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29 Bブロック 失った大切な何か

4/13 人物ファイル023~026をあとがきに追記しました。


 タクティカルウォーズAブロック終了後…

 鷹聖学園の選手控室の空気は重く沈んでいた。


 闘技場から担架で医務室に運ばれていく自軍のAブロックのメンバーたちを見ながら、他の選手たちが口々に感想を口にする。


「音威の奴…あの帝変高校に負けるとは…恥晒しめ。」

「まあ…多少仕方のないところはあるかもね。まさかあんなイレギュラーが混ざっているなんて…」

「それにしたって無様だわ。何もできずに負けたわけでしょ?」


「お前ら、同じ轍は踏むな。相手を雑魚だと思って舐めすぎたんだ、奴らは。」

「ああ、これからは少し、警戒しながら行く必要があるだろう。またあんなイレギュラーが躍り出てくるとは考えづらいが…」


「何にせよ、俺らは相手を叩き潰すだけだろ。やることは何も変わらねえよ。」

「油断するな。現状、7戦中1敗だ。これ以上黒星が増えたら目も当てられない。監督に何言われるかわからんぞ。」




 ◇◇◇




 一方、帝変高校選手控室。


「やっほ〜、勝ったよ〜!」


 選手控え室に土取マユミ、黄泉比良(よもひら)ミリアたちAブロックメンバーが帰還してきた。


「ツッチーお疲れ、完勝だったな」

「我らが女王(クイーン)の活躍のおかげさね〜、な?ヨモちゃん?」

「……ぶ〜い……」


 黄泉比良(よもひら)ミリアは両手にV字を作り、二本の指をにょきにょきやっている。


「だが、ここからは厳しくなるぞ。相手はもう、油断を廃して来るだろう。不意打ち(サドンアタック)戦法はこれからは効果が薄いだろう」


「ここからは真剣なチーム戦だ。頼むぞ、御堂くん」

「フッ。任せてくれ。最高の(・・・)試合を見せてあげるよ」


 泊シュウヘイの言葉に御堂スグルは長めのサラサラ(ヘアー)を掻き上げながら言った。


「………こいつの戦闘には……不安しかないわね………」


 後ろで弓野ミハルが忌々しげに呟く。


「あの…香川さん、次の試合頑張ってね」

「あ、うん。そうね。まあ、実際頑張るのは他の人(・・・)だと思うけど…」


 音無サヤカに香川さんと呼ばれたまつげの長い小柄な黒髪少女は、チェーンの付いた香水の小瓶らしきものを腰にじゃらじゃらさせながら、髪の毛をくるくるいじっている。


「さあ、そろそろ時間だ。Bチームは会場に向かった方がいい」


 体格のいい堅田ケンタロウがそう言うと、Bブロックのメンバー達は揃って闘技場に向かった。




 ◇◇◇




『『団体戦第二試合、タクティカルウォーズBブロックを始めます。選手は所定位置についてください。』』


 アナウンスの声とともに、両高校の選手たちが闘技場に入場する。


「納得いかねえな。音威の奴があんな底辺の学校の奴らに負けたなんて。仮にも奴は戦闘能力では鷹聖学園の上位だぞ?」

「負けたものは仕方がないじゃない。それがアイツの実力ってことでしょ?そもそも、団体向きじゃないのよアイツは。協調ってものを知らなさすぎるから。」


 鷹聖学園側のフィールドには最初に、髪を金髪に染めてトサカのように立てている男子生徒、そして緑縁のメガネをかけて長い黒髪をポニーテールに束ねている女生徒が入場してきた。そして続いて…


