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44 週刊異能

4/28 初レビューをいただきました。どうもありがとうございます!

4/28 詰め込みすぎてちょっとテンポが悪いと感じたので44話と45話に分割します。(内容に変更ありません)

 俺は朝、登校前に近所のコンビニで俺たちの異能学校対抗戦争の記事が載っているという『週刊異能』最新号を見つけ、立ち読みしていた。


 今号は『鷹聖総合病院の闇!?設楽応玄の国家転覆計画!!』で表紙を飾っているが、とりあえず、俺は自分たちの記事が出ていそうなページを探して開く。


 あの後、奴………あの憎っくきモヤシ野郎は、大金星を挙げた俺のヒーローインタビューをしに来たという雑誌記者に「アイツは星になりましたから」と、延々三十分もモヤシ品種改良の苦労話を話して聞かせたと言ってたが、記事の隅々までチェックしてみても一行たりともそのことは記事にはなっていなかった。


 当たり前だがボツ記事となったのだろう……ざまあ笑!

 ちなみに俺のことは、インタビュー時は本人不在ではあったが、


『レベル4氷川君を下した芹澤選手、巨大モヤシに倒れる!』


 という見開き2ページの記事で結構大きく扱われ、試合経過も割と詳細で丁寧に書いてくれている…………………これ、タイトルおかしくね???

 モヤシ入れる必要あった??

 これじゃ氷川君まであのモヤシ野郎以下みたいになってない????


 俺は最後に全てをかっさらって行ったあの馬鹿に軽く殺意を覚えつつ、ページをめくる。

 立ち読みし始めたついでだ。

 特集記事も読んでみる。

 まったく俺に無関係な話でもないからだ。

 俺たちの対戦相手だった鷹聖学園のオーナー、「設楽応玄」の顛末が書かれているのだ。


 設楽応玄は、設楽グループ系列の「鷹聖総合病院」の地下で異能者を使った違法な人体実験を繰り返し、さらには強制捜査しに来た軍に対し、なんと側近の異能者をけしかけて殲滅を試みたという事で「国家反逆罪」の現行犯。

 プラス、押収された資料から遠大な「国家転覆計画」が判明し、現在その首謀者として軍施設の独房にブチ込まれている。


 合わせ技で、戦後に天皇制が改められて天皇帝(ミカド)の治世が始まって以来の「戦後最大の大逆人」という扱いらしい。


 こういう人体実験だとか失踪者だとかは前々から一種の都市伝説のようなものとして噂になっていたみたいだが、軍が「信頼性のおけるリーク情報」を元に調査したところ、ホントにやってて大量に証拠がザクザク出てきたという、なんだかオカルト趣味界隈がホクホクしそうなネタになっている。


 その結果、奴のほぼ私的資産となっていた「設楽グループ」全ての取り潰しが決まった。彼が一代で築き上げたその莫大な資産は国に丸ごと接収された上で、不要なものは民間オークションに掛けられるとの事らしい。


 俺たちが対戦した鷹聖学園もとばっちりを受けて……というか運営母体が完全に同じであるので当然、経営的にも大きな衝撃を受けている。

 さらに人体実験に学校経営陣が関与していたというかなりブラックな証拠も出たという事で、保護者は元より現職教師からも声が上がり、選り取りみどりの様々な訴訟話が一気に燃え上がっている。


 果ては学校認可取り消し騒ぎにまで発展し、大変なことになっているらしい。

 ついこの間までは帝変高校ウチの方が廃校だのなんだのと騒いでいたのだが、世の中わからないもんだ……


 そういえば、それについても記事が出ていた。


『大物汚職議員を襲った覆面怪人マッスルキラー』。


 メリア先生情報によると、裏で今回の理不尽な「帝変高校廃校」騒動の糸を引いていたらしい大物政治家、伊能直義(ナオヨシ)


 奴の事務所を『謎の覆面異能者』、通称マッスルキラーが襲い、重要資料をごっそり盗んでコピーしまくり軍やメディアに速達で送りつけたのだそうだ。

 それがきっかけで奴が国家反逆の大罪人、設楽応玄と深く繋がっていた証拠が見つかり、軍の異能警察に緊急逮捕されたという。


 奴は文武科学省長官と異能学校連盟会長という立場を利用して、めぼしい異能学校の生徒の情報を入手、就職斡旋、もしくはアルバイトと称して人体実験の検体として設楽に融通していたようなのだ。

 他にも黒いビジネスをしていた証拠がゴロゴロと白日の下に晒され、大問題になっている。


 ちなみに、その謎の覆面異能者は逃走中だ。超がつくほど目立つ風貌なのに、異能警察は彼を追いきれていないらしい。記事には「異能警察でなく無能警察だろう」とか書かれてる。結構根性あるよな『週刊異能』の記者さんって……


 目撃者証言によるとその覆面異能者マッスルキラーの出で立ちは


「筋骨隆々の筋肉マッチョで下は黒いタイツ、上はタンクトップに赤いマント、加えて真っ赤な目出し帽という絵に描いたような不審者ルックで、軍の重要施設ばりに配備された並居る異能者ガードマンを「ハハハッ!」と高笑いをしながら張り倒し、あっと言う間に全滅させた上で職員たちに筋力トレーニングを推奨しながら去っていった」という。ちなみに死者は一人も出ていないらしい。……それってキラーじゃないよな?


 …………こういう言動する人、どこかで見た気がするんだが。


 確かうちの学校の…………いや。

 気のせいだな。忘れよう。


 そんなことより、俺は本日……超重要な案件を抱えているのだ。


 俺は今日こそアレを、あのことを切り出さなければならない。

 そのことを頭いっぱいに浮かべながら、俺は学校に向かう為、足早にそのコンビニを後にした。



「面白い」「続きが読みたい」と少しでも思ってくださったら、ブクマや下の評価欄開いての評価をいただけると継続のモチベーションに繋がります。気が向いたらよろしくお願いします!

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