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第一話 この世の要となる者
「憎む・・・き・・のは・・・・・だから・・・・・わ・・・・は・・・たた・・・・・かう・・」
記憶の隙間からのぞく風景は
それはそれはあまりに綺麗で
言葉にあらわすのは難しい・・・・
近い言葉を探してあてはめるのなら、
「殺風景」
だった。
真っ白い空間に、深く立ちこめる霧。
なにもなくて なにも感じないけど
それが美しい風景なんだと
私はわかった。
そんな空間を
探るように進んだ。
一歩
一歩
怯えるように
でもその足はとどまることを知らず
まるで昔から知っていたみたいに
私自身を導いた
それでも辺りは相変わらず
なにもなかった。
「・・・・そなた・・・・・・か・・・・・・・」
いくらか先へ進んだとき
声が聞こえた
妙に冷静な私がいた
「あなたは・・・・だれ?」
なにもわからない
なにも感じない
それでも覚えている
私に語りかけた
その愛おしそうな声
その後に
私を包んだ
懐かしい匂い・・・・・