「まあ、私らがお手本を見せてやるっきゃないんじゃないの?チームプレイって奴の見本をさぁ…」


 かなり際どい丈のミニスカートを履き髪は肩までの長さで切り揃えたショートボブの女性徒が入場する。ほどなくして、数人の生徒がそれに続く。

 対する帝変高校側のフィールドにはタンカーの御堂スグル、近接アタッカーの2名、中距離アタッカーの2名、そして最後にバッファーとして香川リカが現れる。


 総勢13名……鷹聖学園7名、帝変高校6名が闘技場に出揃い、それぞれの開始位置についた。


『『では、時間となりましたので第二試合を始めます。』』


 再び、コロシアム内に一瞬の静寂が訪れ…


『『タクティカルウォーズ Bブロック…試合(バトル)開始(スタート)!!!』』


 第2試合が始まった。

 先に動き始めたのは帝変高校のチームだった。


「香川さん、例のバフを頼むよ」

「わかってるわ。『強壮芳香(トニックフレグランス)』。」


 後列に控える香川リカが腰の香水の瓶の蓋を開け、腕を振ると甘くスパイシーな香りが辺りに漂い…


「うおおおおおおおおお!!!!」

「力が…力が湧いてきたァッ!!!!」

「むおおおおおおおおおおお!!!!!!」

「俺は今ッ!!!鉄人だッ!!!」


 アタッカー4人(・・)の生徒たちの筋肉が急速に肥大した。

 その様子に、場内の観客たちがざわつく。


「ついでに…………明日起き上がれないのは覚悟してね?『絶倫芳香スタリオンフレグランス』。」


 今度は、帝変高校陣営に鼻にツンと来るような濃厚な匂いが立ち込める。


「うがあああああああああ!!!!」

「精力が…精力が……抑えきれないッ!!!!?」

「ぬおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

「私はッ!!今ッ!!夜の街の帝王であるッ!!!」


 そうして、アタッカー4人の生徒たちの上半身が急激にパンプアップし……


 バァンッ!!!!


 彼ら全員の上着とシャツが破裂した。




 ◇◇◇




 〜 観客席 〜


「…………………………………………何、アレ?」


「……またかよ。帝変高校。」

「今度はドーピングか……大会規約には引っかからないのか?」

「バフは試合中、異能によるものであれば使用可。その効果は不問とする……ってのが規約だよ」

「なんでもありだよな、実際……」


「とはいえ、あいつらまともに戦えるのか?理性吹っ飛んでないか?」

「みたとこ…狂戦士って感じだな…ずっと叫んでるぞ。恐え……」




 ◇◇◇




「ふおおおおおおおおお!!!!」

「どっしゃあああああああああ!!!」

「はああああああああああ!!!!」


 即席の筋肉ダルマと化した4人の帝変高校のアタッカーは跳躍で瞬時に距離を詰め、鷹聖学園の生徒達へと肉薄する。


 そのまま彼らは肥大化した筋肉で殴りかかろうとするが…


「でもそう簡単にはいかないよねぇ。『突風(ゲイル)』ッ!」


 髪をショートボブに整えたミニスカートの女生徒がそういうと、突如、とてつもない烈風が巻き起こり…帝変高校の4人の強化された生徒たちはあっという間に宙に浮かされ、飛ばされた。


「そんなに浮き上がっちゃあ…その筋肉もまるで意味ないねぇ?残念でしたぁ!で、もういっちょ!『竜巻(トルネード)』!」


 鷹聖のミニスカートの女生徒……風戸リエが両手を振り上げると、さらに強烈な旋風が巻き起こり……次第にそれは勢いを増して「竜巻トルネード」となって帝変高校の生徒たちを天高く巻き上げた。


 生徒たちは空中で放物線を描き--


 そして程なくして……全員が落下。


 ドドドドッ!!!!!


 土埃を巻き起こしながら、彼らは硬い地面に強烈に叩きつけられた。


「じゃあ、ユミちゃん。トドメお願いっ!!」


 ミニスカートの風戸リエは隣にいる、オシャレ眼鏡のポニーテールの女生徒…火打ユミコに攻撃のバトンをタッチする。


 火打ユミコは倒れている生徒たちに片手をスッと向けて、言った。


「これで終わりよ。『破裂バース……』」


 そして、彼女が自分の異能『【万物を破裂させる者(ジェネラルバースター)】S-LEVEL 2』を発動させようとしたその時………


 ………………突如として彼女の背筋に悪寒が走った。


 何か…………

 耳元に、生暖かい空気が当たっている。

 そして、何者かに髪をねっとり触られる感覚(・・・・・・)


「「…………綺麗な髪だ…………よく手入れしてあるね……素晴らしい……」」


 そして突然耳元で(・・・)囁かれたセリフ。

 反射的に彼女の体は全身に粟立つ鳥肌という形で答えた。


「い、いやあッ!!?何ッ!?」


 彼女は慌てて振り返ると……

 ……そこには誰もいなかった。


「ど、どうしたの!?ユミちゃん!?何かあった!?敵の攻撃!?」

「い、いえ…!?でも、何か……そこにいたわ…!」


 今のを「攻撃」と呼んでいいのか分からない。

 だが、確実に自分の行動を阻害された。これは相手の戦術的行動か!?


 バフを受けた生徒たちはもう戦線に復帰して他の生徒と戦っている。


 しまった………まんまと術中にはまってしまった。

 この程度で心を乱されているようでは、戦場ではとても…!

