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善良なイケメンの僕は美少女とイチャイチャしたいがために転生しました。  作者: 死んだふり
地雷でパない! 首輪をかけろ! 魔法少女スフレ登場
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手紙を読むだけの簡単なお仕置きです。


心を鬼にするって言葉があるし、可愛さ余って憎さ百倍なんて言葉もある。しまいには倍返しだなんてことばもあったりする。目には目を、歯には歯を。で済めば人間どれだけ単純明快だったものか。




首輪を、スフレちゃんのために買ってきた。彼女はアイリ監視のもと、縄による拘束と魔法封印の首飾り(タリスマン)を付けられている。


前回の貴族の方がくれた品で、魔力を吸収し、貯めこむ効果が有るのだとか。通常は拘束用ではなく、有事のために魔力を保持しておくためのアイテムなのだが、吸収力は凄まじく、付けられれば満タンになるまで吸い続ける。魔力のない鍋子に付けてもらって、光る石を見た。


「昨日は石。今日は首輪だ。どうかなスフレちゃん」


「最低の気分ですわ」


強気に僕を睨みつけるスフレちゃん。言葉遣いは丁寧だけども、根っこにある気性の激しさが隠せていないね。


「まあまあ。明日のお仕置きで解放してあげるとも。その石も取ってあげるし」


「信用できませんわ! だいたいもう皆様の呪いも解いて差し上げて、生涯縁のないと思っていた土下座までさせられて、不満がないというのがおかしな話ですわよ! その上まだ何をするというのですの?!」


そうそう。魔力が吸われるということで、スフレちゃんは変身魔法すらも使えない。尻尾だけじゃあ無く、垂れ耳という犬要素が追加されていた。犬種とかはわからないけど、きっと愛玩犬の何かだろう。



「確かに呪いは解かれたし、僕のイケメンも戻ってきた。……けど、僕はされたことを忘れないものでね。しかも利子つけずに返すのはもっといけない」


首輪は特に効能はない。本当にただの首輪だ。赤い見た目で、所有物だという証明の。それをつけると、スフレちゃんは身震いした。息も荒げている。



「この世から、イケメンが7日以上消えた。それはね、世界にとっての損失なんだ。幼女は宝とか言っている連中にはわからないだろうけど、イケメンは至宝だ。何故なら幼いころは誰にもあっても、イケメンであるには長い努力があってのことなんだから」


「旦那のイケメン論には鬼気迫るもんがあって好きだよアタイは」

「ごめんリョータ、正直私にはイケメンってよくわからないんだ」


嘆かわしきはこの世界観だ。人間体でイケメンでも、価値が薄れている。


「つまりは貴方の八つ当たりじゃありませんの!」

「そうだ。半殺しじゃなくて八つ当たりで済むだけ君の容姿に感謝しなさい」




僕は明日、あの貴族の方達(被害者の会)に示す必要があるんだ。もうお仕置きが必要ないってことを。熱湯攻めも鉄拳制裁もすでにやったし、衆人環視の土下座もさせた。さて、それ以上のお仕置きは確実に「残酷な表現」タグを付ける必要があるから、何か別のアプローチで……。


「言葉だな。謝罪文書を書くから、明日、それを広場で読み上げること。そしたら解放してあげるよ」


「あ、あら? 随分と甘い八つ当たりですのね?」

「甘いな―旦那は。可愛いからかい?」

「そんな、それでいいのリョータ?」


「貴女たちは賛同して下さい、特にウサギの子!」



どうやら、これは甘い裁定だと思われているらしい。馬鹿め。ここに来ての謝罪文、ただの謝罪文なわけがないだろう。








翌日。首輪の手綱を握られて、スフレちゃんが僕のあとからついてくる。鍋子とアイリは、周囲の警戒をしていた。どよめく名前なしの住人たちは、その異常な光景に驚いている。


僕らは既に名が売れている存在で、それがこんなことをしているというのもそうだけど、どよめきの理由はそこじゃない。


兎とオークという、捕食される立場の2人が、犬という捕食者を首輪をかけられて歩かせている。その光景にどよめいているのだ。



「あ、ああ、これが……これが人間が犬族を従えていた時の服従儀式、【お散歩】だというのですか。なんという屈辱ぅ……」


気に入ってもらえたようで何よりだけど、……何故尻尾振っているんだスフレちゃんは?


「さて、ギャラリーは集まっているぞ。ここで、読み上げるんだ」



鍋子とアイリには内容を一切伝えていない。リハのために紙を渡した時、内容を読んで顔を真赤に、真っ青にしたスフレちゃん。



「は、はひ……」


息が荒い。尻尾も大きく振っている。さぁ、僕からの最後の制裁劇場だ。




『み、皆様はじめまして。わたくし、様々な殿方に呪いを振りまいて悦びを感じていた、サディストでこ、心が醜いめ……めす、めすい、いぬ……』


「やりなおし」


ピシャンと、水を纏わせたナイフを地面に打った。これまで火を乗せたりしていたけど、水の場合はシナって鞭のようになるのを昨日知った。鞭を買う手間が省けたからラッキーだった。



『ひゃい!? 皆様はじめまして』


「誰がそこまで戻れといった」


さらに地面に打ち込む。2回までは地面で勘弁しておく。


『こ、心の醜い雌犬ですぅう! こ、こんな私は先日、愚かにも世紀のイケメンに呪いをかけてしまい、逆鱗に触れた挙句、抵抗までしてしまいました!

