14 霧島カナメの秘密特訓
霧島さんが学校を1日休んでいた時のお話。超短パワーアップ回です。
私は昨日、彼に教えてもらったことを何度も反芻していた。
『力が弱くても、相手を見極めながら多く打つ。そうすりゃ、いつかは岩だって削れるもんさ。』
それは今まで私が教えられていたこととは、真逆の考え方だった。
そして、こうも言った。
『一緒に出せるのは「一つだけ」とは限らないんだろ?』
そう、その通りだ。
「本当に私は…凝り固まっていたとしか思えないわ。」
私は意識を集中し、異能の力で出せるごくごく小さな、桜の花びら程度の「刃」を同時に3つ飛ばした。
そして次は4つ。
5つ。6つ。次は、10。
20。30。50。
そして、100。
異能で生み出された100の刃はすぐに霞のように消えた。
そう、私の作り出す一枚の刃はもろく、弱い。
でも…
200。
300。
400。
500。
存在するのは一瞬でも、力が弱くとも、多く打てばいい。
多く打てば点は線となり、線はいずれ面となる。
そしてー
私は3メートルほどの巨大な岩の前に立ち、呟いた。
「『千の刃』。」
そして、羽衣のような薄いヴェールを生み出し、岩にゆっくりと近づける。
ギャリギャリギャリギャリッ!!!!!!!
間断なく生成される千の刃が少しずつ岩肌を削り、岩の中に呑み込まれ…
最後には、岩を真っ二つに両断した。
「私は、こんなことができたんだ。」
今まで、気がつかなかった。
いえ…気づこうともしなかった。
それをあの人は教えてくれた。
「本当に…ありがとう」
たった一つだと思い込んでいたものが二つになった瞬間、一緒に喜んでくれたあの人の顔が浮かぶ。
今度、彼に見せてあげよう。
きっと、また驚いて…
喜んでくれるに違いないから。
主人公「あれ?…悪寒がする?」
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