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イチャイチャを見せつける日が来たようだな


物事には対価がつきものだ。いいこと悪いこと、全てにおいて。

はてさて。イケメンである彼が得たのは、自身の持てる力がモテる力として活用できる世界。その対価がなんであったか……彼も、おそらく読者でさえも忘れているであろう。




「流行り言葉で言うなら。オコ……ですかね?」


暇だからと、マークシアで流行のカードゲームに興じていた僕とゆかいな仲間たち。

……え、僕? イケメンの榊涼太さ。数話いなかった程度で忘れられては困る。



「だ、誰だ旦那? いかにも怪しい格好のやつ」

「神様なんだよなあ……」


「そうです。私が、交換神、いわば神様。気軽にトレーダーとでも呼んでください」

「神様……いや、トレーダーさん。神様が私たちに何の御用でしょうか?」


恐る恐るカードを捨てる勇気と、神に質問をする恐怖。吊り橋効果だろうか、鍋子はいま、最高に気分が昂っていた。


「あ、それ当たりですわよ」

「えええええ!? そ、そんな、あ」


自信満々の一手が無残にも、スフレちゃんにあっさりと敗れた。戦略性のあるゲーム故、ずる賢いスフレと、ゲームなどの娯楽に詳しい僕以外の2人は完全にカモである。


「あっちゃー、そろそろアタイに届くかなーその負けっぷり」

「やる気ありますの? たかだか神様の登場で錯乱するだなんて」

「ふつうはしないかなあ!? だって、神様なんだよ!」

「そうですよ! 私神様なんですよ!?」


こんなに必死な神様って威厳も何もない気がするがね。


「はっ。私と縁もゆかりもない神様と言われましても。私の神はご主人様ですし」


「あの~、そのご主人様をこの世界に連れてきたのが私なのですが……」


「貴方様が神様だったのですね!」




カードゲームは結局スフレがダントツ首位。途中から輪の中に混ざった神様は、鍋子以上に下手くそで、最下位になっていた。トレーダーとか言いながら、交換要素も厚いこのゲームになんで負けるんだよ……。


「ええ、敗北は受け入れましょう。甘んじて。ところで、私がここに来たのは遊ぶためじゃあないのですが」


「知ってるよ。さっさと要件を言ってくれないかな?」



ずいっと、目深なフードのせいで口元しか見えない神様が寄ってきた。



「信仰心が足りません」

「お祈りが足りないのか?」

「ノンノン。形式ではなく実用ですよ。私に感謝する形だけなら誰でも取れます。そうではなく、私に対しての感謝の気持ち。圧倒的な感謝の気持ちが足りないのですよ」


「感謝あ?」



地の文では触れていないけど、毎晩僕は感謝している。この世界に来てから欠かしたことがない。あれは形式的なものだったのか。


「どうやったら表せるんだ?」

「あなたの願いが叶っている証明です。イチャイチャしてくださいよ。もっと」

「……え、してるぞ。なあ鍋子」


「ええ?! う、うん」


体を赤くする鍋子に対し、神様はやれやれとため息をついた。


「残念ですが、鍋子様に対する貴方の接し方は、愛玩動物を愛でる人間にしか見えないんですよ」

「愛玩動物なの私!?」

「おもちゃ!? ご主人様のおもちゃですって!? なんて羨ましい!」


愛玩動物というと、犬猫か。……確かに、僕は鍋子を、女の子として見たことはあるけども、恋愛対象としてと言われたら微妙だ。



「イチャイチャする定義が知りたいんだが」


「デートですよ。定期的に女の子とイチャイチャすればいいのです。デートは手っ取り早いでしょう」



なるほど。デートか。しかし、日本のデートスポットは心得ていたけど、こちらの世界のデートスポットと言われたら分からない。


「ご主人様! 淫獣では役者不足ですわ!! だって見た目からして獣ですもの! わたくしとのラブロマンスの方がマニアックにならずに自然な恋人に映りますわ!」

「ちょ、ちょっとスーちゃん!?」

「おお犬ころ、いきなり出し抜く気かよ。アタイもデートでただ飯食いたいのに」


アイリだけ何か勘違いしているな。


「いいですねえ。デートスポットでしたらご安心を。ご用意いたしますので」



神様はご機嫌にいうが……僕には不安しか感じなかった。


次回予告 ついにイチャイチャしているか否かを確認されることになったイケメン! 誰とデートするのか三者三様!! とっても素敵ですね! 鍋子か、アイリか、スフレか。大筋は鍋子とのデートになるのが王道であるけどもどうなるやら!

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