいことだろう」
しばらくの沈黙のあと、シノ・モリシタがリヒテルの意見に同意する。
それを皮切りに他のメンバーたちも同調し始めた。
「では、南極に関しては各【サイト】単位で監視施設設置の上、互いに情報を共有するということで良いか?」
「意義なし」「承服である」
「問題ない」「認めよう」
「構わねえ」「……ええ」
「認めます」「クク、よいだろう」
リヒテルの確認に、全員が肯定の意思を示した。
「その上で、我らは領地を均等に分割する。世界の陸、海、空を九つに均等に分け、既存の国は地形が残っているものに関しては大戦以前の地域境界線を維持。そうでないものは各地域で平和裡に調整し、資源に関しては個別の交易や協定で融通しあう。その取り決めに異存のある者はいないか?」
「意義なし」「承服」
「問題ない」「認める」
「それでいい」「……大丈夫」
「異存ないわ」「ククククク」
その問いにも全員が承認の意思を示す。
「ではこれで領地分割に関しての合意は得られたものとし、第一の議題は承認されたものとみなす」
リヒテルは全員の顔を確認すると、そのまま次の議題を持ち出した。
「ではもう一つの議題、『彼女』への今後の対応についてだが……」
リヒテルの議題の提起に、すぐにダグラスが反応する。
「今の南極の『異形』の発生レートだと、年三回ぐらいの大掃除は必要そうだな」
「……これまで通り、この九人で対応するという事になるかしら……」
ミア・コウトの言葉にアマドゥが口を開く。
「ああ、無駄に死傷者を出さない為にはその方が良いだろう。ここにいる者が結局、現時点での世界最高の戦力なのだから」
「そうである。他の異能者にこんな重大事を任せるわけにはいかないのである!」
「とか言って本当は暴れる場所が欲しいだけなんじゃ無いのか、アクバル?」
妙に楽しそうな口調のアクバルに、思わずダグラス・ウェーバーから指摘が入る。
その指摘に対して、アクバルは大音量の笑い声で答えた。
「ぶわははははは! 何を言う、ウェーバー殿。どうせ、やらなくてはならない仕事だ。どうせなら楽しくやろうではないか! 無駄に暗くなるよりよっぽどいいのである」
「まあ、そりゃそうだな。少なくとも相手が人間じゃねえってのは気が滅入らずに済むしな」
やけに楽しそうに話すアクバルとダグラスに、シノが怪訝な目を向ける。
「あなた達、これはそんなに軽い話題じゃないのよ?」
「現状、世界の誰もが明日をもしれぬ命なのだ。それぐらい許してやろうではないか」
不機嫌そうに長い髪と大きな胸を揺らすシノを、リヒテルが穏やかな声でなだめる。
その様子を見て、再びアマドゥが淡々と語る。
「リヒテルの言う通り、楽観視できない状況だ。掃除はあくまでも時間稼ぎ。その間に次の策を練る必要がある。やはり、後代の異能者の育成が鍵となるだろう」
「ああ。異能者の育成はクロノからの要望だったな」
リヒテルはそう言いながら玄野の方を見やる。
「ああ。いつかアイツを助けられる奴が出てくるかもしれない」
「クク、薄い望みだとは思うがな。私情を優先できる状況でないのはわかっているだろう、クロノ?」
「ちょっと、禹さん……!」
禹の言葉を再びたしなめようとするシノだったが、その前に玄野が口を開く。
「ああ、分かってる」
「……ククク、だが淡い望みであろうとも、今はそれに賭けるしかないのが現状だ。こちらとしても協力は惜しまぬよ」
「人材発掘に関して、サイト同士で協力していくことの合意は既に済んでいる」
「こちらはこちらで、発掘に注力するのである」
「……私も、出来ることはするから……」
「クロノ、私にやれることがあったら何でも言ってね?」
「ああ。悪いなお前ら。恩に着る」
「それでは……もう少し議論を続けようか。主要な議題は消化できたが、まだ決めなければならないことは山ほどある。皆でじっくり話し合っていこう」
そうしてその日、十年間続いた『世界異能大戦』が正式に終結したのだった。
人物ファイル052
NAME : フリードリヒ・リヒテル(44)
CLASS : 『光を放つ者 S-LEVEL 5』
オーストリアに拠点を置く【ヴィエナサイト】管理人。
仕立ての良い純白のスーツに身を包んだ金髪の紳士。欧州貴族の家系であり、由緒ある家柄の貴公子である。娘が一人いる。
異能は「光を放つ」能力。光をレーザーのように細く撃出し、遠くの戦艦を沈める事も出来れば、某エクス◯リバーの様に天高く打ち出した光をそのまま振り下ろして山を両断する事も出来る。
しかしそういう「相手から攻撃が見える」様にするのは威嚇用の一種のパフォーマンスであり、戦場では「彼から半径数1キロ以内が瞬時に消滅した」などという逸話は事欠かないし、彼が出れば「光の中で何も分からないまま勝負が終わっていた」なんていう事もザラである。
貴族という出自から集団を取り仕切ったり会議したりする事に慣れており、九人を纏める役割を担うことが多い。
