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巻の八十八   師走の風景

巻の八十八   師走の風景


 霜月もあっという間に過ぎ去り、師走となった。

 十三日、煤払すすはらいの日である。

 直也達も朝から大掃除に勤しんでいた。

 直也は近所の竹藪から斬ってきた笹を使って天井の埃を払う。縁の下へは紅緒が潜って、ごみを掻き出していた。

 未那は体が軽いので天井裏の掃除。流石に鼠は棲み着いておらず、埃だけであった。

 汐見は畳を外に出し、埃を叩き出していた。そして弥生は拭き掃除の担当である。


「皆、お疲れさん」

 夕刻、すっかり綺麗になった家の居間で、直也がねぎらいの言葉を掛けた。

「住む時に簡単な掃除はしたものの、やはり埃は溜まっておったな」

「お風呂が沸きました、直也様、どうぞ」

 風呂担当の汐見の声。

「おっ、ありがとう。そうじゃあさっそく」

 皆、身体中埃だらけである。汚れた風にも見えない弥生は別として、紅緒も汐見も、そして未那も喜々として順に風呂を浴びていった。

「ああ、いい湯じゃった」

 最後の弥生が出ると、もう外は真っ暗である。弥生は青い狐火、陰火いんかを灯し、明かりにする。

「今日の献立は何じゃ?」

「弥生様のお好きな油揚げと鹿尾菜ひじきの煮物ですよ」

「それと、ぶりの照り焼き」

 そう答えたのは紅緒と未那。

「おお、未那も手伝ったのか、感心、感心」

 そう誉めると未那は嬉しそうな顔になる。少しずつ感情表現が豊かになってくるようだ。

「いただきます」

 みんなで囲む食卓は暖かい。

「うん、いい味付けだ、紅緒も料理が上手くなったな」

「ほんとですか? よかった−」

 直也が褒めると、紅緒は頬を緩ませて喜びを表した。


 夜ともなると冷えてくる。特に紅緒と未那は猫なので寒さが苦手。朝から戸を開け払って掃除していたので家の中は冷えていた。

 火鉢に炭を足そうとした紅緒、

「あ、…もう炭が無い」

「何!? まことじゃな。明日買わないといかぬな」

 炭は炭俵で買うが、この頃の炭俵は一俵で五貫匁(約19キログラム)。運んでくるのも容易ではない。

「未那、明日、炭を買いに行くから手伝ってくれるか?」

 未那の縮地があれば、遠くの炭屋からでも楽に運べるので、直也は未那に声を掛けた。

「うん、父さまのお手伝いする」

 もとより直也の言うこと、未那はすぐに承知した。

 その晩は、未那は直也に寄り添って眠るのだった。


 翌朝、朝食が済むと、直也は未那を伴って炭を買いに行く。この辺りだと、南にある長谷寺ちょうこくじ、その山門前にある角田屋という炭屋が一番近い。

 急な坂を登って長谷寺脇を通り、門前町の外れに角田屋はあった。

「炭かい、一俵?」

「いや、二俵」

「兄さん、大丈夫なのかい?」

 流石に二俵も担いで歩けそうもないと思われたのか、炭屋の親爺にそう言われる直也。

「ああ、大丈夫さ」

「知らんぞ、途中でばてても」

 金を払い、両肩に炭俵を担いで、人気のない塀の陰へ。

「よし、それじゃあ未那、頼むぞ」

「ん」

 未那の縮地、一瞬で家の前である。二人が帰ってきたのを見た汐見が、急いでやって来て炭俵を一つ受け取った。

「直也様、重い物でしたら私が買いに行きますのに」

 汐見がそう言うが、

「うん、ありがたいけど、汐見みたいな女の子が炭俵二俵を軽々担いでいたら周りから奇異の目で見られるだろ?」

 直也は笑ってそう言った。汐見はもう何も言えなかった。


 炭を物置に運び込み、手を洗う。余裕が出来た直也は、

「ご苦労さん、未那。助かったよ」

 そう言うと、未那は、

「役に立ててよかった」

 そう言いながら、懐を抑えていた。

