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最後のアイスはレモン味?

髪型を変えると性格も変わる女の子の話、第二段です。

この話を読む前にこちらの第一弾を読んでくださいますようお願いいたします。

最後のアイスはレモン味?


--------------

その一。男目線


「あ、おはよう。今日もいい天気だね」


今日の彼女は【ツインテール】。


「オハヨ」


と一言言って、そっぽ向いてしまった。

なんだろう。最近【ツインテール】率が高いような気がする。



--------------

その二。女の友人目線


「あれ?今日もツインテールなの?」


「いいでしょ別に」


どういうことだろう。彼と付き合い始めのころは、

月水が【ストレート】、火木が【ポニーテールと眼鏡】、

金曜日【ツインテール】という感じで【ツインテール】の割合が少なかったのに。


「うん。別にいいけど。どうしたの?彼にほめられたの?」


「確かに最初にほめてくれたけど、別にそんな理由で【ツインテール】にしてるわけじゃないわよ」


「じゃ、どんな理由なの?」


「誰にも言わないでよ・・・」


【ツインテール】にしているときでも、私になら素直に話してくれる。


「うん。みんなには内緒にするから教えて?」


耳たぶまで真っ赤になって。教えてくれた。



--------------

その三。男目線


きょうは、彼女と映画を見る約束。

とても有名な忠犬の銅像の前で待ち合わせ。

彼女は約束の15分前には来ているから、

僕は20分前には着くようにしている。彼女を待たせたくないし、

少しでも長く一緒にいたいもんね。


忠犬の銅像の前に彼女はいなかった。

僕は携帯音楽プレーヤーで音楽を聴きながら彼女を待つことにした。


携帯音楽プレーヤーに付属のイヤホンは左右対称で、

ケーブルが体の正面に来るものだった。

僕は体の正面にケーブルが来ると、邪魔に感じてしまうので、

左側のコードが短く、右側のコードが長い非対称のイヤホンに交換している。

右側の長いコードは首の後ろを回して右耳へ至る状態になっている。


今日のジャンルはカバーポップス。

ザ・ピーナッツや、九ちゃんやパラキン。

年をごまかしていないかって?花の男子高校生に向かって失礼な。

年をごまかしているんではなくて、

父が聞いているのを僕も一緒に聞いてすっかり気に入ってしまったんです。



--------------

その四-1。彼女の目線


約束の時間の15分前に到着したのに、彼はすでに待っていた。

携帯音楽プレーヤーで音楽を聞きながら、忠犬の銅像に寄りかかっている。


うれしい。彼が来ていてくれたことが、

とても、うれしい。早く来た15分のぶん余計に長く彼と一緒にいられることが。


【ツインテール】の私を初めて見せたときに彼は、

「いつものストレートもいいけど、ツインテールも似合ってるよ」

と言ってくれた。

ただ、【ツインテール】にしているときは、

素直になれずに、時に思っていることと正反対のことを言ってしまうことがある。

自分でもわかっている、それが【ツインテール】にしたときの私。

彼は【ツインテール】の私のことを【カワイイ】と思ってくれているみたいだけど、

私が素直になれない分、彼との間に壁ができてしまっているようにも感じる。


いつか、彼との間の壁をなくして、そして・・・



--------------

その四-2。男目線


約束の時間きっかり15分前に【ツインテール】にした彼女がやってきた。

時計並みに正確だ。僕は耳からイヤホンを外して、首からさげた。


「わたしよりも先に待ち合わせ場所に来ているなんて。いい心掛けね」

「ま、当たり前のことよね。わたしみたいな美少女を待たせるなんてことがあったら、天罰が下るんだから」

「待たせたなんて思わないわよ。いまだって約束の15分前なんだから」


彼女は可愛げない口調で言う。

黄色いワンピースが、まるで、避暑地のお嬢様。

レモンのように爽やかで、暑い夏に一服の清涼剤。

頬を赤くして、目は潤んでいて、恥ずかしいのか目をそらしていて、

ものすごく可愛い。



--------------

その四-3。彼女の目線


彼はすでにイヤホンを外しているけれど、

まだ、携帯音楽プレーヤーは再生中だったらしい。

何を聞いていたんだろう。興味がわいた私は、

携帯音楽プレーヤーを停止しようとしている彼を止めた。


「何を聞いてたのよ。ちょっと聞かせなさいよ」


イヤホンを手に取り耳に当てる。

え〜と。この曲は知っている。

たしか、双子の歌手の人よね。



--------------

その四-4。男目線


彼女は、正面から僕に近づき、

僕の首の後ろに回っているイヤホンのコードをそのままに、

イヤホンを引き寄せて、耳に当てて音楽を聴きはじめた。

僕らの距離はイヤホンのコードに手繰り寄せられ、息がかかるほどに近づいた。


かすかにもれ聞こえてくるのは、ザ・ピーナッツの「レモンのキッス」


彼女は曲を聞いて目を大きく見開き、

いつの間にか急接近していたことに気づいて、耳たぶまで真っ赤になった。


「なによ、こんな曲聞いて。そんなにわたしとキスしたかったの?」

「め、目を閉じて静かに待てばいいんでしょ。閉じててあげるからとっととしなさいよ」

「べっ、別にわたしがしたいんじゃないわよっ!!」

「あっ、あんたがこんな曲を聴いていて、いつの間にかこんなに近づいちゃったから、しょっ、しょうがなくなんだからっ!!」


彼女は目を閉じたまま、なんか、今にも唸りそうだ。

いや、すでに小さな声で唸ってる。(ぅ〜)