<特技>
光線
放射
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人物ファイル053
NAME : アクバル・ビン・ラシード(38)
CLASS : 『大きさを操る者 S-LEVEL 5』
【ダマスカスサイト】管理人。
中東に名を馳せる石油王の息子であり、王子でもある。次期王位継承者。いつも白いカンドゥーラ(アラビアの伝統服)に身を包んでいる。非常に長身(198cm)であり、日頃から鍛えている為に見事な筋肉が付いている。
異能は自らの体の大きさを自在に大きくしたり小さくしたりする能力。最大で1000倍(身長2km)ほどの大きさまで自身を拡大する事ができるが、あまり背が高くなると上空の酸素が薄いために高山病になり、長時間の活動はできなくなる。逆に、小さくなる方も1/1000(身長2mm)程度まで可能だが、一度飼い猫に踏み潰されそうになった事があり、それ以来怖くなって封印している。
身体だけでなく手に触れたモノも拡大縮小することができるが、効果時間はきっかり3分。金塊をデカくして大儲けなどは出来ないが、デカくした金の延べ棒で敵軍を殴り飛ばし、一撃で壊滅させた事がある。
基本的にデカくなって殴れば大抵のことは解決すると思っているし、実際そうなって来たが玄野には殴り負けた経験がある。
<特技>
拡大 1000
縮小 1/1000
///
人物ファイル054
NAME : 禹汪
CLASS : 『虫を操る者 S-LEVEL 5』
【ウーカンサイト】管理人。
丸眼鏡を掛けて中華服に身を包む、落ち着きのあるチャイニーズマフィア然とした男。実際は中華料理店経営者であり彼自身が厨房に立つ事もある。
異能は「虫を操る」能力であり、大量の虫を団体行動させたり、また産卵させて一斉に孵化させたりする事が出来る。
戦争中は彼の陣地は巨大な虫だらけになり、魔界然とした光景となっていた。
他にも敵性勢力の耕作地を草一本生えない土地に変えてしまったりしたが、敵が降伏した後は食糧(虫)を提供して一応補填してあげたりしている。
基本戦闘は行わずに圧力と交渉で勢力を広げていった人物だが、それは決して戦闘能力が低いからでなく、相手側が数メートル級の巨大カマキリ・巨大ハチの群れや数十メートル級の巨大ムカデの軍団を目にした瞬間に降伏を申し出るからである。
逆に味方側に対しては食用となる「ハチの子」「バッタ」を大量生産する事で、戦時の食糧事情を相当に改善した。
若干口調が皮肉っぽくて誤解されやすいが、部下・目上共に敬う人格者である。第一印象でだいたい嫌われるが、皆彼の性格を知るうちに慕う様になる(虫嫌い以外)。皮肉系ツンデレ。
<特技>
孵化
育成
操作
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人物ファイル055
NAME : アマドゥ・クルマ(38)
CLASS : 『死をもたらす者 S-LEVEL 5』
【アクラサイト】管理人。
黒スーツの物静かな黒人。
彼の能力【死をもたらす者】は触れたものに「概念的な死」をもたらす異能である。彼に触れられた生ある者は、問答無用で命を落とす。また、彼に飛びくる銃弾や爆風なども彼が「死」を望めば威力を「殺され」て無力化される。能力の発現当初は直接触れたものに限られていたが、「触れたもの」にも彼の異能を付与する事が出来るようになった。そのため彼は戦場では出会う事自体が死を意味する「死神」として恐れられるようになり、それを知った彼自身も無駄な戦闘を避け、敵にさっさと敗走を促すために常に黒い衣装を身に纏うようになった(皆殺しにするよりも負けを認めさせて支配下に置くほうがメリットが多かった)。内部的には頼れるリーダーであり、部下たちの人望も厚いが、やはり基本的に恐れられる事でその支配関係が成り立っている。
彼自身は「強さ」に重きを置く戦士でもある。
ちなみに【死をもたらす者】は戦場でいつの間にか囁かれていた彼の通称であり、八葉の表記法に従えば『万物を殺す者』となる。どちらにしても物騒である。
<特技>
死手
死界
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人物ファイル056
NAME : ミア・コウト(30)
CLASS : 『夢をみせる者 S-LEVEL 5』
ソマリアを拠点にする【モガディシュサイト】管理人。
常に白いワンピースを身に纏うピンク色の髪の小柄な女性。髪で片目が覆われている。優しげな笑みを絶やさない美女だが、その心根も9人の中では優しい方であり、玄野と共に異能対戦終結のために奔走した人物の一人。
