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51 メリア先生の個人レッスン

「…とまあそういう感じね。ここまでは、わかった?」


 俺は金髪眼鏡美人メリア先生にリビングに呼ばれて二人並んでソファに座り、レクチャーを受けていた。

 彼女によれば俺は「超がつくほど特別」な異能を持っているという話で、知識をつけておかなければならないらしい。そういうわけで、玄野家内での特別講義が始まったのだ。


 つまりメリア先生による「個人レッスン」だ。なんだか、とても良い響きだ。

 別に怪しいことをしようというわけではない。

 これはれっきとしたお勉強だ。

 だが、目の前のメリア先生は学校にいる時とは違って少しラフな格好で、長い髪は後ろでまとめ上げ、下は楽なハーフパンツに上も緩めのタンクトップという姿だ。

 大きめの胸の膨らみが強調されて、脇の辺りから色々と……見えそうで見えない。俺がさっきからそこばかり気になって全然集中できないのは仕方のないことなのだ。


「ちょっと……聞いてる?芹澤くん?」

「……大丈夫です。バッチリ聞いてます」


 そう、俺はしっかりメリア先生の声を聞いているのだ。

 この美女の口から出る言葉を聞き逃すなんて、そんなもったいないことはできない。

 残念ながら、内容は全然頭に入ってこないけど。


「ほんとにもう……君は特別なんだからね?ちゃんと覚えてね?あとで困っても助けてあげられないからね?」


 そうたしなめられ、俺はやっと内容に耳を傾けはじめる。



 ◇◇◇



 【異能者】というのは、大体千人に一人の割合で発生するという。


 現在の日本國の人口は2千万人だから、単純に考えると約2万人は異能者がいるという計算になるが、若い人間ほど発現しやすく、歳をとればとるほど発現の確率は低くなるらしい。

 なので国が見積もっているおおよその数としては一万五千人ぐらいということだ。


 だがほとんど自己申告のようなところもあるので、正確な数は今もってわかっていない。ただし、法律によって異能を持った者は国への報告を義務付けられている。隠していたら厳罰が待っているのだ。どんな異能者であれ、国によって管理されることになっている。


 国の示す基準によると、異能の有用性によってランク分けがなされており、それぞれ「レベル」、厳密には「超常レベル S-LEVEL」という分類がなされる。

 それは五段階評価で「1〜5」まであるのだが、そのレベルごとの数や割合は、統計によっておおよそが把握できている。


「レベル1」以上が千人に一人ということだが、「レベル2」になると一般人3000人に対して一人。全国には数千人いるという計算になる。


 そして「レベル3」になるとその数がガクッと減る。10万人に一人。全国でおおよそ二百人もいない、貴重な人材ということになる。


 さらにその上の「レベル4」、これは核兵器単発級以上の脅威とされる人間だが、2百万人に一人の割合でいるということになるらしい。その数は全国で十人いるかいないか。

 これを多いと見るか少ないと見るか、人によりけりだが、そういう人間が普通に街を歩いてる可能性があると思うと恐ろしい。


 そしてそのレベル2以上の土台に乗らなかったのが「レベル1」で、大雑把に「とりあえず有用性がわからない」、「すぐには軍事利用ができない」ということで<無能>として分類される。

 まあ、あくまでレベル2以上に比べたら、ということで、一般人と比べたら異能者であることに変わりはない。

 レベル3とレベル4の差と違って、レベル1とレベル2の間にはそこまで決定的な差はあまり無いのだ。


 これは分かっているだけで1万人程度居る。

 能力に関しては実質、ほぼ自己申告であり、さらには本人でさえ使い方がよく分かっていないことも多い。

 異能は研究の歴史が浅く、研究者でもかなり未知の部分があるということで、ここから国が「有用」なものを選別するだけでも結構大変なのだという。

 言い方を変えれば、「レベル1」は玉石混合の未開地帯とも言える。そこに、宝石が埋もれていてもおかしくはない。だが、数があまりに多く、その選別が間に合っていない、というのが実情ということらしい。

 評価が欲しければ自分でのし上がれ的な戦争時代のメンタルも多少影響しているのかもしれない。


 そういうわけでレベル1から評価がされてレベルが上がった例も色々あるが、基本的には何もしなければそのままレベルは変動しない。

 その発掘のために整備された仕組みの一つが異能高校同士で行う「異能学校対校戦争」という行事なんだそうだ。


 ちなみにレベル3とレベル4はさらに細かい区分がなされていて、グレード「A~C」に振り分けられる。


 まずレベル3の指標は「一般兵卒何人分」の戦力かというのがおおよその数値で示され、それで振り分けられる。要するに「一度に何人相手にできるか」、ということだ。


 //////////////////////////


 S-LEVEL 3

<グレード A~C 基準>


 A - ~9999人迄 (全体の5%)