僕は彼女の両耳を痛くならないよう、

逃がさないように捕まえて、


「うん。僕がこんな曲を聴いていたから」

「たまたま、こんなに近づいちゃったからなんだよね」

「でも、君がしたくないんだったら、我慢する。キスしない」


お互いの吐息を感じる距離で、

彼女は逃げられない。顔をますます赤くして


「べっ、別にしたくないなんて言ってないじゃないっ!!」

「がっ、我慢なんてしないでよっ!!!」


有名な銅像の前で、衆人環視の中だけど、

こんなことを言われて我慢なんてできるわけがない。


彼我の距離あと、3cm、2cm、1cm、0cm、-1cm、-2cm。


-2cm、-1cm、0cm、1cm、2cm、3cm。


僕が彼女の両耳を放すと、彼女は逃げてしまった。


「しっ、舌が入ってきたぁっ!」

「なっ、なんてことするのよっ!ぜっ、ぜんぜん【レモンのキッス】なんかじゃないじゃないっ!」


いけない、いけない。あんまりカワイかったものだから、

つい、ヤリすぎてしまった。


--------------

その五。女の友人目線


今日も彼女は【ツインテール】、心に秘めた目標を果たすまで、

【ツインテール】を続けるのだろう。

うん?なんだか、とても機嫌がよさそう。これは、もしかして、もしかすると・・・。


「きょう、デートだったんでしょ。どうだった?」


「べっ!、別に何もなかったわよっ!!」


う〜ん。わかりやすい。


「キスできたんでしょ?よかったじゃない。みっしょんこんぷりーっとっ!!」


「なっ!、何もなかったって言ってるじゃないっ!!」



--------------

その六。男目線


今日の彼女は【ポニーテールで眼鏡】。

なんだかひさしぶりだ。

ちょうどいい。ここ数日、疑問に思っていたことを教えてもらおう。


「おはよう。最近、【ツインテール】率が高かったから、ポニーテールは久しぶりだね」

「なにか、理由があったのかい?」


「うむ・・・」


いつも歯切れのいい彼女が、珍しく言いづらそうだ。

頬も赤らんでいる。


「ねぇ。教えてよ」


「うむ。【ポニーテールで眼鏡】にしている時の私に聞くのは、ちょっと卑怯だと思うぞ」


「まあ、そういわずに。教えてよ」


「うん・・・。しかたないな」

「私が【ツインテール】の時にはキスしたことがなかっただろう?」

「だ、だから、【ツインテール】の時にキスしたいと思ったんだ。それだけだ」


なるほど、それならば、まず【ツインテール】にしていなければ無理な話だ。

それで、【ツインテール】率が高くなったんだ。

あ、耳たぶまで真っ赤になっている。

【ポニーテールで眼鏡】にしているときに、ここまで赤くなるのは、初めて見た。

こうしてみると、やっぱり、確かに同一人物なんだ。


「あれほど情熱的で深くしてくれるとは予想できなかったぞ」

「もちろん、今の私にも同じにしてくれるんだろう?」


だっ、だから、教室のど真ん中の、衆人環視の中なんですけどっ。


「あっ、ちょっと、ちょっと待って、みんな見ているし・・・」


「なに、気にするな。昨日よりは少ないではないか」


今日のBGM は「情熱の花」だろうか。




つづくよ。

ごく短い短編を一話完結でなら、書いていけそうです。

前作で【ツインテール】の娘だけキスをしてなかったなと思ったら、

テトリスみたいに話のパーツが振ってきて、こうなりました。


今回は【ストレートへア】の娘の出番は用意できませんでした。

次回は今回の分も活躍させてあげたいですね。


イヤホンのコードを使ったキスシーンは一番古いパーツです。

20世紀末に書いてオクラにした

推理小説モドキの主人公たちのために考えたものです。

世紀をまたいで、やっと、使うことができました。

やーっと日の目を見たのに、【ツインテール】の娘に負けてしまって、

あまり印象に残らないですかね。

実際に試したわけでないので、定かではないですが、

イヤホンのコードがありえないくらいに長いですよね。

(フィクションですから。妄想ですから)


一人称形式で視点をコロコロ切り替えたので、

どこで切り替えるかで、ちょっと苦労しました。でも、楽しい苦労でした。

読んでくれたあなたを楽しませることができていたらよいのですが・・・。

ニ○ニ○のアカウントお持ちでしたら、BGM に聞いてみてください。

「レモンのキッス→sm1658654」「パラキン→sm2216709」


今後もすごく短い短編を一話完結で、書いていこうかなと。

次回作?核になるパーツは落ちてきたんですけど、

周りの部品がまだ足りないので、いつできるかはお約束できません。

そろそろ主人公たちの名前がないと苦しいなぁ。

登場人物増えたら三人称形式にした方がいいかもしれないし・・・



2008/07/27

連載用のフォーマットに移動するとともに、

若干の改訂を加えています。


【ツインテール】の娘のセリフ

「私」→「わたし」

「肩からさげた」→「首からさげた」とか。


あと、パラパラと書き加えてます。


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