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豪腕と技術が合わさった時、僕の出番がピンチになる!



人間型の魔物と、一口に言っても色々あるようだ。


鍋子は兎寄りの人間型。

アイリッシュは人間寄りのオーク。


人間だと言われたら、アイリッシュの場合は信じてしまう。




「だぁっハハッ! 何だその理由!

 鍋子ぉ、おめえさん面白いなあ!」


地下4階。フロアボスを難なく滅ぼした僕ら3人は、

雑魚のいないここで休憩をとっていた。

と言っても、食べる物は持ってきていないので、

あくまでも体を休めているだけなのだが。


「うぐぐ、で、でも。立派なニックネームだから!

 もう慣れちゃったし」


鍋子の名の由来を聞いて大爆笑のアイリッシュ。

ゴメンな鍋子。その名前僕も面白いと思っている。

機会があれば別のアダ名にしてやろう。

……機会があればな。


「いやあ、それにしても別の世界から来たとか……。

 旦那、アンタも相当面白いな!

 やったら器用に何でも出来ると思ったらそういう理由かい!」


「ああ。まだまだポイントがあるから、

 ほれ」


スクロールを見せてみる。

やはり、鍋子同様、何も書かれていないようだ。

この世界の住人には見えないことが確定した。


「へえぇ。……で、旦那。

 これから何するのが目的なんだい?」


「目的? そんなの、人間の女の子とイチャイチャするために、

 女の子を探しに行くだけだよ」


「清々しいほどどーでも良い理由だな!

 良いじゃんか。鍋子ちゃんがいるんだろう?

 毎日イチャイチャしてさ、家庭持って、

 何なら子供作って大家族とかも良いんじゃねえか?」


「鍋子とはイチャイチャしてるけど僕はね、

 元いた世界じゃあ想像できないくらいイチャイチャしてみたいんだ。

 鍋子1人で満足していたらダメなんだ。

 ……どーした鍋子? 子作りって聞いて耳まで真っ赤にな―――」



久々に、鍋子の槍が僕の心臓に飛んできた。

まあ、死なないし傷つかないことをお互いに理解したうえでの、

じゃれあいなのだけどね。


「それ以上話したら……発情しちゃうからね?」


「オーケー分かった。

 これ以上は何も話さないでおくよ」


鍋子の発情はシャレにならない。


「旦那。アタイは目標があるんだ。

 アタイをあんな姿にしていた、魔女。

 そいつをぶっ飛ばしたい。

 鬱憤ばらしをしなきゃあ、気がすまないんだ」


「魔女ねえ……」



老婆とかなら躊躇なく倒せるけど、

それが可愛かったら、どうにかして仲間にしたい。

危険は承知でも、強力な魔法使いは仲間に欲しい。


「アイリッシュ。そいつはどんなやつだった?」


「下心が見えるぜ旦那。安心しな。見た目可愛い子だ。

 胸もあったぜ」


「胸は付加価値だ」



まあ、若い格好をしている女の子だとわかれば良い。

今の発言で鍋子がこっちをジーと見つめているが、

胸がないのを肯定的に捉えてほしいものだ。

巨乳だけが優遇されるという風に、

世界は早々簡単に出来ていない。


「鍋子大丈夫だ。

 お前は可愛い。自信を持て」


こういう歯に衣着せぬ言葉が軽々と言えるのもイケメンならでは。

なのにまたしても心臓に一突き。加えて組み伏せられた。

ランランと光る目が、僕の顔を見据えていて、

……不味い、体毛の色がピンクになっている!?


「どーどー、鍋子ちゃん落ち着け―」

「ふー! ふー! は、離してアイちゃん!

 ダメだこのリョータ、今すぐ、すぐに、すぐにぃ!」


すぐに何をするつもりなのかは聞かないでおこう。

しかしナイスだアイリッシュ。

簡単に鍋子を引剥した。


「厄介だな発情は。

 どうにかして収めたいが……」


「収めるなんて簡単だろ?

 やることやればスッキリすらあ」


「下世話な話をしないでくれよ?!」


肉体的関係はまだ早い……。

この世界の法律でどうなのかは知らないが、

とにかく僕にはそういうことは早い。


「いいか。イチャイチャするというのは、

 そういうのではなく、

 もっと段階を踏むものだ。

 OK?」


「ははは! アイアイサーだ。

 ほれ鍋子ちゃん、気分が落ち着く魔法だぞー」



鎮静魔法で落ち着いた鍋子は、

自分の先ほどまでの発言に恥ずかしさで真っ赤になる。



「鍋子。今日はもう帰るか?」


「嫌よ。もっともっと戦うんだから」



案外バトルマニアなのかも知れないな。

そうと分かれば長居は無用。


「じゃあ、階層を上がっていって、全フロアマスター倒して脱出だな」



その日は夕方になるまで戦いが繰り広げられた。

アイリッシュは先程の戦いから分かる通り、

粗暴で豪快な戦法。


先ほど4階のフロアボスが落としていったハンドアックスを、

勢い良く回転をかけて投げつけたり、

膂力を乗せた一撃にして真っ二つにしたりと、

力がなければ出来ない戦い方をする。


敵陣深く飛び込んでも、身につけた鎧と盾で守られるため、

鍋子は安心して戦うことが出来た。


僕も魔法でサポートはするものの、やっぱり目立たない……。

このままでは不味いな。


前衛に立とうとしても、

技巧派と力押しの2人が既にいる以上、

僕には何も出来ない。


……なってやるか……魔法使いに……。

イケメン魔法使いに!


次回予告:いよいよ次回予告のネタが浮かばなくなった作者! 順調に読者が増えていることを真摯に受け止めて歓喜している作者。しかし方向性を間違えれば人気は廃れるという過酷で面白いデスゲーム。まったく、小説になろうは最高だぜ! 次回イケメン珍百景『魔女退治』お楽しみに!

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