 B - ~1000人迄 (全体の30%)

 C - ~100人迄 (全体の65%)


 //////////////////////////



 そしてそれは


「S-LEVEL 3 A-5000」

「S-LEVEL 3 B-300」

「S-LEVEL 3 C-10」


 などと表記される。ABCの後の数値が戦闘能力「一般兵卒何人分」の評価値だ。



 これはあくまで、同時に何人相手にできるか、ということだそうで、Aグレードのレベル3とCグレードレベル3の異能者がやりあっても、相性次第ではCグレードが勝つこともあり得るらしい。

 だが、同系統の能力ではそれはそのまま戦力差を示すということになりそうだ。


 レベル3の上限は「一般兵卒」9999人分までとされており、それを超えると一気にレベル4の段階に移る。地域的な規模で影響を及ぼせる、核兵器級の戦力とみなされるという。


 そしてその中でのグレードの基準は「核兵器何発分」という恐ろしい評価基準に変わる。レベル3とレベル4の間に「絶対境界ボーダーライン」があるというのはそういう隔絶した力の差を示している。


 //////////////////////////


 S-LEVEL 4

<グレード A~C 基準>


 A - ~核兵器99発分

 B - ~核兵器10発分

 C - 核兵器1発分


 //////////////////////////



 となり、この表記は


「S-LEVEL 4 A-50」

「S-LEVEL 4 B-5」

「S-LEVEL 4 C」


 となる。



 ここまでくると、国にとっても重要人物となってくるので、身の周りに護衛をつけて暗殺などから保護する場合も多いという。それぐらいのVIPなのだ。もちろん、基本的に本人が護衛とは比べ物にならないぐらいの戦闘力を持っているのだが。


 基本的に、ということは例外がある。


 レベル3とレベル4には強さによるグレードとは別に「同等の有用性を認められる者」という評価基準がある。戦闘とは別の役割で同じぐらいの重要な活躍が期待できる、ということでそれはグレード「S」に振り分けられる。「SPECIAL(特別)」の「S」だ。


「S-LEVEL 3 S」

「S-LEVEL 4 S」


 という感じに。レベル4とは言っても戦闘能力が無い場合もあるのだ。その場合は最優先での保護対象となり、周囲に多大な戦力が配置されることになる。


 そして、さらにその上に「レベル5」という段階がある。


 レベル4がすでにとんでもない基準であるので、もうそれで十分では無いかという気もするのだが、やはりこれも決して無意味な分類では無い。


 その脅威度は「核兵器100発分以上」ということで、要するに「馬鹿らしくてもう数えるのをやめた」ということらしい。


 現実に核ミサイルが1000発飛んできてもなんとか出来てしまう、あるいはことの次第によっては同じぐらいの破壊を引き起こすことができるという、こいつらが本気で戦ったらあっという間に世界滅亡するレベルの正真正銘の怪物達だ。


 ちなみに、校長(ゴリラ)はこの「レベル5」に分類されている。

 世界で九人しかいないレベル5に。


 まあ、あいつなら核ミサイル1000発同時に飛んできても何とかしかねない。それぐらい異常な能力を持っているのは1週間の山籠り生活でとっくに確認済みだ。


 一応、これは秘密というか、ものすごいトップシークレット的な扱いなので、人に言ったらダメだと何度も釘を刺された。

 そんな秘密をこんなに簡単に居候の学生に教えちゃってもいいの?


 まあ、メリア先生曰く、俺は早々にレベル5に到達する可能性があるとかでそういうことを教えてくれてるらしいが……

 それ、ちょっと期待しすぎかもよ?

 俺があの化物ゴリラと肩を並べるなんて…想像もできない。


 ましてや世界最高峰と言われている「レベル5」にさっさと到達するなんて、想像できないし全く現実感が湧かない。


 っていうか、そんな力身につけてどうすんの?俺?

 そんな必要性全く感じないしな………


「戦場で無双したい」とか最初は考えてたけど、よく考えると俺、人殺したりとか絶対無理だし。意味わかんねえよな?無双って。


 俺は、今みたいな緩めの高校生活がずっと続けば……

 それが一番いいと思ってるわけだし。

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― 新着の感想 ―
[一言] 地球の「マントルを冷やしたり」、地球の核の金属を冷やしたり熱したりしたら、世界終わりますね。
2020/09/04 15:13 退会済み
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