一方その頃被害者の会は……。
所変わって被害者の会。ナンノ? スフレちゃんのです。
魔法少女スフレの素性を知っている者はいない。
彼女はあらゆる者と接触する際に、顔や体格を魔法で変化させる。
今は珍しい人間か。それとも何か別の生物か。
スフレ被害者の会には、貴族や著名な冒険者など様々な人物が存在する。
彼らはスフレを捕らえて、呪いを解かせたあとに、然るべき罰を与えて解放しようとする者達だ。
スフレ被害者の会はたまに会合を開き、彼女にはどのような罰が相応しいかなどの会議をする。
また、職業も育ちもバラバラのため、単なる交流会と化している。
恐らくはスフレが捕まり目的が成されたあとも、この関係は続くであろう。
結果的に出会いを作ったといえば聞こえは良いが、誰もがスフレに酷い目に合わされている。
……そんな彼らに入った朗報。
彼女の居場所が特定され、捕まえるだけの実力を備えた者がいる。
南大陸西側にある閑静な東屋。
(といっても貴族基準のため住み心地も良さそうな場所)
そこには十数人、被害者が集まっていた。
「チャンスですな」
男性ながら長い髪をし、高価な装飾品と服装で身を飾る貴族の男性が口を開く。
会合を開いた際は彼がリーダーになる機会が多い。
「ついに……あの女に一泡食わせられるのか!」
バキボキと指の骨を鳴らすのは猛牛の人型冒険者。
彼は男なのに乳牛にされかけたことで、……目覚めてしまった。
何にとは言わない。彼の名誉のために。
「この日をどれだけ待ちわびていたことか……」
ギュッと拳を握りしめるのはこちらも貴族。
自慢の銀髪を白髪に変化されて周囲に笑われたことがトラウマになっている。
今は『外見差別を無くす会』の会長を務めている。
「許せないわ。あいつだけは……あいつだけは!」
憤るのはこの中で唯一の女性。
付き合っていたイケメン冒険者との仲を引き裂かれたのだ。
……彼女にイケメンと付き合っている様子を見せつけたり、
他の女冒険者との仲が暴露されたので、鉄拳制裁後に別れた。
「勇敢なる冒険者に敬意を! 私達の悲願は近い!」
リーダー貴族は杯を掲げた。
居合わせている十数人もそれに続く。
リーダーは顔中にほくろを付けられ、
以来群衆恐怖症になったことがある。
「して、その勇者が捕らえたとして……どのような罰を与えましょうか?」
「というよりも、ゲート魔法を使われれば打つ手が無いのでは?」
「ゲートに関してはご安心を。
あの集落にはゲート封鎖結界を使用済みです。
今日一日限り、ゲートは誰も使えません」
リーダーの自信に満ちた声で皆が賛同した。
「ついては、罰の内容を……決めましょうか」
「では! 奴をオスにして公共の男湯温泉にでもはいらせますか!」
リーダー貴族に続いて居合わせた者が意見した。
一瞬。辺りが静まり返った後……。
「なんという辱めだ!」
「本来、メスには目の毒とも言える男の裸体を魅せつけるのか!」
「なんという……なんという鬼畜の発想! 素晴らしい!」
絶賛の拍手喝采の後、別のものが提案する。
「手ぬるい! 奴には男になったあと、私の彼氏としてしばらく付き合ってもらう!」
「そして生まれる倒錯感!」
「なんという鬼畜の所業!」
「百合ではないのか!?」
「奴は恐らく犬か何かでしょう! でしたら首輪をかけましょう!
それで市中練り歩きをさせるのです!」
「絶対的上下関係の呪いなし!」
「なんという鬼畜の所業!」
「貴公さっきからそればかりだぞ!?」
「……皆様、落ち着きましょう。
奴を捕まえた暁に、じっくり決めればよいのです」
リーダー貴族は静止をなげかけて……瞑目した。
涙を流している。
「念願成就……大願成就……嗚呼、まっていましたこの日を……」
はらはらと涙する面々。
彼らの悦びの時は……近い。
一方。その勇者と持て囃されたリョータたちの活躍は……。
次回に続く!
次回予告:全く話が進まなかった今回に反して次回は大きく進展するはず! はず!さて次回は『見せつけろキスの姿!』これは文明開化の夜明けですわね!