異能は任意の相手に「夢を見させる」能力。寝ている相手に創り上げたイメージを見せたり、起きている相手にも現実と区別のつかない白昼夢を見せる事ができる。設定する『夢』によっては相手をずっと眠らせ続けたり(夢から醒めさせない)、現実にほんの少しの『夢』を混ぜ込むことによって相手の認識と行動を変化させる事ができる。どういう原理か『他言語がわかる』という夢を意識に混ぜ込むことによって、同時通訳のような事も可能である。この会議が成立したのも、彼女の能力によるところが大きい。
彼女の異能の行使可能範囲は数千キロメートルにも及び、彼女が望み、またその範囲に人がいさえすれば、数億人規模で「夢を見させる」ことも可能。
恒常的に夢と現実の区別をつかなくさせることも可能であり、思想をコントロールすることで複数の国家を平和裡に管理下に置いている。直接、相手を意のままにコントロールするという種類の異能ではないが、使い方次第で広範囲に影響を及ぼすことのできる強烈な異能。
<特技>
夢見
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人物ファイル057
NAME : アレクサンドル・ルキーチ・プーシキン(48)
CLASS : 『万物を揺らす者 S-LEVEL 5』
【モスクワサイト】管理人。
白とグレーのメッシュのあごひげを蓄えた中年男性。2メートル近い巨漢であり、玄野、アクバルと並ぶとスケール感がおかしくなる。田舎の山の中に小屋を建てて、愛犬と一緒にひっそりと暮らしている。
地面に立っているだけで様々な異能行使が可能であり、戦時中は突っ立ったままで数え切れないほどの敵の軍勢を叩き潰していた。
空気を揺らせば巨大な衝撃波となり、地面を揺らせば大地震が起き大地が砕ける。戦闘機も戦車も彼の前ではおもちゃも同然である。
さらに思い切り地面を殴りつける事で、最大でマグニチュード10クラスの地震を引き起こす事ができる。
その為、彼の本気の戦闘中は味方全員が避難する必要があり、単独で行動する事が多かった。ダグラスと太平洋上の戦場で一度対決した事があり、結局決着はつかなかったものの、余波で近隣の島国が二つ消えたという記録がある。異能対戦中、ダグラスと共に世界地図をかなりの勢いで書き換えた人物でもある。
かなりの酒豪であり、酒がないと生きていけないと豪語する。酒が切れると手が震え、ついでに微小な地震が起きるとか起きないとか。
<特技>
地震
空震
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人物ファイル058
NAME : ダグラス・ウェーバー(45)
CLASS : 『波を起こす者 S-LEVEL 5』
【カリフォルニアサイト】管理人。
いつも葉巻を口にくわえているアメリカ人男性。短い金髪で、顎髭もたっぷり蓄えている。アメリカ合衆国の軍人でもある。
異能はあらゆるものを揺らすことのできる異能。発生させた波を『共振』でだんだんと増幅していく事が可能で、振動を最大限に高めれば大地震を引き起こす事も、空気を揺らして大爆音の衝撃波を作ることもできる。ぶっちゃけアレクサンドルと被っている(一応、衝撃と振動の違いはある)。その為かどうかはわからないが、二人は事あるごとに対立してよく口喧嘩している。
得意とするのは水を波立たせ、竜巻のように巻き上げた上で敵にぶつける技。当然津波を引き起こすのも自在であり、戦時中彼に敵対する勢力はことごとく水の下に沈められた。
大戦が終わるとほとんど隠居の身(肩書きは海軍顧問)となった彼は一人、小さなボートで太平洋を漂い、葉巻を咥えて釣りを楽しむ日々を送っている。推進力は自身の異能で賄えるので、乗るのはただの木製オンボロボートであるが本人はそれが気に入っている。
<特技>
波打
共振
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人物ファイル059
NAME : シノ・モリシタ(32)
CLASS : 『植物を育てる者 S-LEVEL 5』
【ブラジリアンサイト】管理人。
薄緑がかったロングヘアーの一見お淑やかそうな雰囲気の女性。細身であるが巨乳である。胸元の開いた特別仕立てのスーツに身を包んでいる。
彼女の異能は植物を操作する能力。発芽から成長スピードを操作できるだけでなく、植物の枝や葉、ツタや根なども自由自在に動かせる。また『種』を操作する事で様々な品種改良をする事が可能であり、「枝を持っているだけで体が温まる木」や「嗅ぐと何もする気が起きなくなるお香」、「若返り美肌効果のあるお茶」などの便利(?)グッズをいくつも開発している。
戦時中は重要拠点に食人植物の森を出現させ、そこに近づく敵勢力を片っ端から捕縛していったり、戦場では爆発性能をもたせた木ノ実を大量に落とす巨大植物を乱立させたり、彼女は作り出す異様な光景とともに恐れられていた。その為、畏敬を込めて「森の女王」と呼ばれる。
裏の通称は「おっぱいちゃん(さん)」である。
<特技>
成長
操作





