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四季の恋  作者: 香月よう子
四季の恋
1/4

「碧いおもちゃ箱」シリーズでご覧下さい。

「四季」


この季節になると

誰もが知らずしらず

斜め45度で空を見上げる

”桜の森の満開の下”

日本に生まれてきて良かったと

生きていきたくない本当は

私もそしてきっとどこかにいる

誰かも必ず思っている

この季節になると





「葉桜の季節」


桜なら来年もまた咲くよと

あなたは言う

けれど

来年もその木の下であなたが

私に微笑みかけてくれるかどうかは

わからない・・・

だからこそ

散りゆく薄い花びらを

見つめながら想うのは

幾たび季節が廻れども必ず桜が咲くように

いつもあなたの隣には私が在りますように





「桜色の想い出」


桜吹雪の舞う木立の中

彼女は愛おしそうに

ピンク色の空を見上げていた

頬を桜色に上気させ

彼女は何を想っていたのだろう

声をかけようとして

何故だかそれが出来なかったのは

彼女の薬指のリングのせいだった

あれから一年

彼女はまた同じ場所で

ピンク色の空を見上げていた

薬指のリングはなかったけれど

それでも愛おしそうに

ピンク色の空を見上げていた

声をかけると

彼女は桜が咲くようにほっこりと微笑み

そして泣いた・・・

それから毎年、春になると

僕たちは一緒に桜色の空を見上げている





「桜の手紙」


制服の胸のボタンを下さい

そう告げたあの木の下が

教室の窓辺からよく見える

あなたはいないけど

金色に光るそのボタンは

私の掌の中にあって・・・

 お元気ですか

 桜吹雪が綺麗です





「桜の樹の下で」


さいた さいた

桜が咲いた

おどれ おどれ

輪になって踊れ

春風に舞う花びらのように

薄桃色の空の下で





「春来たりなば」


その口唇(くちびる) その躰に

触れれば

淡雪のように儚く

なってしまいそうで

僕は君を強く抱き締めた

春が来ても君が

逝ってしまわないように・・・





「春まだ来」


雪混じりの風が吹く頃

君はもう

春がくるのを待っていた

野を駆け

花冠を結い

僕と一緒に戯れる

そんな夢を描いていた

サナトリウムの白い壁の中で

春を待たずに君は逝った

僕を独り置き去りにして





「春の追憶」


春の暖かい陽だまりの中で

優しく大人だったあなたと

笑いさざめいていたあの頃

まだまだ幼さを残していた

あれから幾度かの春が巡り

あなたの姿はなく私はもう

ピンクの口紅が似合わない





「春の雨」


傍らにはミルクティー

FMからはブラームス

なんの変哲もない午後

だけどあなたがいない

こんな日はだいきらい

ブルー入ってる春の雨

やむことなく降り続く





「春雨の憂鬱」


とてつもなくメロウな気分に浸りきり

ショパンの「葬送」なんか弾いてみる

ほとんどジョークのよう陰鬱な春の雨









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