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善良なイケメンの僕は美少女とイチャイチャしたいがために転生しました。  作者: 死んだふり
イケメンがいないこともある。
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イケメンなしの女子回1


ダンジョンに行く際にはどうしても、同じ冒険者たちと顔を合わせることになる。彼らは涼太率いるパーティーには、畏怖の気持ちを抱いていた。

難攻不落であったダンジョンの主を突破したこともそうだが、引き連れる者達が一際目立つ。


涼太の懐刀と揶揄される別名キラーラビットこと鍋子。

涼太の相棒として恐れられる金槌の暴君ことアイリ。

涼太の雌犬としてドン引かれるMS犬ことスフレ。


容姿も全員悪くはなく、密かにファンが居るほどだ。


……が、勇気を持ってお近づきになった者達は口々に玉砕報告をする。



「あの子はダメだ……俺達のことなんかはなっから眼中にねえ」

「うっぷ……もう、飲めない……食べれねえ……」

「趣味すらもドン引きものとか救いようがねえよ……」



そんな3人が集まっているだけでも注目の的。

ダンジョンに誘おうとすれば必ず誘える。……が、3人の戦いっぷりを見た後、冒険者はあまりの強さを目の当たりにして、心が折れるのであった。



今日は誰からも誘いがなく、3人はダンジョンの1階から速攻で2階に降りた。



「犬と一緒に行くのは初めてじゃあないけど、旦那抜きの犬と行くのは初めてだな。足引っ張ったり殺しにかかったりすんじゃねえぞ?」


「まあ野蛮。わたくしは虐めるのは好きですけど、殺意とかはないんですよ?」


「どっちみち厄介だよねそれ……」



アイリ、鍋子、スフレの順に隊列を組み、3人はダンジョンの2階で魔物を相手取りながら会話している。


「豚さんは本当に脳筋ですのねえ。初めてであった時もそうでしたわ。あんな簡単な罠に引っかかって死にかけるんですもの」

「うっせえ。あれくらい時間かけりゃあ壊せたっての」

「そういう意味じゃあ、命の恩人なんだね、スーちゃん」


ぴくりとスフレが耳を立てた。


「【スーちゃん】? 随分気安く呼びますわね【淫獣】」

「い、淫獣!!?」


こらえ切れない笑みを抑えきれず、スフレは高笑う。


「淫獣じゃないですか! わたくしの夢で性欲発散させている!

 どんな夢か毎度毎度設定できるんですのよ? 昨日見せた夢なんて」


「うぁあああ!!」


青ざめた鍋子の槍がスフレの顔面を捉えるも、自動障壁魔法によって防がれる。


「あらら怖いですわぁ。そういえばご主人様との出会いの時も、そうやって槍に物言わせた態度だったようですわね」

「あ、それ聞いたぞ。なんでも殺しにかかったとか。その頃の旦那はめちゃくちゃ弱かったらしいから、倒すとしたらそこがチャンスだったんだな」

「今思えば殺さなくて本当に良かったと思うよ……」


フロアボスが現れるが、3人は会話を続けていた。

ダンジョンは低階層であれば、普段できない内容の会話が誰にも邪魔されずに出来る、憩いの場にもなりえるのだ。

もっとも、ロコウなどの低レベル冒険者の場合、2階で会話すれば鉄拳が飛ぶのだが。


「だいたい兎に気安くされて腹が立たない犬はいませんのよ? わたくしは犬、誇り高き忠臣の一族」

「おいおい、あんなに非力な犬が何処にいるんだよ。鍋子ちゃんにすら勝てないじゃねえか」

「わっ、わたくしは魔力のほうが際立っていましたから! だいたい、暴力で何でも解決するって野蛮ですわ! 戦闘はスマートに、そして虐め抜くこと」


「趣味悪いよスーちゃん……」


「だぁから、そのスーちゃん呼ぶのやめなさい淫獣! もっといい呼び方あるでしょう?! ほら【幻覚】」


フロアボスの一撃は、スフレのかけた幻覚魔法によって、明後日の方向に空振った。


「だったらそっちも淫獣呼びやめてくれるかな!? 私だって好きで発情してるんじゃないんですけど! 種族の習性でしかたなくなんだけど!」

「ああら、つまり兎の村は毎日乱◯祭りですの? いいですわねえ賑やかで! 弟も妹も作り放題ですわねぇ!」

「……」


アイリの一撃でフロアボスは頭蓋骨を砕かれて沈黙。霧になった後、宝箱になった。


「どうした鍋子ちゃん?」

「なんとか言ったらどうですの?」

「……お父さんとお母さんの……そういうの、見た時があって……近所の子の両親とか、全員の……」


ガクガクと足を震わせる鍋子に、慌ててスフレがフォローした。


「そ、それはほら! 愛の営み! 愛の営みですわ! 淫らですけど生命の神秘ですの! 泣かないで下さいませもう、これじゃあわたくしが悪者じゃありませんの!」


「初登場時に悪者全開だったくせによく言うねえ」


「お黙り、豚! わたくしはいじめっ子ですけど、節度はあるんですのよ!?」



宝箱の中身は金塊。持ちきれなくなるまではアイリが持つ。

パワーメイルのおかげで、多少の荷物は苦にならない。


「まあまあ鍋子ちゃん、落ち着けって。アタイもあるよ。見ちゃったのが。アレは凄まじかったなー。でもいつか、旦那とヤッてみたいんだろ?」

「……だってリョータ、全然私を抱いてくれないんだもん……」

「まあ、やはり淫獣の血族ですわ」

「簀巻にするぞ犬畜生」


3階に降りても会話は続く。


「だってだって! 皆と知り合う前にそういう機会いっぱいあったのに! お風呂に入るとか一緒に添い寝する以上はなにもしないってどういうことなのさ! 最近お風呂も一緒に入ってくれないし!」


一転、リョータに対する愚痴が飛び出す鍋子に、スフレは内心ホッとした。


「それもこれも旦那が若干ヘタレなのが悪い」

「あら? わたくしはアレくらいそっけないほうが、むしろイジメ抜いてくれる今がベストですわ。……そういえば、淫獣はどうしてご主人様と上下関係を結んだんですの? というか、なんで鍋子?」


「……出会って一度勝った後、復活したリョータに負けて、火炙りにされて鍋にしてやるって言われたから」

「火炙りぃいい!? ど、どど、どういうプレイですの!? 気持ちよかったんですの!?」

「興奮すんなよ淫犬」


2階の魔物が、人間が羽虫を払う程度の労力と例える。

3階の魔物の場合、人間が蚊を退治する程度の労力だ。


有り体に言えば死ぬことはまず無く、赤子の手をひねるような感覚で魔物が殲滅されていく。



「さすがわたくしが惚れ込んだ生粋の鬼畜……ああ、大衆の前で粗相をしたこと、未だに夢に出ては昂揚します……」

「お前こそ淫獣じゃないか?」

「否定しませんわ」

「否定しろよ犬」


むろん、3階のフロアボスもあっさり撃沈。

女子回はまだまだ続く。

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