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善良なイケメンの僕は美少女とイチャイチャしたいがために転生しました。  作者: 死んだふり
地雷でパない! 首輪をかけろ! 魔法少女スフレ登場
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顔はいけないよ顔は。それは僕が一番良く知っている。


因果応報とか言うけど、足りない。受けた仕打ちは何倍にもして返すのが人間ってものだ。






「お、どうだったリョーさん!」


ロコウさんの声が聞こえた。僕らは脱出できたのだ。妙にほっとするのは、親しい人(魔物だけど)だからだろう


「中々の家だけど、僕らには狭かったね」

「そっかー、残念だ。……ところで、そのふん縛っている子は?」


せっかくの可愛い顔を恐怖と焦燥で真っ青にし、一切の抵抗もしないスフレちゃん。まあ、それを両手と胴を縛って犬の散歩みたいに連れているんだから、妙に思われてもしかたがないよね。


「不法侵入してた犬です」

「え」

「不法侵入してた犬ですけど……ロコウさん、何か?」


察しろと言わんばかりの僕の気迫に気圧されたのだろう。お、おう……とだけ言って、それ以上は何も追求しなかった。


ロコウさんは任務報告のためにギルドに帰り、僕らはその場で待った。




そこへやってきたのは見慣れぬ人物。またしても人間に近い魔物だ。正体は知れているけど。


「お見事な御手前でした。スフレ討伐、感謝いたします」


捕まえたスフレちゃんを回収しに来たのだろうか。


「ガマ蛙が言っていた被害者の会の関係者かい?」

「ええ。主人も喜びましょう。ささ、町の外へ。本日、町の中ではゲートが開かぬ故」


やっぱりそういうカラクリか。






外に出てゲートをくぐった先に、色々な職種の人たちがいた。

色調の赤い部屋で、調度品も高価なものばかり。

中でも一番金持ちそうな人が、主催者なのだろう。


「勇者よ、感謝します!」

「「「「「感謝します!!」」」」」


その場に居合わせていた者達が、僕に感謝する。いい気分だが、浮かれてばかりではいられない。このままだとスフレちゃんを引き渡す話になるからだ。……引き渡せば恐らく命はないだろう。ズダボロになるまで制裁された挙句死ぬ。


漫画とかアニメ、小説とかでも、貴族連中に喧嘩を売ってしまえばそういう末路が待っているのはだいたい察しがつくのだ。


それは嫌だ。スフレちゃんはどうしてもメンバーに入れたい。可愛いからというのが第一。そうだけど、頭が回る魔法使いだ。脳筋ばかりのメンバーの中に一人はこういう子が欲しい。


「お望み通り、スフレちゃんを捕まえました。しかし、私はこの子を気に入ったので、預からせていただきたい」



ざわりと、どよめきが走る。後ろのゲートから出てきていた、ガマ蛙が僕に言う。来るの速いな……。


「それはいけない。ギルドに報酬が来る条件は2つ」


・生かして捉えること。

・制裁のために引き渡すこと。


「この2つの内1つは守られている」


「いいえガマ蛙、それは違う」


「私をガマ蛙呼ばわりするか」


「照れるな」


「怒るよ?」




「皆さん。僕は貴方がたが、この子に制裁を加えたいことを知っている。悔しかった思いもあるでしょう。殺したいとも思うでしょう」


そんなこと思っていないというどよめきが聞こえた気がしたが、そんなはずない。空耳だろう。


「そこで2つめの条件……きっつい制裁を加えるので、引き渡しはなしにしてもらいたい」



「どんな制裁だ? 言ってみろ」


見るからにあらくれな男が発言した。


「先ほど、私の仲間に制裁をさせましたので、その旨を報告します」


アイリを指名し、やったことを言わせる。


「えーっと、まあ。ぶん殴った。腹を。旦那が、女の子に顔はダメだってことで、腹パンで」


どよめきが走る。気にせず鍋子を指名する。


「あっつあつの熱湯風呂に漬けました。泣いてましたけどそのままにして、顔が真っ赤になったところで出してあげました」


卒倒するものが出た。嬉しかったんだろう。自分がしたかったことをやってもらって。



「さて、以上の2つに加えまして、今から皆様に、スフレより謝罪させます」



スフレちゃんに土下座するように促す。恥ずかしいと嫌がるけど、やらせる。


「震えてないで謝罪。早く」


「こ、この度は、わ、私が」

「【私】?【この卑しい豚】がだろう? 台詞の練習は湯船でしたろう?」


豚にされたんだ。僕もアイリも。ならば呼称も豚にすべきだろう


「……こ、このいやあ……卑しい豚が、み、皆様に多大なご迷惑ぅ、……を……おかけしましたことを深く……深く謝罪いたしますぅ!」


泣きべそかきながら土下座。皆震えている。十中八九喜悦で震えているはずだ。



「さあ、上下関係の呪いを解いてあげなさいスフレちゃん」


「は、はひ……」



上下関係は永続の呪いだが、解く方法はある。かけた本人が死ぬか、本人が上下関係を改めれば良いのだ。


今、呪いは解かれ、彼女がコケにしてきた者達の溜飲が少しは下がったことだろう。


「あ、あの……」


主催者の人間が僕に詰め寄るが、いけない……まだ足りなかったか。


「申し訳ございません。実はもう一つ……あります。明日それをお見せいたしますので、今日はこれにて」

「いやそうではなく」




僕の考えはこうだ。スフレちゃんにしようとしている制裁以上のことをさせることで、満足させる。そうすることで引き渡さずとも良くなる可能性があるのだ。そのことをスフレちゃんにも伝えて入るので、若干芝居を入れてもらった。


……まあ、結構というか7割アドリブだけどね。



「恥ずかしかったですわよ!?」


宿に戻った僕に、両手を縛られたスフレちゃんが文句を言ってきた。しっかしタフだね。そして怒った顔も可愛い。



「何言ってるの。これから更に恥ずかしい目に合うんだから。今更言っても仕方がない」

「旦那。明日は何するんだ? アタイは憂さ晴らしにダンジョン行きたいんだけど」


「明日は僕とスフレちゃんがいればいい。鍋子はどうする?」


「私はリョータといたいけど、いいかな?」



若干の嫉妬オーラを感じる。安心しろ鍋子。明日僕がスフレちゃんにするのはデートなんかじゃない。


「楽しみにしててねスフレちゃん。明日が終われば君は僕らの仲間だ」


にやりとした僕の笑みに、心の底から震える、スフレちゃんなのだった。

次回【散歩】おたのしみに!

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