「お前らは先に行け…!」
ここを抜ければ黒幕まであと少し…しかし、刺客を向けられた主人公達は足止めをくらっていた。たかが一人に苦戦する主人公達。そんな事でいいのかと不安は募るばかりだが、苦戦するものは仕方が無い。
「この戦況、切り抜けられると思うか?」
「なんとかしてここを突破しなきゃならない…」
「でも! ここでこうしている間にも黒幕は遠くへ逃げちゃうんだよ!」
徐々に焦り出す主人公達。どうして大勢対一人でこんなに時間を掛けているのか…。
「仕方が無い…俺が一人で————」
そこまで言って仲間全員は気づく。メインキャラ未満モブキャラ以上による強キャラの足止め…これは…
「「「足止めした奴大体死ぬフラグ…」」」
三人は同じ事を思い、同じ事を口にした。そんな事ある訳ないよと笑って誤魔化すが、フラグ促進剤をかき集めているようにしか思えない。
「ダメだ! 辞めろ! 主人公の俺がそう言ってるんだぞ!」
よく分からない主人公ポジを使って説得を試みるが、心は既に決まっているようだった。
「そうか、それなら仕方ない…ここは任せたぞ」
「絶対に後から追いついてきてね!」
「お前ならやれる…俺達は信じてる」
フラグ促進剤を無くなるまで掛け尽くした主人公達は、刺客とタクマ(フラグ立てた奴)を置いて、この場を後にする。
なぜ大人数で勝てないと分かっていて一人置いていくのか…恐らく嫌いだったんでしょう。はい。
「分かってるよ! コイツはすぐに倒す」
刺客とタクマの戦闘が始まる。
…そして、激しい技の撃ち合い、剣の攻防、肉弾戦…死力の限りを尽くし20分後、タクマは余裕綽々でその場に立っている。
そう、タクマは天性のフラグクラッシャーだったのだ。刺客は驚いた顔でその場で息を引き取り、倒れていく。
「待ってろよ、すぐ追いつくからな。」
間に合うわけがない。何故20分経って間に合うと思ったのだろうか? 流石フラグクラッシャー、頭の中までクラッシュしている。
森を抜けると、敵のアジトのある洞窟を見つける。その入口で倒れているのは主人公御一行。近くまで見に行くとワイヤーに引っかかって弓矢が刺さって死んでいるなんとも間抜けな姿がそこにある。
タクマは呆れていて、声も出すことが出来なかった。