「ん? 未那? 何か懐に入れているのか?」

 直也がそう言うと、未那はもじもじしながらもそれを出してみせる。

「人形?」

 それは汚れて捨てられた人形であった。寺のそばに捨てられていた物を見つけて拾ってきたらしい。

「かわいそう」

 そう未那は呟いて、胸に抱きしめた。

「汚れてるな、ちょっと見せてごらん」

「ん」

 直也が言うと、未那は素直に人形を手渡した。

「土で出来ているのかな?…いや、この軽さは木か。腕も少し動くんだな、凝った作りだな」

 そう言いながら、汚れた着物を脱がしてみる。胴体は桐の木で出来ているようだ。そこにやはり桐の木で出来た腕と脚をはめ込む構造で、多少動かせるようになっている。

「首も回るんだな」

 そう呟きながら、傷んだ箇所を探していく。

 何と言っても一番は、右脚が無くなっていることである。

「桐の木を探してきて作ってやるか…、脱がした着物は丸洗いしてもらうことにしよう。弥生なら皺にしないで乾かせるだろう」

 そう言って、勝手仕事をしている弥生の所へ着物を持っていった。

「…何じゃ、これは?」

 いきなり人形の着物を見せられて面食らう弥生に説明する。

「なるほどのう、よし、洗っておいてやろう」

 着物は弥生に任せるとして、無くなった脚を作るために桐の木が欲しい。桐の木は軽くて湿気に強く、濡らせば水をよく含むので火事にも強くなる。それで箪笥たんすに作ったりする。また、燭台や面、琴なども桐で作られる物が多い。

箪笥たんす職人の所じゃあ板ばかりだろうからなあ…」

 それで紅緒に相談する。日本橋方面で琴作りをしている職人がいるようで、そこで端材はざいを貰ってくればいい。あとは顔や手先足先に塗ってある胡粉ごふんやそれを溶くにかわ

「いいですよ、すぐ行ってきます」

 そう言って出ていこうとするところに未那が、

「…あたしもいく」

 そう言って紅緒の袖を掴んだ。

「そうね、未那と一緒の方が早いもんね、…じゃあ直也様、行ってきます」

「いってきます」

「頼むよ」

 直也は紅緒に小遣いを渡し、二人を送り出した。そこへ弥生がやって来る。

「着物は綺麗になったが、綻びたり破けたりしとるのう。繕ってやろうか?」

 そう言って直也の手にある人形を見た、その目が一瞬鋭くなった。直也はそれには気づかず、

「ああ、そうだな、頼むよ」

「よしよし、…この人形か。ちょっと貸してみよ」

 そう言って直也の手から人形を預かると、奥へと引っ込んだ。


「直也様、炭の用意できました」

 そこへ、先ほどから炭を切っていた汐見が、炭入れに炭を入れて持ってきた。ちょうどいいので火鉢に入れ、鉄瓶を掛ける。すぐに火が熾り、炭が赤く燃え出す。

「汐見、寒かったろう、早速あたってくれ」

「はい、ありがとうございます」

「でもその前に、残り湯で顔と手を洗って来た方がいいかな。鼻の頭が黒いぞ」

「…はっ、はい!」

 買ってきた炭は、長さ一尺ほど、それでは火鉢で使いにくいので、炭切りをする。これをすると手や顔は黒くなるし、炭の粉を吸って鼻の中が真っ黒になるのだ。

 黒くなった手で鼻を擦ったとみえ、汐見の鼻の頭は真っ黒だ。それを悟った汐見は慌てて土間へ向かった。


「着物の繕いが出来たぞ。…おお、あったかくなったのう」

 居間は南向き、日が差し込む上、火鉢には炭をくべた。朝の寒さも緩んできて、小春日和と言ってもいい陽気になってきた。

「縁側でのんびりしたいのう」

「ここのところ弥生も忙しかったからな」

「そうじゃな…」

 マーラの結界を壊すため、江戸城の北、南、西の石塔は破壊した。残るは東。それを破壊すれば、たとえ集めるための極となる石塔が江戸城内に残っていても、何の役にもたたなくなる。それで連日連夜、弥生は江戸中を駆け回っていたのである。

