総集編:十万文字なんて読み返せるかって? 読み返してもらいたいけども、簡単な振り返りで新規層も納得の出来にしてみよう
僕らパーティも、全員合わせて4人。中々の大所帯……とは言わないけど、結構な人数だ。
薄暗いステージでタキシードを纏った少年がライトアップされた。
右手に握ったマイクを叩き、声を出す。
「えー、あー……マイクテスト中。マイクテスト中。本日は、イケメンワンマンディナーにお越しいただき、誠にありがとうございます。今回は番外編ということで、新規層も安心の振り返りです。……アニメとかで言うところの番外編ですが、製作者のお休みにあたる総集編にはなりません」
左手に持ったリモコンスイッチを押すと、ステージにスクリーンが降りてくる。
「手始めに僕の名前から。僕の名前は榊涼太。名前の時点でイケメンの予感を覚える素晴らしい名前でしょう? 僕の母親にはその点すごく感謝しています。運動神経バツグンで、勉学も申し分なし。才色兼備とはまさに僕のためにあるような言葉」
歌うように誇らしげに自分の自慢を繰り広げる涼太は、自身を持ち上げることに照れがない。
「勿論、顔立ちもイケメンだ。女子をメロメロにする水準を遥かに超えている。
……のだけども、元いた世界で僕は、呪われたパッシブスキルを生来得ていたんだ。男にしかモテないおぞましいスキル。僕はついに男子に告白されて、人生どん詰まりだった。
そんな僕を救ってくれたのが縁結びの神様。異世界には僕と真逆で、男にモテたい男がいたんだ。そいつと僕をトレードすることで、僕は異世界『マークシア』に飛ばされた。昨今大ブームの、異世界転生だね。呪われてさえなければ、僕は転生する必要皆無だったんだけどねー」
スクリーンに浮かび上がる、4つの大陸。
「僕は南の大陸の更に南辺りに召喚された。北の大陸にはかつて人間が栄え、今も少数ながら生き残りがいるという。魔物も多数出てくるまさにファンタジー世界で、僕はどんな能力を得るのか? 答えはスキルポイント制のバイキング形式。神様に渡されたスキルスクロールという、煮ても焼いても破れも汚れもしない一品。
ここから自分がほしい能力を探してタッチすることで能力獲得、レベルアップが出来る。僕は呪われたパッシブスキルを売り払うことで、高額のスキルポイントを持っていたから、今でも必要時に色々とスキルを覚えるんだ」
次にスクリーンに映しだされたのは小柄な兎だ。ただし、身長120cm程度で、体重は20~30kgほど。
「人型の魔物こと、鍋子だ。何で鍋子なのかは省くけど、とにかく彼女は鍋子だ」
体毛が赤くなったりピンクになったりする動画が映し出される。
「たまに作者も忘れるけど、鍋子は感情によって体毛が変色する。恐ろしい時は青くなって、怒った時とかは赤くなり、発情するとピンク色になる。この、発情っていうのが厄介で、僕は鍋子の発情の対象になっている。
まあ、強引なのは発情時だけで、それ以外では生真面目で優しい子だよ。
得意武器は槍とかだね。他の武器はどうなんだろうか?」
大柄の女性がスクリーンに映しだされた。
「『初めてのダンジョン』で出てきた、褐色で背丈も僕の175cmを軽く超える大柄な女性。彼女はアイリ。本名はムダに長いので割愛。
登場した時は変身魔法をかけられていたけど、僕のスキルで元に戻してあげた。スタイルはすっごく良いんだけども、エンゲル係数が半端ない。しかも大人だからか、酒もガブガブ飲む。
怪力とバカみたいな耐久力で、オークの中でも屈指の強さを持つ彼女だけど、パーティに入れるには生半可な収入じゃあ大赤字間違いなし」
最後に、小柄で可愛らしい少女がスクリーンに出てくる。
「『スフレちゃん』だね。彼女は愛らしく僕も騙されるほど魅力満載だけど、色々と問題満載な女の子。
……まあ、とにかく手なづけて僕らのパーティに加入したんだ」
「そんな3人をお供に従えたイケメンの僕の目的は多いんだよね。
1:サモンハウスの購入
2:北の大地を目指す(純粋な人間がいるのはここしかないみたい)
3:女の子と出会いまくる
魔王を倒すとかそういう物語じゃないからねこれ。
あくまでも僕がイチャイチャするための環境を整える物語だ。
だから人によっては肌に合わないかもだけど……ふふふ、しかし支持してくれる人はいるんだよね。ま。これも僕のイケメンが惹きつけるまさに……引力ってやつさ。
僕らの冒険譚はまだ続くみたいだから、是非とも楽しんで欲しいものだね。
それでは、イケメンこと榊涼太プレゼンツ、僕のパーティーでした。