 そう自分に言い聞かせ、火打ユミコは気を強く持とうとする。


 決意した瞬間、自分の眼鏡が宙に浮いた。


「あっ!?」


 驚き、飛んでいくメガネを追って手をバタバタさせていると…

 また誰もいないはずの場所から…甘く囁くような声がした。


「「「…………君はメガネなんか無い方が可愛いよ………」」」


 生暖かい空気が耳にあたり…再び、鳥肌。


「いぎゃあああああああ!!!!!?」

「な、なに!?ユミちゃん!?どうしたの?」


「ちいッ!?あいつらの人数が一人減ってやがるッ!!認識阻害の異能者が居るなッ!?」


 筋力強化を受けた4人の生徒たちの対応をしていた金髪の少年はそういうと…


「炙り出してやるッ!!『稲妻(ライトニング)』ッ!!!」


 手を頭上に掲げ…


 ババババババババババババッッ!!!!!


 そこから激しい稲妻が発生しあたりを覆った。

 その稲妻は帝変高校の生徒だけでなく、彼らの周りにいた鷹聖学園の生徒たちをも襲い、感電させる。


「ちょっと平賀ッ!!?味方まで巻き込むつもり!?」

「仕方ねえだろ。あぶり出すにはこれしか無かったんだし?でもおかげでー」


 平賀と呼ばれた男子生徒の攻撃であたりはバチバチと帯電し、何もなかったはずの場所に、うっすらと人影のようなものが見え始める。そしてその人影は少しずつ存在感を持ち始め…


「敵の姿が、見えたようだぜ?」


 そこには、長い髪を片手で搔き上げる、妙に気障(キザ)ったらしい男子生徒がいた。手には()に収まった短剣を持っている。


「……困ったね。見つかってしまったよ」


 帝変高校4人の男子生徒はすでに先ほどの強烈な電撃を受け、昏倒している。


 帝変高校のメンバーで闘技場(フィールド)内に残されたのは、後方にいる香川リカと、異能で敵陣の中に突っ込んだ御堂スグルの2名のみ。軽い感電から立ち直った鷹聖学園の生徒たちはすぐさま、後方で無防備となった香川リカ(バッファー)を仕留めに向かう。


「お前は、バフは受けないのかよ?」


 御堂スグルと香川リカを分断するように、平賀ゲンイチロウがその間に立ちはだかる。

 だが御堂スグルは慌てた様子もなく、鞘に収まった短剣を手にし…


「悪いが僕は……脱ぐときは、全てをさらけ(・・・・・・)出す時(・・・)と決めているものでね。『雲隠れ(ハイディング)』」


 彼はその瞬間、フッと姿を消した。


「無駄だッ!!「稲妻(ライトニング)」ッ!!!」


 再び、平賀ゲンイチロウは異能を発動させようと手を上にあげ、叫んだ。


 バババババババババババババッッ!!!!!