「もう三つ破壊してある、結界自体はもう駄目になっているんだろ?」

「まあ、そうじゃ。じゃが、いつまた新しい石塔が置かれるやも知れぬ。油断は禁物じゃ」

「それはわかるけどな」

 そんな話をしているところへ、汐見が戻ってきた。汚れた着物も着替えてきたようだ。

「おお、汐見、炭切り御苦労。さ、火のそばへ来い。あったまれ」

「はい、弥生様」

 さらにそこへ、紅緒と未那も帰って来た。

「直也様ー、帰りました」

「…ただいま」

「お帰り、どうだった?」

 紅緒は風呂敷包みを差し出して、

「お言いつけの物、全部揃いました。あ、これ、お釣りです」

 直也は荷物を受け取り、

「お釣りは紅緒の小遣いにしておけ」

「…いいんですか?」

「ああ、いいよ。それより寒かったろう、未那もこっち来て火にあたれ」


 紅緒と未那、それに汐見は火鉢にあたり、弥生は日の当たる縁側に座っている。弥生の隣に座り、直也は早速桐の木を削り始めた。

 そばに人形を置き、残っている左脚と見比べながら、少しずつ形を整えていく。

「お主は器用じゃの」

 それを眺めながら弥生が呟いた。

「昔から一人遊びが多かったからのう…」

「ああ、でも弥生が遊んでくれたじゃないか」

「同年代の子供がいなかったからのう」

「子供というより住人だってほとんど見たこと無かったぞ…」

 そんな話をしているうちに脚が完成した。試しに嵌め込んでみて、きつめだったのでもう少し削り、ちょうど良い具合になった。

「あとは胡粉だな…」

「…にかわ、か。溶いてやろうか?」

「…たのむ」

 そこで弥生は七輪を持って外に出る。そこらにあった土から土鍋を作り出し、にかわと少量の水を入れる。

 七輪に土鍋を乗せ、小さな赤い狐火を灯し、土鍋を掛けた。直に湯気が出てくる。

 煮立たせてはいけないので、そこは狐火で調整、竹箸でかき回すうちににかわが溶け、粘りのある液体となった。

 問題なのはその臭い。独特の臭気で、離れていた紅緒達も顔をしかめていた。


 冬の日なので、火を消せばすぐに冷め、臭いも消えた。

 直也は溶けた膠に胡粉を混ぜ、白い塗料を作製、小さな筆で人形に塗っていく。新しく作った脚と剥がれた部分へ重点的に。やがて人形は綺麗になり、着物を着せるとすっかり見違えた。

