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星々の消えゆく世界  作者: 山吹 残夏
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2話 セプター

夕日が赤く赤く空を染め上げて、それに負けず劣らず北春きたはる 小雪(こゆき)の頬も赤く染め上がっていた。


北春は言いたい事もあったが、気持ちの整理をつけ落ち着く様に自分を諭した。


そして、北春は一応ではあったが黒髪の少年、金髪ロングの女の子、銀髪の青年こと不条ふじょう (あきら)の3人に今までの自分の言動の趣旨を説明できた。


「ふーん。頭の中に未来のイメージが流れてきたね〜。」


黒髪の少年は何かを考察する様に首を傾ける。


「やはり、無難に『未来予知』系の能力ではないしょうか。」


不条が黒髪の少年に提案する。


しかし、不条の年齢は20歳を超えているだろうに、私と同年代だろう黒髪の少年に何故か敬語の喋り方なのである。


「実際に君は悲惨な未来を何も起こらない現象に変えたんだよね?」


黒髪の少年が北春の目をしっかりと見て問いかけてくる。


「はい、そうですけど……、私に能力ってあるんですか?」


やはり、私には納得が行かなかった。


「何故、そう思うんだい?全人類が能力を所有していて、君が現在初めて能力の発現をしたのならどんな能力かも分からないはずだろう?」


黒髪の少年は純粋な疑問を北春に投げかけて来た。


だが、北春に能力がないと思う理由は明白だった。


「だって……、今日学校で『能力検査のうりょくけんさ』を受けて来たばかりで、『セプター局員』に能力発現を確認出来ないって、言われたばかりなんですよ。」


北春の普通のその答えに、周りの3人が驚愕し、空気が変わった。


「そ、それは本当かい?」


不条は明らかに動揺を隠しきれず確認を取ってくる。


「はい……。」


私は何か不味い事を言ってしまったのだろうか?と不安になり、オドオドとしてしまう。


「成る程。それじゃあ、君も我々『セプターインヴァリデイト隊』と同じという事だよ。


因みに、インヴァリデイトは無効にするって、意味があるんだよ。」


黒髪の少年がいきなり取り仕切った。


しかも、インヴァリデイトの発音が言葉を失う程に上手だった。


北春が何事か?と首を傾げているのを見て、黒髪の少年のセリフに不条が解説をしてくれる。


「先程の『セプターインヴァリデイト隊』と言うのは『皆無石かいむせき』の影響を受けない、『脳力博書(のうりょくはくしょ)』で言う所の99.99%以下しかいない能力者達で、『セプター局』によって結成された特別部隊なのですよ。


ですが、皆さん略して『セプター隊』としか呼んでないですけどね。」


と、詳しく丁寧に不条が説明をしてくれた。



「そんな訳で君も我々の『セプター隊』に入って貰う事になるかな。」


突如として黒髪の少年が冷静に割り込んで来た。


「え⁉︎」


北春は何を言われているか、分からず困惑した。


「ところで、君の名前は?」


動揺が収まりきらない北春に黒髪の少年は今頃に尋ねてきた。


「北春小雪です…。」


私は小恥ずかしく答えた。


「俺の名前は稲葉双熾(いなばそうし)


これから、『セプター局舎本部』に来てもらう事になると思うけど、その前にここのメンバーだけでも自己紹介をしておこう。」


よく分からずどんどんと話しが進んで行き北春は戸惑いが収まらなくなる。


「初めは私から、不条晃(ふじょうあきら)と言います。


能力は『不死ふし』です。


宜しくお願い致します。」


不条は自己紹介をすると、丁寧に頭を下げた。


「はぃ。」


北春は曖昧に返事をしたが、これで1つ納得がいった。


先程、不条は車にかれそうになっていたというのに、全く以って動揺する気配が無かったのは、恐らく『不死』が関係しているだろうと。


すると、不条は自身の足しがみ付き離れようとしない女の子を強引に引き剥がした。


そこからは、照れくさそうに俯く金髪ロングの6歳くらいの女の子が登場した。


あっ⁉︎っと、北春はつい声を上げそうになり今回はギリギリの所で押し留めるが、それでも驚き口に手は当てていた。


先程、不条に呼びかけて以来、一言も発言していない。


まして言うなら、それ以降私には姿も見えていなかった。


「ほら、自己紹介をして下さい。」


不条は女の子の目を見て頼む。


すると、稲葉が、


朝霧あさぎりは初対面にとてつもなく弱いからな〜。」


と、独り言の様に呟いた。


そして、長々と沈黙を保っていた女の子が遂に口を開いた。


「あ、あさ、朝霧(あさぎり)、し(しおり)。」


朝霧の渾身の自己紹介は名前だけに終わった。


しかし、それを受けた北春は、年上として大人の対応をしなければと思い、朝霧の前でしゃがみ込み目線を合わせて笑顔を作る。


「ありがとう、栞ちゃん。とってもいい名前だね!」


その瞬間、朝霧は再び不条の後ろに隠れてしまった。


「すみません、栞は極度の人見知りで、先程は声を上げていたのですが、北春さんの存在に気付いた途端にこの有正(ありさま)でして。」


不条がまるで保護者か保育園の先生かの様に、申し訳なさそうに説明してくれた。


「最後に俺だな、俺の能力は『異質いしつ』だ。」


稲葉はあっさりと紹介したが、北春にとって稲葉の能力はどんなものなのか想像さえ出来なかった。


これで、一応ではあったが4人全員の自己紹介が雑に形式的に終了した。


すると、稲葉は思い出した様子で北春だけにこっそりと話し掛けてきた。


「さっきの小雪の能力だけど、状況的に『幸運こううん』って事にしておくね。」


さらりと、北春を名前呼びして告げられたため、北春はがっつりとフリーズする。


「さて、辺りが暗くなってきたし、実験も済んだし『セプター局』に帰りますか。それでは、お願いします。」


稲葉は突如仕切ると、誰かに要請を掛けた。


「えっ?」


首を左右に回す頃には時すでに遅く、北春は『セプター局員』に囲まれていた。


その後、4人+『セプター局員』でワンボックスカーに強制的に乗せられ、車は出発した。


そう、北春は誘拐された。


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