7フレーム目 『まねかれなるもの』
私の彼は、ごく普通の暇な人だ。オブラートに包んだよ。
そして、絵のことは全く知らないと言って良い。
しかし、少し違うのは、
私の仕事のマネジメントをしてくれる。それがとても心強いのだ。
私はイラストレーターの仕事をしている。
交渉事は苦手だ。とくにお金の話。
自分の仕事に価値を付けるのが、果たして自分でいいのかと思ってしまうからだ。
そんな時にキミは言う。
「エリちゃんの絵がとても素敵だ!ぴかぴかだ!みんなまだ価値をしらないだけだ!」
そう言ってくれる。
ニートだけど…。それでもいいんだ。
自分の仕事に価値を見出してくれる人がいる。
そんなキミがそばにいる。それでいいんだ。
「エリちゃん、俺は絵のこと全然分からないけど、エリちゃんの絵はすごいよ。
もっと売れてほしい!ぴかぴかしてるし!お金になるとか…それもあるけど…みんなに、この価値を知って欲しい、だからもっと色んな人に知って欲しい!」
キミはいつも一生懸命だ。ほんと絵のこと知らなくて判定ガバガバだけど…。
油絵と水彩絵の区別もついてなさそうだけど…。
「はい!エリちゃんならきっと、ぴかぴかな絵に仕上げます!」
クライアントさんの前でもエリちゃんって呼ぶけど…。
ぴかぴかな絵ってキミいつも言ってるね。
ま、いっか。