「ほら、未那、綺麗になったぞ」

 そう言って未那を呼び、手渡すと、

「ありがと、父さま」

 そう言って嬉しそうに胸に抱きしめた。

「…遊びに行ってくる」

 余程嬉しかったのだろう、人形を抱いたまま外へ遊びに出て行ってしまった。

「気をつけるんだぞ−」

 そう言った直也の声は耳に入ったのだろうか。


*   *   *


「…弥生、ご苦労さん」

 手伝ってくれた弥生に声を掛ける直也、だが弥生は、

「直也もな。…ところで、気が付いていたか?」

「ん? 何に?」

「やはり気づいておらんかったか。…あの人形のことじゃ」

「人形がどうしたって?」

 すると弥生はくすりと笑い、

「…山神の祠。神楽面」

 とだけ言った。それを聞いた直也は顔色を変える。

「あ、あの人形は付喪神なのか?」

 そう言って立ち上がり、未那を追いかけて出ていこうとするので、弥生は慌てて止める。

「落ち着かぬか。付喪神と言ってもなりかけじゃし、皆が皆、悪さをするわけでもない。それにさっき、悪させぬよう釘を刺しておいたからのう」

「…弥生が?」

 先ほど奥へ持っていった際、付喪神になりかけの人形に何か脅しを掛けたのだろうか。それはさぞや効果のあることだろう。

「まあこの家に置く限りは、儂、紅緒、未那、汐見、そしてお主。あの程度の人形には何も出来ぬよ」

「まあ、それもそうか」

 並の妖怪など瞬殺しそうな面子が揃っていることを思い、直也も安心したのである。


*   *   *


 未那ははしゃぎながら、窪地にある池の畔に来ていた。この池にはがまが生えており、その枯れた穂にさわると、穂綿が膨れるのが面白いのだ。それこそ一瞬に膨れる。

 それが面白くて、次々に穂を触っていく。ついには池のすぐそばまで来てしまった。

 このところの寒さで池には氷が厚く張っていた。未那の体重では割れもしない。それで歩きやすい氷の上を歩きながら穂綿で遊ぶ未那であった。


 だが、この日は小春日和、日当たりの良い部分では僅かに氷が溶けかかっていたのには気づいていなかった。未那はその氷の上に乗ってしまう。

 いくら未那が軽いとはいえ、溶けかかった氷では支えきれずに割れ、未那は水に落ちてしまったのである。

「…あ…」

 苦手な水中、ましてや氷が張っているような寒中である、未那の体温はあっという間に奪われていく。そんな中、未那に出来たのは懐の人形を岸まで放り投げる事だけであった。

 投げた反動で体が沈み、水を飲んでしまう。それは鼻から肺に入って、未那を咳き込ませた。そして更に呼吸が苦しくなる、という悪循環。体温を奪われ、呼吸も困難になった未那は、だんだん意識が薄れていくのであった。

