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僕の命を救ってくれるたった一枚の紙切れ



ところで、RPGを知っているかな?

最近流行りのソシャゲではなく、

据え置きとか携帯型ゲーム機でのRPGだ。


主人公は武器を変えたり改造したりして、

強さを上げていくのが基本なんだ。


もしくは強い魔法とかをぶっ放すとかね。



しかし。しかしだ。もしも目の前に、

倒せそうにもない敵が現れたらどうしようか?

そして武器もない、魔法も知らない状況に陥ったらどうするか。



「兎相手に逃げる日が来ようとはねええ!」



脱兎のごとく走る僕を、

ウサギ型モンスターは跳ねながら追走する。


たまに槍を投げつけてくるが、

少し横に逸れればすぐに避けられる。

バスケやってなかったら逃げられなかっただろうし、

避けることも出来なかっただろうな!



「ちょこまかと、逃げるのは私達の専売特許だ!」


「自慢してんじゃねーよ!?」



突き刺さった槍はすぐさま回収され、

再度投げつけてくる。

永遠に続くかとも思った逃走は終わりを告げた



【この先 崖】と書かれた一本の看板。

僕の進行方向に立っている。



右も左も獣道。

直進したら崖。

後退など出来るはずもない。


獣道に行ったとしても、

相手の縄張りの中だ。

すぐに追いつかれて殺される!


……残された手段は……。



「おらぁあかかってこいやクソ兎があああ!!!」



崖有りの看板を背に、背水の陣! これしかない!

無手でどれだけやれるかわからないけど、

こんなわけわからない内に死ぬなんて御免だ!


スクロールを開き、

有用そうなスキルを探す。

何でもいい、あの兎を鍋に出来るくらい強くなる技能があれば!!



「紙を出すなど余裕だなあ!!」



兎は足に力をためて、一直線に俺の心臓目掛けて跳ねた。

穂先を俺の心臓に向け、槍とともに飛んで来る!

結構あったはずの距離が縮まる!


「おうぁあ!?」


思わずスクロールを広げて盾代わりにした。

こんなものが盾になるはずが……


……なった。



「何ぃ!?」



スクロールが、ぐぐーっと伸びて、

心臓手前まで迫った所で止まる。

反動で俺は吹っ飛んだ。

看板が当たったけど、とにかく生きてる!


「感謝するよ神様、

 反撃開始だああああ……」



そういえば、崖って書いてあったな。


ふっとばされた先は、木々を突き抜けて、空中だ。

下は……森がゴミのように茂っている。


落下したら死ぬだろうなってくらい、高い。

兎が追うのを止めて、



「さらばだ、人型の魔物よ」


と、武人のような勝利宣言を残して去っていったくらいに高い。




重力は異世界にも存在するらしい。

俺はスクロールを構えた姿勢のまま、

森の海に落ちていく。



「……おわった……」













木々の枝が何本も折れた音がする。


地面が見えて、顔面から着地した。

地面に埋まった顔。


骨も折れて即死。

さらば僕の人生。






「……。っぶねーーーー!!!



死ぬかと思った!!

本当に死ぬかと思った!!

モンスターに八つ裂きになって死ぬとかじゃなくて、

普通に死ぬところだったよ!!


異世界に来た甲斐なく死ぬところだった!



「とっさに、思い出せてよかった……」




僕の命を救ったものは、

【転落耐性】スキルだ。


落下中、及び激突時のダメージを大幅減衰というもの。


死に物狂いでスキルを叩きまくり、

スキルレベルはMAX。減衰率は99%超え。

最早この程度の落下では傷一つ付かないはずだ。



「ポイントは……まだまだ93000か。

 5000も使ったが、生きているだけで満足だ」



泥と、体に突き刺さった枝を引っこ抜く。

落下中のダメージは無効というように、

枝を抜いても瞬時に傷が塞がって、血の一滴も出なかった。


「あの兎め……次会ったら鍋にしてやる……。

 いや、その前に色々情報を聞き出さなければ……」



RPGの基本は装備だ。

今、僕の手持ち武器はこのスクロールただ一つ。

槍で突かれても突き抜けなかった、

柔軟で頑丈なもの。


そして僕自身の強化も、このスクロールで行える。

スマホいじってなかったら、

タップしてスキル習得とか意味もやり方もわからなかっただろう。




「基礎ステータスに振るか、

 パッシブスキルに振るか……アクティブもいいけど……」


第一、スキルポイントが今後手に入るかもわからない。

振り直しが効かないなんてことになったら、

目も当てられない。


あの兎相手に本気で挑むのも馬鹿馬鹿しい。



「まず、鍋作るから火炎魔法がほしいな……」



僕は必死に考えてから、

兎狩りに臨むつもりでいた。


全ては、美少女とイチャイチャするために!!


次回予告:遂に装備完了を果たした【僕】による反撃の狼煙があがる! 果たして兎鍋によるケモナー大炎上は起こるのか!? そもそも主人公の名前は何なのか!? 何故兎に槍持たせたのかは作者もわからない! 次回イケメン異世界物語「心臓を兎には捧げたくない」お楽しみに!

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