 先ほどとは比べ物にならない規模の稲妻があたりを覆い、周囲を飲み込んだ。彼を中心に半径10メートルはあろうかと言う巨大な雷撃の渦が立ち上がった。


 それはしばらく続いたが…………再び人影が現れることはなかった。


「チッ!!!逃げたか!?……いや、救援に向かったな!?」


 すぐさま平賀ゲンイチロウは思考を切り替え、先ほど他の鷹聖学園の生徒たちが向かった先へと合流を急ぐ。


 一方、帝変高校Bチーム後衛の香川リカはすでに鷹聖学園の生徒数人に取り囲まれていた。バッファーのロールに特化した彼女は武器らしいものは一つも持っていない。


「彼女はバッファーだが…警戒しろ。一斉に行くぞ。」


 鷹聖学園の生徒たちは彼女の異能を警戒し、反撃を防ぐ為に多方向から一斉攻撃を仕掛けようとしていた。だが…


「賢明ね。でも、そんなに近づいたら……危ないと思うよ?『昏睡芳香(コーマフレグランス)』。」


 彼女がそう言い、腰につけた香水の瓶の蓋を開けると辺りに「脳髄までとろけそうなほど甘い香り」が漂い…


 周囲にいた鷹聖学園の選手全員がその場に倒れ伏した。

 受け身もなく無防備に地面に激突し、彼らが気を失っているのは明らかだった。


「な、なにッ!?何が起きたの!?」

「今のは…攻撃…?」

「チッ!!!」


 彼らから離れた位置にいた鷹聖の生徒たち3人……遠距離アタッカーの火打ユミコと風戸リエ、範囲攻撃型タンカーの平賀ゲンイチロウはその光景を目の当たりにし、


「なら……範囲外から攻撃するまでだッ!!!!」


 平賀ゲンイチロウの手の平が光り……稲妻が発生していく。


「させないよ。」


 そこにーー 誰も居なかったはずの場所から突然、先程の帝変高校の男子生徒……御堂スグルが姿を現し、手に持った短剣の鞘を抜き放って平賀に向けて投擲した。


「そんなもん、当たると思うか?遅えよ!」


 平賀は驚くべき動体視力でナイフの軌道を見極め、その飛んでくるナイフをキャッチした。


「どうだ?キザ野郎。もう、攻撃方法が無い、なんて言うんじゃないだろうな?」


 手の中でナイフを弄び、御堂を挑発する平賀。そのナイフからは少し甘い香り(・・・・)がする。


「そうだね。それが最後の攻撃手段さ。『昏睡香水(コーマパフューム)』。」


 そして平賀の手の中のナイフから「甘く脳髄まで届きそうな程に濃密な香り」が立ちのぼり…平賀ゲンイチロウはそのまま意識を失い昏倒した。


「……くっ……平賀の奴、油断するから…!!」


 そう言いながら御堂のいる方向に手をかざし、異能の発動準備に取り掛かる風戸リエ。

 だが、御堂スグルは微動だにせず…落ち着いた様子で言葉を口にした。


「おっと。これ以上動かない方がいい。動けば……特に、君が(・・)能力を使ったりしたら大変なこと(・・・・・)になる。」


「なにをいってるのかなぁ、キミは。もうキミには攻撃方法なんてないんでしょ?そんなのハッタリにも…」


 風戸リエはそこまで言いかけて、ハッとした。


 …なんだ?この違和感は。


 これは………

 ………なぜだか、下半身がスースー(・・・・)する。


 ……いつから?……朝からか?


 いいや、自分は確かにスパッツを履いていたはずだ。それでこんな感覚があるわけが…


 そう思い、腰に手をやると、ない(・・)

 あるはずのものが、いつの間にかなくなっている(・・・・・・・)


 いや、それどころか…………


 その()にあった筈のものも、ない(・・)


 …


 これは…

 これは一体……


 …


 ………ちょっと今、なにも考えられない。


「えっ!?なにコレッ!?嫌っ…!!!」


 思考が止まりかけたところで別の生徒からの悲鳴があがった。声の方を見ると、敵チームのバッファー香川リカが腰のあたりを押さえて狼狽えている。彼女も…先程まで身につけていたであろう、スパッツがないように見える。


 そして…隣を見ると、鷹聖学園アタッカーの火打ユミコがスカートを押さえ、真っ青な顔でペタンと座り込んでいる。目には涙を浮かべ、虚ろな表情だ。


 もしや、これは…


「素敵な女性(レディ)達。お探し物は、これかな?」


 3枚のスパッツと、それと同数の……3枚の女性物下着(パンツ)が彼の手の中にあった。


「ひ、ひぎゃああ!!!!!」

「きゃああああああ!!!!!!」

「いやあああああああ!!!!」


 3人の女生徒からほぼ同時に絶叫めいた悲鳴が上がる。その場に座り込んだ彼女達に対し、御堂スグルは落ち着き払った態度で語りかける。


「ご理解…頂けただろうか。ここで動けば、大変なこと(・・・・・)になる(・・・)、ということの意味が。」


「な、なんで私までッ!?」


 涙目になりながら両手でスカートを押さえ、当然とも言える抗議の声を上げる香川リカ。それに対し、御堂スグルは


「目の前に素敵な女性が3人居るというのに、誰かひとりだけ………仲間はずれになんか出来ないだろう?そんな可哀想なこと、僕には出来ないのさ!」


 とても爽やかな笑顔でこう言った。


「納得できるかああああ!!!死ね!!!この変態!!!死ねええ!!!!」


 そしてそんな味方からの轟々の非難を意に介さず……御堂スグルは地べたに座り込んでしまった鷹聖の風戸リエにゆっくりと近づいていき、上から見つめながら言った。


「さて…ここからどうするかはキミの自由だ。僕はどちらでも一向に(・・・)構わない(・・・・)。キミの好きな方を選んでくれたまえ…」


「…くッ……」


 闘技場内は男子生徒が一人で棒立ちし、周りに座り込んだ女子生徒が三名という状況になった。他は全員、既に戦闘不能となっている。


 なにも動きのない試合に、コロシアム内がだんだんとざわついて来る。


 ーーそうして、女生徒達がそこから動くことが出来ないまま、三分が過ぎ…


『『時間です。審判(ジャッジ)の判断により帝変高校一名、鷹聖学園二名の選手を戦意喪失の戦闘不能(リタイヤ)とみなし…鷹聖学園の「生き残り」がゼロとなりました。したがって』』


