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3段重ねのアイスの味は

気になる彼女はとことん無口。嫌われてはいないと思うんだけど、どうすれば仲良くなれるかなぁ。でも、仲良くなりたいと思っていたのは、僕だけじゃなかったんだ。無口すぎて、返事もできない彼女のために、彼女の友人が一計を案じた。はてさてどうなりますやら。

3段重ねのアイスの味は


--------------

その一。男目線


「あ、おはよう。今日もいい天気だね」


「・・・・・」


嫌われてはいないと思うんだけど、

相変わらず、返事がないなぁ・・・


高校に入学してから、一ヶ月。

だんだんとクラスにも慣れ、

クラスメイトの性格も把握出来てきた。


そんな中、気になる女の子がひとり。

身長は小柄で幼児体型。

髪はストレートで腰くらいの長さ。

シャンプーやコンディショナーの宣伝が出来そうなくらいにサラサラで、

キューティクルが輝いて天使の輪みたい。

笑えばカワイイと思うんだけど、とにかく無口。

【モクー】というやつ?


授業中にふと視線を感じると、彼女が僕のことを見ている。

僕と目が合うと、頬を赤らめてそっぽを向いてしまう。

こんなことがおきる回数が、日に日に増えてきているんだ。

自意識過剰かもしれないけど、脈があるんじゃないかなって思っている。


でも、彼女から話かけられることはないし、

僕が話かけても、返事をしてもらえない。

どうすれば仲良くなれるかなぁ。

そしてあわよくばネンゴロに。なんて思うんだけど。



--------------

その二。女の友人目線


「なんだぁ、また話せなかったんだ。」


「・・・・・(コクリ)」


「今日も一日見つめていただけ?」


「・・・・・(コクリ)」


「にらまれてるとか、呪ってるとか、ストーカーだとか変な誤解されなきゃいいけど」


「・・・・・(ブンブン)」


「首を横に振ってって、そんなことないって言いたいの?」


「・・・・・(コクリ)」


「あたしとはちょっとは話してくれないかなぁ。幼稚園からの付き合いなんだしさ・・・」


そう。彼女とはもう10年以上の付き合いになるのに、

ほとんど話してもらえない。

この前声を聞いた時、あたしたちは小学生だったよ。

それも、あたしの特技をつかって、やっとだもの。


時々小さい声で「キャッ」とか悲鳴というか嬌声をあげてたり、

笑った拍子に「プッ」って噴出したりしているのが聞こえるけど、

このままじゃさすがにどんな声だったか忘れちゃいそうだよ・・・


幼稚園で出会って、同じ小学校に入って、中学も同じで、

高校で別々になってしまったけど、あたしたちが親友なのは変わらない。

その彼女に、好きな人が出来たらしい。

でも、自分からは話しかけられなくて、

彼から話しかけられても、返事が出来なくて、

思いを込めて見つめることしか出来ないって。


彼は視線にこめられた思いを読み取れないらしい。

そりゃそうだろう、付き合いの長い私だって、

最近やっとわかるようになってきたんだから。

どうにかしないと、このままでは冗談でなくホントに、

ストーカー扱いされちゃいそうだ。


えと、【モクー】っていうのかなこういうの。

あたしも、そういう"属性"キライじゃないけど、

これじゃ、告白は出来ないよねぇ。


あ、そうか。そういう観点でみると、方法はあるかも。

久しぶりにあたしの特技を使ってみましょうか。



--------------

その三。男目線


あれ?今日は彼女の髪形が違う。

ツインテールにしてきている。

表情もちょっとしまってるというか、

気の強そうな顔つきになっている。

どうしたんだろ。じっとこっちを見ている。


「なによ、今朝はあいさつしてこないの?」

「きっ、期待なんかしてないわよっ」

「まっ、毎朝挨拶してくるのに、今朝はないからよっ」

「べっ、別にあんたなんかに挨拶してほしいなんて思ってないんだからっ」


えーと、【ツンデレ】?になってる?どうして?

