0002
ロロロロロロ
【名前】ケイ・クロダ
【種族】人族
【職業】一般人
【称号】邪神の加護
【スキル】捕食・鑑定
ロロロロロロ
んん? おかしいな、勇者の職業じゃないぞ?
「おぉ! なってる!」
どうやらクラスメイト達は勇者だったようだ、いったいどういうことだってばよ?
「ん?おいどうしたんだゴミ田?もしかして勇者の称号がなかったのか?ちょっと見せてみろよ」
俺が浮かない顔をしてるのを目ざとく見つけた樋口はにやにやしながら言ってくる。
「は?なんで見せなきゃいけないんだよ」
「いいから見せろってんだよ、おいこいつを押さえろ!」
樋口はクラスメイトに命令すると クラスメイトの二人が俺を抑えに来る。
「おい!やめろよ…はなせ!」
「んーどれどれゴミ田のステータスは…ギャハハなんだこれ!職業が一般人だぞ!スキルも二つしかねぇ!」
「おい!」
樋口が俺のステータスを盛大にばらした途端に周りから笑いが起こる、きっと俺よりもスキルを多く持ってるか、もしくは職業が勇者だったので優越感が生まれたのだろう。
そんな中で、焦ったような声の人物が一人。
「そんなはずは!召喚された人物は皆、者のはずです、ちょっとステータスを見せてください」
声の人物は姫さんだ。
「ああ、いいぜ姫さんこいつほんとに一般人だからな」
樋口が勝手に決めやがる、だけど俺は二人がかりで抑えられているため、抵抗もむなしく姫様にステータスを見られてしまう。
「ほんとにない… こ、これは」
「どうしたんだよ?姫さん」
姫様は驚愕に目を見開た感じで、周りの騎士たちに命令をする。
「この者を捕えなさい! この者には邪神の加護がついています!」
「「「「!!!」」」」
姫様が騎士に命令した時、一気に場に緊張が走った、その次の瞬間にクラスメイトに代わって今度は騎士に拘束される。
「な、なんだ!?」
「なんだよ姫さん、ゴミ田のステータスがそんなに予想外だったのか?」
樋口は笑いをかみ殺しながら姫様に問う。姫様は樋口を一瞥した後、
「勇者様が知らないのも無理はありませんか…いい機会です、すこしこの世界の歴史について話しましょう。これはこの世界が出来て間もないときの話です。」
――――― かつてこの世界にはアルタリアとセフィアという二人の女神がいました。アルタリアにはガルドという付き合っていた神がいました、ガルドはアルタリアの闇を思わせるような漆黒の瞳に艶やかな黒髪、妖艶な雰囲気が好きでした。ところがガルドはセフィアというどちらかというとアルタリアとは対極にいるような女神と出会ってしまいました。セフィアは実に神々しく、すべてを包み込むような温かさが彼女にはありました。ガルドはだんだんとアルタリアには感じなかった温かさに惹かれていったのでした。
そして年月が経つにつれアルタリアとは距離を置き、セフィアと会うようになりました。アルタリアにはばれてはいけないため、きずかれないようにこっそりと会いに行きます。 しかしそんなガルドとセフィアにとっては幸せな時間は崩れ去ってしまいます。
ガルドの行動を怪しく思ったアルタリアがガルドの後をつけたところで見つけてしまったのです…ガルドとセフィアが口づけを交わしているところを。
当然アルタリアは二人の前に進み出ました、「なぜセフィアと口づけを交わしているのか」と、ガルドは言いました、「セフィアのことが好きになってしまったんだ」。その言葉を聞いた瞬間、アルタリアの胸の奥から何かが壊れる音がしました。実はアルタリアとセフィアは大がつくほどの親友でセフィアは当初、アルタリアの恋を応援してくれていたのです。アルタリアは二人を見ていると沸々と黒い感情が湧き上がってきました。そのぐらいならまだ耐えることができました、湧き上がってくるだけなのですから…しかし次の言葉でアルタリアはついに黒い感情を爆発させてしまいます「ほんとうにすまない、だけど俺はセフィアと一緒になりたい…別れてはくれないだろうか」「ごめんなさいアルタリア…私もガルドのことが好きになってしまったの」。
感情を爆発させたアルタリアは闇よりも暗い神気を溢れさせながらも二人の前から立ち去りました、「許さない」と言葉を残して…
黒い感情に支配されたアルタリアは自分の恋人を奪った親友とその同族である神たちに復讐するため、自分の血から魔物を作り、自分の息を毒に変え、自分の体から溢れ出る神気を神たちに害を及ぼすことから邪気と名付けました。
準備を整えたアルタリアは魔物を従えて神界に進軍し、ガルドを最初に殺し、神を虐殺しながらセフィアを探しました。しかしアルタリアもセフィアが協力を請うた主神と上位十二神の強大な力にかなわず、志半ばで冥府に封印されてしまうのでした。封印される前に彼女は、「貴様らぁ、覚えていろ!いつか必ず私の配下が貴様らの作った生物を根絶やしにして、私の封印を解いてくれる!その時に貴様らを殺してやるからな!」といいました。その言葉通りに魔物は人間に襲い掛かり、果ては人間の一部がアルタリア側について人族を殺していったのです。――――――
「そして神は世界の悪の根源であるアルタリアを邪神と認定、魔物を神の敵、神敵と認識し、アルタリア側について邪神の加護を授かったものを咎人として迷宮に落とすことをこの世界の法に組み込みました」
「ちょっとまってくれ!俺はアルタリア側についたことなんてないぞ!」
「しかし実際に邪神の加護がついているのです、これは紛れもない事実なのですよ?」
「そんな…」
「そうだぜゴミ田~さっさと観念して迷宮とやらに落ちろよ」
「くっ」
樋口は俺が今からひどい目に合うことが予想できているのかたのしそうに目を細めながら茶化してくる、くそっなんか…なんか助かる方法は…
「無駄ですよ、考えたってこの状況は覆りません、それでは法にのっとりあなたに咎人の烙印を刻みます」
「ま、待ってくれ」
「待ちません…我この者を咎人と認定し苦痛と印を刻む【咎人の烙印】」
姫様が何かをぶつぶつといった瞬間…
「ガァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
俺の上半身に想像を絶するほどの痛みが走った。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!
「さて烙印も終わりましたし、あなたは明日、迷宮に落とされる手はずとなっております。それまでは牢で過ごしてもらうことになります、何かご質問などはありますか?」
姫様が何か言っているが痛みで何を言っているか聞こえない、集中できない。
「…何もないようですね、では衛兵、この者を牢へ」
「はっ」
俺はカーペットの上を引きずられていく、意識が朦朧とする。
「くそっ……たれ………テメェら…………覚えてろよ」
いつか思ったことを口にした瞬間、俺の意識は闇に引き込まれていった。
―――――――――――
オレ…樋口 悠馬は今、全く知らない部屋にいた。
そこで目の前にいた女性、リアーナというらしい。姫さんに説明を聞いたところ自分たちが勇者であることが分かった。
勇者ってことはあれだろ?テンプレだとハーレムも作れるってことだろ?決めたぜ、まずはハーレムを作る、まぁ魔王ってのはメンドくせぇが、どうにかなるだろ。
そう俺は軽く考えて姫さんに答えた。
「…わかった姫さん 俺らはその魔王を倒すために呼ばれたんだろ?じゃあお勤めは果たさなきゃな」「ほんとうですか!?ありがとうございます!」
ヘヘ、まずは姫さんを落としてやる。―――――――――――