 この罪は万死に値します、なのでこの場を借りて全ての方にこのイケメンのます、マスター(主人)に謝罪をさせて下さいましぅ!』


「噛むなこの駄犬」


ピシャンと、今度はスフレちゃんの尻に打つ。切れはしないけど痛いはずだ。


『あぐぅああ?! も、もうしわけごじゃいまぜぇん!』


「泣いてないでさっさと読み上げろ。また鞭が欲しいのか? ん?」


『や、やめて下さいこの、人間め! あきゃぁあん!?』


台本通りに言わなかったら容赦なく鞭を打つ。アイリは気分よく口笛を吹いた。鍋子は……顔と耳を真っ赤にしている。シゲキが強すぎたかな。




『しゃ、謝罪の、気持ちを新たにするべく、み、皆様の前で、ど、土下座をさせていただきます』


なおも手紙を読もうとするスフレちゃんだが、僕は彼女の頭を、ボールを持つように掴んだ。


「するんだろう土下座を。さっさとしなさい」


『えええ、そんな読むだけってイタタタタ?! 耳、耳をつかまないで、乱暴にしないでぇええ!』



こんな騒ぎになると当然、治安維持隊が動くのだけど、この行為はギルドによって認められているため、遠巻きに見られているだけだ。



『す、すみませんでしたああ!』


抵抗無しの土下座。清々しい土下座の構えだ。合格である。


『こ、これでいいんですか!?』


「まあいいよ。続きを読みなさい。まだまだあるんだから」


『リハーサルの時より紙増えてますわよ!?』

「だから手紙以外の内容は言うんじゃありません」


背中を打つ。悲鳴を上げ、息を荒げ、尻尾を振りながら、スフレちゃんは続けた。



『呪いをかけてしまった皆様には、恥ずかしいことをしてしまいました! ですのでここは、私が恥ずかしい思いをすることで誠心誠意真心のこもった謝罪をさせていただきます! そ、その方法は……え゛!?』


手紙を食い入る様に目に近づけるスフレちゃん。ああ、そこは今朝僕が修正した箇所だ。


「はい。そこに書いてあるポーズをして続けなさい」


『そんな、こんなのってないですわ!? わたくしお嫁に行けませんじゃありませんの!? こ、これだけは勘弁して下さい!』


「いいや駄目だ。第一貰い手がないなら僕が貰うから」


『なぁああ?! か、かひ……う、ぅウグうぅうう?』


やらねば解放されない。が、やれば人生の汚点。



『ぅうううう!』


スフレちゃんは解放を選んだようだ。


足を広げ、膝を曲げ、手を胸の前に差し出す。舌を突き出して、服従のポーズを取った。犬といえばやっぱこれだよね。



『ご、御覧ください! この、惨めで、ご、ご主人様のためにはしたないポーズまでするわたくしを! 見て、見て下さいませ!』


「うんうん、見てるぞ―。スフレちゃんも見てみな。皆の反応を」





「お母さん、あの人なにしてるの?」

「ダメ! みちゃいけません!」

「誇り高いとされる犬種がこんなポーズをするとは……」

「ぱ、パンツ見えそうで見えない……」



ボッと、顔を真赤に資するスフレちゃん。衆人環視の意味をより深く知ったところで、次に進める。


『す、スフレはご主人様の鞭が大好きで、ちょ、調教もいっぱいしてほ、ってなんですのこれは!』

「鞭欲しいんだろ? 打ってあげるよ」


一発。二発。更に手紙と関係ないことを言った一発。


「や、やり過ぎだよリョータ!」

「鍋子。僕の顔を蹴った時のことは覚えているだろう? イケメンはね、顔が命なんだ。それを長い、長い間、台無しにしたその罪は、正直全然収まらない」


倍返し? 十倍? いいや、百倍でも足りないね。美少女であろうが誰であれ、キッチリ教える必要がある。



『……そんな、嘘……だって、だってこんなの……おかしいですのに……』


また関係ないことを……と思ったけど、様子が変だ。なんだろう。喜悦の笑みを浮かべている。


『皆様に、こんな恥ずかしい……そんな、私が……痛くて……痛いのに……』


がっくりと膝を地につけて、天を仰ぐスフレちゃん。アヒル座りの彼女から……あ、


「放出!」


ナイフから水をぶちまけてスフレちゃんの周囲をびしょびしょにした。危ない危ない。


まさか失禁してしまうとは予想外だ。




「えー、気絶してしまったようなのでこれにて終了です。ご清聴ありがとうございました」




まあ、皆の前で失禁してしまったその事実で、辱めとしては十分だろう。僕ももう気分が晴れた。



「すっげえエグいなあ旦那」

「やりすぎ……あんな激しいの……」


鍋子の体毛はピンク色である。

僕の腕の中で、ずぶ濡れのスフレちゃんが


「えへ……えへへ……」


と笑っていた。精神……壊れてないだろうな? 大丈夫だよね?


後日。貴族の方からギルドに、報酬が支払われた。それとともに手紙が添えられた。

『やりすぎです。失神者が数名ほどでました。しかし、皆既に満足しています。イケメンという名の鬼畜に、感謝しています』。

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