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新たな生活に向かって

頑張れ、ノッコ。

婚約式は無事に終わった。

と思っていたら場所を変えて続いていた。


本家に大人の人たちが、うちの家に若者たちが集まって、飲んだり食べたりが続いている。


名古屋の叔父さんと洋子叔母ちゃんが通訳をしてくれているので、秀次くんもやっとお役御免だ。


「ごめんなさいね、秀次くん。大変な役目を押し付けちゃって。本当に助かりました。ありがとうございました。」


「いえいえ、私が望んでお邪魔したんですからこれくらいのことは当然です。それよりノッコさん、いい家族ですね。面白い親族もいるし…。」


そう言って秀次くんはくすくす笑った。

あのドナシェラ大叔母さんを面白いの一言で片づけられるとはさすがに皇太子さま、大物である。



それから3日経ち、いよいよ今日、ノッコは日本を出発する。


イギリスのサマー家の人たちと一緒に、これから一足先にイギリスに向かうのだ。

アレックスは8月に入ってからうちの母親と一緒にイギリスに来てくれることになっている。


その時が来たんだね。

日本を離れる時が…。


秀次くんは、一旦京都に帰るので今朝お迎えの車が来て、ここでお別れした。

8月の結婚式には、またイギリスに来てくださるらしい。


結婚式で伯父さんたちに滝宮様を紹介するのが、楽しみなような申し訳ないような複雑な気持ちだ。


それでも秀次くんに今回、会えてよかった。

まさか皇太子さまとこんなに親しくなれるとは思ってもみなかった。


人生とは不思議の連続である。



そしてイギリスの家族の人たちにもドナシェラ大叔母様にも、こちらに来て私の親族と親しくなってもらって有難かった。

家族やノッコの心配も軽減された気がする。


ノッコはこの楽しい家族に囲まれて旅立てることを、心強く思っている。



「ノッコ、準備は出来た?」


「はぁーい、今行きます!」


ノッコは座敷の縁側から、生まれ育った家を出た。


帰ってこないように、嫁に行く者は出立(でた)ちの日には縁側から出て行くのだ。


さっきお母さんの手で縁側に靴を持っていかれた時には、気が引き締まる思いがした。



庭の外には本家の人たちを始め、幼馴染みや近所のおばちゃん達が見送ってくれている。


ノッコはハルチと恵里ちゃんにハイタッチをして、これからのことを頼んだ。

イギリスの店の日本の応援団だ。


初枝おばあちゃんとは固い握手をした。


「また、日本に帰って来るからね。元気でいてね。」


「ノッコも身体に気を付けるんだよ。水には注意すること。」


本家の伯父さんと伯母さんにも挨拶をした。


「伯父さんたちも、遠いけど8月にはよろしくお願いします。」


「おうっ、任せとけっ。英語も上手くなったしな。」


「ドレスが決まったら教えてね。」


「うん、伯母さん、メールで送るよ。」


そして、小さい頃からお世話になった近所の人たちにも…。


「皆さんも、わざわざ来て頂いてありがとうございました。今までお世話になりました。」



みんなの「元気でね。」「いってらっしゃい。」の言葉に送られて、ノッコは伸也の運転する車に乗った。

バックミラーごしにこっちを見ている伸也と目が合った。


「行くぞっ!」


「…うんっ。」



のっぽのノッコの旅立ちだ。


願わくば充実した人生を送れますように。



ノッコの心は少しずつ、イギリスの空に向かって翔けだしていた。

ここまで読んでくださってありがとうございました。

ノッコも無事旅立てました。

また違う人の視点から、彼らのその後も語っていきたいと思っています。

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