 会場内にアナウンスがこだまする。


『『試合(ゲーム)終了(セット)!Bブロックの勝者は帝変高校チームです!』』


 またも起こった大番狂わせに会場内から大歓声が上がった。

 その大歓声を一身に受け、ただ一人舞台に立つ御堂スグルは少し悲しそうな目をして、言った。


「君たちには悪いがこれは戦争なんだよ。血も涙もない、ね。残酷だが……これは仕方がないと思ってくれ」


 そう言いながら、両手に持った数枚のモノをポケットにしまい込む。そしてそのまま帰ろうとして……


「「「か、返せええええええ!!!この変態イイイ!!!」」」

「「「死ね!!!変態!!!死ねえええ!!!!」」」


 3人の女生徒達からは当然……抗議と非難の大合唱が巻き起こったのだった。

帝変高校控室


「気持ち悪いわ……ここで殺してもいいかしら?」

「異存なし」

「止むを得ないです…」

「…う〜ん、もうフォローできないさ〜…」


///


人物ファイル023


NAME : 香川リカ

CLASS : 【香りを操る者(パフュームメイカー)】S-LEVEL 2


帝変高校1-Bクラスの生徒。香りを「付ける」『香水』と、香りを「放つ」『芳香』の二種類の異能行使が可能。彼女自体は非力で運動神経もあまり良くなく、直接戦闘には向かないが、チーム戦でその真価を発揮する強力なバフ・デバフユニットである。自分好みの香りの香水を調合するのが趣味である。その研究によって異能にもかなり幅広い応用方法を編み出している。


<特技>

芳香 フレグランス

香水 パフューム


強壮香 トニック

絶倫香 スタリオン

無双香 マッチレス

鎮静香 クワイエット

昏睡香 コーマ

致死香 デス

誘引香 アトラクション

誘惑香 テンプテーション

幻覚香 コンフュージョン


///


人物ファイル024


NAME : 火内ユミコ

CLASS : 【万物を破裂させる者(ジェネラルバースター)】S-LEVEL 2


鷹聖学園の一年生。意識を集中させてモノを破裂させることの出来る異能力者。ただし破裂させられるのは無機物だけで生き物は破裂させられない…と本人は思っているが、それは彼女が無意識にリミッターをかけているだけで実際には出来てしまう危険な能力。

周囲には常に強気な様子を見せようとしているが、実は結構気が弱い。いつも長い髪を後ろで束ねて長いポニーテールにしている。極度の近視で眼鏡が手放せない。ちなみに眼鏡はデザイナーズブランドの高級品でお気に入りの一品である。


<特技>

破裂 バースト

爆風 ブラスト

爆発 エクスプロージョン


///


人物ファイル025


NAME : 平賀ゲンイチロウ

CLASS : 【電気を発する者(サンダースターター)】S-LEVEL 2


鷹聖学園の生徒。身体のどこからでも「電気を起こす」ことの出来る異能を持つ。出力のコントロールのしやすさや衣服などの問題から大抵手から出す。自信家で物事を大雑把に捉えがちだが、いざという時の判断力は優れている。髪は自分で金髪に染めている。

風戸リエが巻き起こした暴風の中に自ら突っ込み、敵が足止めされている所に最大級の『稲妻』をぶち込むという荒技を「協力技」と言い張る。


<特技>

電撃 ショック

稲妻 ライトニング


<協力技>

雷嵐 サンダーストーム (風戸リエ)


///


人物ファイル026


NAME : 風戸リエ

CLASS : 【風を操る者(ウインドメイカー)】S-LEVEL 2


鷹聖学園一年の女生徒。いつもファッションに結構気を使い、髪型も毎朝かなり気合いを入れて整えている。冬場どんなに寒くても「絶対に素足にミニスカート」という謎の拘りを見せる。成績は鷹聖学園でもかなりの上位だが、実はデザイナー志望。

異能は風を操る能力で、広範囲の敵に対して影響を与えるような戦いを得意とする。範囲が広い分、攻撃力は弱め。実は某飼犬のタロウと同じ能力であるが、使用者が異なるため、その運用法にかなりの違いがある。


<特技>

突風 ゲイル

嵐 ストーム

竜巻 トルネード


<協力技>

雷嵐 サンダーストーム (平賀ゲンイチロウ)


///


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下記広報用のついったーです。基本怪文書と広報だけですが、絡んでもらえると喜びます。
https://twitter.com/nabe4k
― 新着の感想 ―
[良い点] 御堂スグル! 君の相手を傷付けずに勝つという高潔な行い! 僕は敬意を表するっ! それでこそ男! だからその戦利品は勲章だ! 持ち帰っていいに決まっている! 素晴らしい!
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