「…父…さま…」

 それが未那の口から出た最後の言葉になり、未那の体は水中に没したのである。


*   *   *


「君子曰く、学はもっからず。青はこれを藍より取りて、藍よりも青く、氷はみずこれして、水よりもつめたし」

 直也は汐見に『荀子』の講義をし、弥生は昼食の仕度をしていた。紅緒はその手伝い。

「…まだ未那は帰らぬのか?」

 煮干しを焼きながら弥生が言うと、

「まだみたいですねー」

 涎を垂らしそうな顔でその煮干しを見つめながら紅緒が答えた。

「…ちょっと心配じゃな…紅緒、煮干しが焦げぬよう見ておれ」

「はーい」

 弥生は着ていた割烹着を術で消すと、台所から居間へ。

「直也、未那はまだ帰らぬのか?」

 一応直也にも尋ねてみるが、

「ああ、まだだ。ちょっと心配だな」

 その時、家の結界に何かが接触した感覚を弥生は捉えた。

「!?」

「弥生?」

 その結界の所へ一足飛びに向かった弥生は、泥にまみれ、汚れながら結界を引っ掻くあの人形を見つけたのである。

「どうした? まさか、未那に何かあったのか!?」

 人形はものを言わないが、軋むように腕を伸ばし、その先にある小さな溜池の方を指差すと、次の瞬間には手足共にばらばらになって地面に散らばったのである。

「!!」

 それだけで弥生は未那に何かがあった事を察し、

「直也! 未那に何かあった! 池じゃ! 池へ行く!!」

 その声は直也だけでなく、汐見、紅緒にも聞こえた。

「紅緒は残って火の番だ。そうだな、お湯も沸かしておいてくれ。…汐見、行くぞ!」

「はい!」

「はい!」

 直也は紅緒に留守を任せると、汐見を伴い、弥生の後を追った。


 池に着いた弥生は、周囲に残った未那の小さな足跡を探す。それはすぐに見つかった。

 がまの穂で遊んでいたらしく、枯れたがま沿いに付いている。そこへ直也と汐見もやってきた。

「まさか、池に!?」

「多分そうじゃ」

「早く探さないと!」

 三人は手分けして探していく。岸辺には未那の足跡が残っていたが、途中から氷の上を歩いたので足跡が付かなかったのが災いし、三人は探しあぐねていた。

 まさか氷の上を歩いていたとは思わなかったのである。

「弥生、未那の居所、わからないのか?」

「うむ、まさかとは思うが、気を失っていたら儂とて近くにいない限りわからぬ…」

 その時、足跡を見つめていた汐見が、

「直也様、もしかして未那ちゃん、氷の上を歩いたのでは?」

「え?」

「ほら、ここです。氷の上に泥が」

 汐見の指差す箇所、確かに氷の上に足跡らしい泥が残っていた。

「確かに足跡らしい。…とすると…」

「待て、直也、ここは儂にまかせよ。お主や汐見では氷が割れる」

 氷の上に乗ろうとする直也を押し止めて、弥生が氷の上に乗った。それはまるで羽根のよう、氷はみしりとも音を立てなかった。

「この先、氷が薄くなって割れておる。…いた! 未那じゃ!」

「何! 弥生! 頼むぞ!」

 弥生は氷の割れ目に近づくと、中をのぞき込む。水底には気を失っている未那が沈んでいた。


*   *   *


「危なかったなあ」

「うむ、あと少し引き上げるのが遅かったら手遅れになるところじゃった。こやつ、石猫じゃから完全に水に沈むようじゃ。もう少し大きくなったら水気の術を教え込まぬとこの先心配じゃ…」

 池から引き上げた後、すぐに濡れた着物を脱がすと、直也が脱いだ羽織でくるみ、大急ぎで家へ帰った。

 それから紅緒が湧かしていた湯に浸け、体を温めた。そうして布団に寝かせ、暖かくして休ませておいた。

「だいじょうぶかな?」

「うむ、幸い、水はあまり飲んでおらんかったようじゃから、じき気がつくじゃろう。目が覚めたらあったかいものでも食べさせてやるとしよう」


 そして、日が傾いてきたので夕飯の仕度をしていると、

「…いいにおい」

「お、気が付いたか、未那」

 魚の焼けるにおいで目を覚ましたようだ。

「…あれ、…父さま?」

 自分が布団に寝かされていて、直也がそばにいることに驚く未那。

「ああ、もう大丈夫だぞ」

「…未那、水に落ちた」

 落ちたことは憶えているようだ。

「ああ、そうだな」

「父さま、助けてくれた、の?」

「ああ、水から出してくれたのは弥生だよ」

「…弥生、母さま」

「もう一人で水辺へ近づいちゃ駄目だぞ?」

「…はい」

「よし、おなかすいてないか?」

「…おなかすいた」

 直也は笑って、

「そうかそうか、もうじきご飯だからな。起きられるか?」

「…ん」

 一人で起き上がった未那。もう大丈夫らしい。その未那へ、

「ほら」

 直也は人形を手渡した。

「…おにんぎょう」

「ああ、この人形が、未那が危ないって知らせに来てくれたんだ」

「…おにんぎょう、さん」

 未那は人形をきつく抱きしめる。それはばらばらになっていたものを拾い集め、改めて直也と弥生で直したもの。

 未那の危険を知らせに池から家まで動いてきた、そのためか、もう何の妖気も残っていない、と弥生は言った。

 それでも未那の命の恩人、直也はばらばらになった手足を元通りに修理し、弥生は泥まみれになった着物を綺麗にした。

「大事にしてやれよ?」

「…うん」

 未那は肯いて、人形に頬ずりする。

 そんな仕草が可愛らしく、直也は目を細めて見つめるのであった。

 師走の寒空の下、暖かい空気に溢れる直也一家であった。

 未那と人形の話、です。生き人形、とかは不気味ですが、同じ人形でもこういう話もいいかな、と。

 余談ですが、初期の人形は土で作ることが多く、後に木で作るようになっていったようです。


 …暑い毎日ですが話の中はもうすぐお正月です(汗


 それでは、次回も読んでいただけたら幸いです。

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