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星の挽歌  作者: 石井鶫子
エピローグ
47/48

王様の家来たち

 昔むかし、この国を王様がおさめてらっしゃいました。ある晴れた朝、小鳥が王様の肩に乗って歌いました。

「王様、王様、あちらの村には働き者のねずみがおるのです。とても頭のいいねずみです」

 王様がねずみに会ってみると、確かにとても頭のいいねずみでした。王様はねずみに言いました。

「きみがいくらでも本を書けるように、紙とインクを好きなだけあげよう。だからわたしを手伝ってくれないか?」

 ねずみはとても喜び、王様の家来になりました。それからしばらくしたある雨の夜、小鳥が王様の肩で歌いました。

「王様、王様、こちらの村には強い犬がおるのです。とても正直で忠実な犬です」

 王様が犬に会ってみると、確かにとても正直で、強そうな犬でした。王様は言いました。

「お前がわたしの手伝いをしてくれるなら、わたしはお前をとても大切にするよ」

 犬は答えました。

「王様、私はこの村でただ一匹の黄色い犬です。みながこの色はおかしいと言うのです。私は役に立たないでしょう」

 王様は答えました。

「けれどその黄色い毛皮はお前にとてもよく似合っている。それにお前は強くてかしこい犬だ。他に何がいるだろうか」

 王様の言葉に犬はとても喜び、王様の家来になりました。

 やがて王様は神様のところへ旅に出て行きました。残されたねずみと犬は王様の思い出ばなしをしながら王様の帰りをずっとずっと待ちました。二人は時々はけんかもしましたが、なかよしでした。

 二人は長く、長く待ちました。あまりに王様を待ちすぎたので、まずねずみが動かなくなりました。犬は友だちのねずみが動かなくなったことをとてもさびしく思いましたが、やがて犬も動かなくなりました。

 二人は今も星になり、王様の帰りを待ち続けています。

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