でも、こういう声だったんだ。

表情もコロコロ変わって、面白い。というか。カワイイ。


「僕は挨拶したいと思っているよ。おはよう」

「今日は髪型がいつもと違うんだね。いつものストレートもいいけど、ツインテールも似合ってるよ」


彼女は真っ赤になった。顔だけじゃなくって、耳たぶまで。


「べっ別にあんたに褒められようと思ってしたんじゃないわよっ」

「あ、あんたなんか、なんとも思っていないんだからっ」


うーん。嫌われてはいないと思うんだけど、

どう解釈すればいいんだろ。



--------------

その四。女の友人目線


「どうだった?ばっちり話かけることが出来たでしょ?」


「話すことは出来たけど、やっぱりヤダ。これだとダメ」


「え〜?どうして?」


「話せたんだけど、なんとも思ってないなんて言っちゃったもん」


あ〜。さすがは【ツンデレ】。素直じゃない。

それならば、うんと素直になってもらいましょう。



--------------

その五。男目線


今日の彼女はポニーテールだ。

表情は無表情で、四角い縁のめがねをかけてきている。


「おはよう。朝いきなりでわるいが、聞いてもらいたいことがある」


硬い口調。これは、もしかして・・・

うなずいた僕に向かって彼女は。


「好きだ。私と交際してほしい」


今朝は、【素直クール】みだいだ。

無表情なんだけど。さすがに頬が赤らんでいる。

って、朝の教室のど真ん中の、衆人環視の中なんですけどっ。


「返事をもらえないだろうか」


「うん、僕も君の事、いいなって思ってた」

「まず、」


【まず、ともだちから始めないか?】

と話そうとしたけど、途中までしか話せなかった。しゃべれなかった。

彼女が自らの唇で、僕の唇をふさいでしまったから。



--------------

その六。女の友人目線


「どうだった?素直に気持ちを伝えられたでしょ?」


「うむ。思いを伝えることが出来た。そして、まずは友達として交際を始めることになった」

「それに、衆人環視の中で思いを告げたので、全校的な公認カップルとなれた」


「よかったじゃない」


「うむ。それなのだが、少し問題があった」


「問題って?」


「交際の返事を求めた私に、彼が「うん」と言ったので、気持ちを抑えきれなくなり私からキスしてしまった」


「えっ?、衆人環視の中で?」


「うむ。私は気にしてないのだが、彼が・・・、彼は私が近づくと緊張するようになってしまった」


あ〜。さすがは【素直クール】。素直すぎる。


「彼に近づけないのでは意味がない。この催眠術をといてくれないか?」


そう。私の特技は催眠術。

彼女は素直で私を信頼してくれているから、とても暗示をかけやすい。

今回は、ツインテールにすると【ツンデレ】。

ポニーテールと眼鏡で【素直クール】になるように条件付けをした。


「眼鏡をはずしてポニーテールを解けば元に戻るわよ」


彼女はいつもの【モクー】にもどった。

その目には決意の色がある。


「そう。ホントの自分で勝負するのね。がんばってね」


「・・・・・(コクリ)」


--------------

その七(最終話)。男目線


今日の彼女の髪型はストレート。

シャンプーやコンディショナーの宣伝が出来そうなくらいサラサラな髪。

僕の手を取り、校舎の裏につれて来て、

思いをこめた視線で僕を見つめてきている。


視線にこめられた思い。今の僕にはわかる。

彼女は僕のことが好きなんだ。

いまなら、彼女のいままでの行動から僕への好意が読み取れる。


僕は彼女をそっと抱き寄せ、彼女の柔らかな唇へそっとキスを落とした。


彼女はとても幸せそうな満面の微笑を浮かべた。



昼休み、彼女はポニーテールで、

眼鏡をかけて、お弁当を持って僕の席に現れた。


「弁当を作ってきた。食べてくれ」


もちろん僕は逆らわない。

彼女の趣味は料理らしく、とてもおいしかった。

ただ、僕の頬についたご飯粒を口で直接・・・


「うむ。美味だ。ご馳走様」


だっ、だから、教室のど真ん中の、衆人環視の中なんですけどっ。



放課後。彼女はツインテールで僕の前に現れた。


「べっ、別に一緒に帰りたいから待っていたんじゃないんだからねっ」


3段重ねのアイスのように

「ひとつで3つの味」と思った僕は不謹慎なんだろうか。



--------------

そのおまけ。女の友人目線


「あら、今日は【素直クール】だったの?」


「うむ。なかなかに便利だからな」

「ツインテールにした私は彼に【カワイイ】と思ってもらえているようだ」


「ふむ」


「ポニーテールにして眼鏡をかけた私は彼に緊張を強いるようだが、それも【スリリングでいい】と思われているようだ」


「ふむふむ」


「私がストレートへアにしていると、彼からセマって来てくれるんだ」


さすが、【素直クール】冷静に分析をしている。

話ながら彼女は【モクー】にもどった。

とても幸せそうな満面の微笑を浮かべている。


「よかったわね」


「・・・・・(コクリ)」



HAPPY END

つづきます。

えー、小説?を発表したのは初めてです。推理小説モドキの未発表作品があるので、コイツは通算で2作目になります。書いた本人は楽しめましたが、ひとりよがりになってないで、読んでくれたあなたを楽しませることができていたらよいのですが・・・。

この話の登場人物たちの続編を書く予定は今のところ全くありません。次回作?書けるかどうかわかりません。


-----------------------

最初のアップ当日は上記のように書いてましたが、2008/5/16 付けで続編、第2弾書いてました。

いま第3弾以降を書いてます。数が増えてきたら、「連作」ということで、

連載のフォーマットへ移していこうと考えています。

(2008/5/31 追記)



2008/07/27

連載用のフォーマットに移動するとともに、

若干の改訂を加えています。


「話」→「話し」等


【推理小説モドキの未発表作品】は

【ABO式殺人事件】として公開しています。

http://ncode.syosetu.com/n3295e/novel.html

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