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四季の恋  作者: 香月よう子
四季の恋
4/4

「碧いおもちゃ箱」シリーズでご覧下さい。

「冬の朝」


幼子(おさなご)がおぼつかない足取りで

母なる人のもとへと

一生懸命駈けている

その姿はとても可愛らしげで

その母は満面の笑みを湛えて

両手一杯

我が子をそっと抱き留める

冷たい空気が頬を刺す

冬の朝の公園で





「銀世界」


今年初めての雪が舞う

神戸の街一面の冬景色

ヴァレンタインも近い

思い出す一年前の今頃

精一杯の勇気を出して

あなたにチョコレート

手渡したことうつむいて

そして今こうしてふたり

じっと初雪を見つめてる

あなたの手の温もりと

あまりの銀の目映さに

瞳は世界が滲んで見えた





「北の旅路」


訪れた北の海は厳しく荒く

大地は固く凍てついていた

冷たい風の中あなたを想い

待ち望む春はまだ浅く・・・





「秋来たりなば」


銀杏の黄金色が舞う十一月の空の下

澄み渡る空気は頬に冷たく

少しずつ少しずつ

冬を想う





「冬来りなば」


それは幸せな日々だった

ひたむきなまで焦がれた

あの夏の恋・・・

けれど冬が訪れて

振り向くと

あなたはもうどこにもいない





「秘恋」


厳しい木枯らしが吹き荒ぶ中

重いコートの下には

熱く燃え盛る恋心が

隠れている

誰にも知られてはいけない

私だけのそれは秘密・・・





「冬の輪舞(ロンド)


二人の想い出が名残雪と共に

掌の上で踊って

溶けた





「つぶやき」


愛なんて

溶けて消えゆく二月の雪と

似たようなもの・・・





「冬の夜」


自販機の缶コーヒーをふたりほっぺに

あてあってはしゃいでいたあの冬の夜





〜「四季の恋」〜


早春

初めての恋を失ったと泣くだけの私を

あなたはただ黙って受け止めてくれた

広く大きな胸にすっぽりと私を包んで


盛夏

気の合う仲間で海へ遠出した夏の日

時折眩しそうな目をしていたあなた

私を見つめていたの本当は知ってた


晩秋

枯れ葉舞う街路樹の下をあなたと

二人並んで歩いた喋ることもせず

なのに何故だか温かいと感じてた


厳冬

今年の冬は寒さ厳しいけれど

私の編んだセーターを着てる

あなたの溢れる笑顔が

心から嬉しくて


そう二人で幸せになる

これからの春夏秋冬





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― 新着の感想 ―
[良い点] 冬の寒さもふたりなら、寒くないですね。 春に失った恋が 夏に始まり 秋に深まり 冬にふたり暖かく過ごす とっても素敵な作品を読ませていただきました。 ありがとうございました。^_…
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